第2話 それぞれの決意
アシン「え、、。家族は俺のこと嫌ってたはずじゃ、、。」
イツマ「アシン、よく聞いてくれ。俺とサナはお前の家族からいつもアシンが元気で過ごしているか聞かれてたんだ。俺たちはアシンが学校でどんなことしてるかや授業中ずっと寝てることなど些細なことも全部言ってたんだ。お前のお母さんはアシンに彼女がいないのかいつも気にしてたぞ。だからお前の家族はアシンのことが大好きだ。実際に話しかけていなくてもいつも気にかけてんだ。お前の家族はみんなお互いが不器用なだけなんだ。」
サナ「そうだよ。ジュン君なんてこの前道ですれ違った時、私がアシンの友達だからってアイスおごってくれたんだからね!!」
アシン「そうだったんだ、、。俺、こんなにも愛されてたんだ。失ってから気づくなんて。俺はばかだな。」
ゴンばあ「。。。村にはこんな言い伝えがある。この世界には7つの大きな大陸があるのじゃが、そのそれぞれの大陸は、大戦士というものがおさめている。その者たちはこの天国で最強の7人なのじゃ。そいつらに勝てばその剣は勝者に渡される。そして、その7つの剣を集めたら、現世に生き返ることができると、、、。」
アシン「え!!それじゃあ!生き返る方法があるってことか?!」
ゴンばあ「言い伝えじゃからそれが本当のことは分からん。それを達成したものは一人もいないからな。」
アシン「それじゃあ、俺がその最初の一人になればいいわけか!冒険だな!ワクワクしてきた!」
ゴンばあ「あまり期待せんほうがいいぞ。」
アシン「大丈夫だ!たとえ言い伝えが嘘で生き返れなくても何もしないよりはましだ!どんな経験でもいつかそれが役に立つときが来るからな!」
サナ「アシンがそういうなら私たちもついていくしかないわね。」
アシン「え!サナも来てくれるのか?!」
イツマ「俺も行く。お前たち2人だと死にに行くようなもんだからな。」
アシン「イツマも?!2人とも、、!ありがとう!!!」
ゴンばあ「そうと決まればお前さんたちの能力を測るかの。」
アシン「なんだ?能力って。」
ゴンばあ「この世界に住む人々は、太陽、雲、雨、雪、風、雷、霧を中心とした7つの能力と、それから派生した特殊能力を持つんじゃ。太陽といっても、その中でも快晴や夕焼け、紫外線など、いくつかの種類に分けられる。能力は人差し指を立ててそこに力を集めるイメージをしたら炎となって出てくる。その炎の色が、赤なら太陽、オレンジなら雲、黄色なら雷、緑なら風、青なら雨、白なら雪、黒なら霧じゃ。特殊能力ならば紫になる。どれ、お前さんたちもやってみい。」
サナ「指先に力を入れてっと。、、。わぁ!!!私は白だ!!ということは私は雪の能力ね!!」
アシン「おおお!!雪か!!きれいなのがサナにピッタリだ!!イツマはイツマは?!」
イツマ「俺は、、。おお!オレンジだ!俺は雲の能力だな。」
ゴンばあ「雪や雲の何の能力なのかは実際に使っていく中でわかるはずじゃ。」
アシン「すごい!!俺も自分の見よっと!俺は、、、。、、、。あれ、炎なんて出てこないぞ?」
ゴンばあ「そんなはずはない。天国では全員何かしらの能力を持っておる。やり方が間違っとるのじゃないのか?」
アシン「ん~~~??何度やってもでてこないぞ??お、俺だけ能力がないのか?!」
ゴンばあ「もしや、、。100年に1人力を持たないものが現れるらしい。そもそもこの天国は死んだ年齢のまま来て100年たてば現世にほかの生き物として生き返るのじゃ。だからここには0歳~200歳ぐらいまでのものがいるのじゃよ。もう一度人間に生まれ変わることもあれば、ライオンやお花など動植物に生まれ変わるものもいる。そして、力を持たないものが現世に帰るとまた一人力を持たないものが現れるらしい。お前はその1人に選ばれたんじゃよ。」
アシン「それじゃあ俺は力がないってことじゃないか!」
サナ「そんな、、、。アシン、、。大丈夫、、、、、、??」
アシン「ああ、心配ありがとう。でも俺は大丈夫だ!それに、1番弱い奴でも1番強くなれるっていう証明を俺がして、俺の後に現れる無能力の人たちに勇気を与える人間になれたらとってもかっこいいじゃないか!楽しみだな!」
サナ「アシン、、、。」
イツマ「相変わらずお前は俺たちの前を歩いて光を与えてくれるやつだな。よし、俺らはお前が嫌がろうとどこまでもお前について行く。ともにいこう。」
アシン「ありがとう!!!」
その夜3人は、ゴンばあの家に泊めてもらった。
イツマ「いつ出発する?」
アシン「早く冒険しようぜ!ぼーうけんっ!ぼーうけんっ!」
サナ「じゃあ明日にしよ!」
アシン「そうだな!!!明日から俺たちの物語が始まるんだ!!」
イツマ「じゃあ明日に備えて今日はもう寝るか。おやすみ。」
「「おやすみ!」」
サナ「-ううんっ。まだ5時か。緊張して目が覚めちゃった。」
もう寝れないと思ったサナは外を少し散歩することにした。
壁の向こう側から声がする。
サナはそっと壁からのぞいた。
「まだだ!もう一回! くそっ!もう一回! もう一回!! くそぉ!!」
アシンだった。
泣きながら出るはずのない炎を何度も何度も出そうとし、壁に腕をたたきつけて悔しがっている。
サナがアシンの涙を見るのは二回目だ。
以前に見たのはアシンが家族に嫌われたと感じて笑顔という表情しか出さなくなったあの日だけだ。
それ以来初めて涙を見た。
アシンは、サナやイツマの前では気丈に振る舞っていただけだった。
サナはそんなアシンの感情に気づくことができなかったのを悔やむと同時に、家族のために生き返りたいのにと泣いているアシンを一生守ろうと決めた。