始まりの予感
短いです
よろしくお願いします
ついにこの日が来た。納屋のニワトリがけたたましく泣く前に起きるようになった特別な日、今年こそは僕にふさわしいスキルを貰うんだ!
「行ってきます」扉を勢いよく開け古い木造の家を飛び出す。
「扉が壊れたらどうするの。まったく、
お昼までには戻ってきなさいよ」10年同じような光景を見ていたからか慣れた様子で見送る女性、「わかってるよ、母さん」
13才になると神殿でスキルや加護、称号を得ることができるのだ。
俺の住む村には、子どもは13人その中で今年で13才になるのは2人俺とフレアだ。
走っているとすぐに神殿が見えてきた。
「遅かったなアレン」話しかけてきた細身の無駄に高身長でメガネをかけているのはニック、ニックはしっかり者で3人の中で一番面倒見のいい1つ上だが一番の親友だ。
「去年スキルをもらったニックがなんで一番楽しみにしていた俺より早いんだよ」悔しがってると
急いで走ってきたのがわかるくらい小動物のように息をきらしている少女「2人とも遅れてごめんね、はぁ、はぁ」この子はフレア、内気な性格で俺にとっては妹みたいな存在だ。ちなみに他の子どもはみんな年下で年齢が離れている。だから3人の絆は強いのだ。
「大丈夫だ、さあ息を整えて水を飲むと良い。急がなくて良いからな」そう言いながら水袋を手渡すニック、それを手に取って飲み口を見て顔を赤く染めるフレア。それを見て顔を赤く染めるニック。ここだけの話ニックとフレアは両思いなのだが2人とも勇気がないのだ。
朝から何を見せられてるんだ。いつものイチャイチャは何度見ても慣れない、むしろ楽しむことにしている。そうするしかない。
「朝からお熱いことで、ほら早くスキル貰おうぜ」と言うとさらに顔を赤くする2人だった。
神殿の中に入ると、神官が1人立っていた。ラフィーネ神官だ、俺たちの村は小さいから神官は1人なのだ。
「「「おはようございます。ラフィーネさん」」」
「おはようございます。相変わらず仲が良いですね」優しく微笑むラフィーネさん、まるで聖母のようだ。
「祝福の儀を受けにきたんですね。準備はできていますよ。さあ、着替えて来てください」案内されるまま俺とフレアは白い衣へと着替える。
そしていよいよこの時が来た。
「ではいきますよ。」
ー愛します我ら守護神よ、今宵、時が満ちた新しい時代を築くであろう人の子が2人ここにいます。どうかふさわしい祝福をお与えください。願わくば、御心のままになりますようにー
神殿内が光に包まれる。そして、光の球が俺とフレアの胸へと入っていく。徐々に光が消えて元の光景へともどる。
「よーっし、これで魔王を討伐して英雄になれるぞ!」
「喜ぶのは早いだろ、スキルを見ないことには」ニックの言う通りだ、喜ぶのは早い。魔王を討伐できるのは勇者と魔王に匹敵する力を持つ者、例えば王族や大魔法使い、強力なスキルを使いこなせるものだけだ。
「ラフィーネさん、早く見てください。スキルはなんですか?」
「はいはい、わかってますよ。今見ますから」
スキルを確認するには神官系の加護、称号がないと見れないのだ。再び背中が光だし、文字が浮かび上がる。
スキル:錬成 加護: 称号:勇気あるもの(特になし)
「あれ!?勇気あるもの、勇者じゃないの?微妙に違くないですか」思ってものと違い冷や汗が出る。
「勇者は魔王がいる時代、村に一人いるかいないかの世界的に見ても珍しいわけではないのでアレンくんならと思っていたのですが残念でしたね。それでもスキル【錬成】は勇者よりも貴重スキルです。生産職なら優遇されるでしょう」と全力で慰めてくれるラフィーネの言葉が逆に辛い。
「まあ、珍しいっちゃ珍しい称号だからな。そう言うこともあるってそれに可能性はゼロじゃない、そうだろ」
「ニック、、、」
「では気を取り直してフレアさんのスキルでも見ましょう」
膝をついて落ち込んでいると「ええ、そんなことあるの!」とラフィーネらしからぬ驚きを隠しきれていない声が神殿に響く。
フレアの背中から放たれる光の文字には、
スキル【超再生能力】加護【狂戦士】称号【勇者:魔の存在を倒せる力を持つ者】
また投稿します
ありがとうございました