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今日は姉のシンシアにお茶会に招待され、王宮を訪れている。

お茶会と言ってもシンシアと二人だけなので、気楽なもんだ。

侍女にお茶を淹れてもらい、さすが王宮のお茶は美味しいとのんびり味わっていた。


「リリィ、あなた最近よく騎士団の訓練場を訪れているんですって?」

始まって早々シンシアに突っ込まれたくないところを突っ込まれて、お茶を吹きそうになった。


「どっどうしてそれを」

慌てるリリアンナにシンシアが呆れた顔をした。

「私がどこにいると思ってるのよ。護衛の騎士も騎士団に所属しているし、騎士団の訓練場は王宮のすぐ隣でしょ?噂だって入ってくるのよ」

もっともなことを言われて、答えに窮する。


「誰に会いに行ってるの?」

シンシアは好奇心に目をキラキラさせて見つめてくる。

お姉様に言ったら絶対カイルに話がいってしまう。


さすが社交界の華と言われるだけあり、その麗しい顔で迫られると、進退窮まる。



「リリィ、久しぶりだね」

何とか誤魔化せないかと考えていると、突然部屋に入ってきた人物がいる。

その人物を見たリリアンナは詰んだなと遠い目になった。


「お久しぶりです。王太子殿下」

立ち上がって礼をする。


「そんな他人行儀な態度取らないでよ。ジルお兄様って呼んでって言ってるのに」

ニヤニヤしているのは王太子のジルベルトだ。


「いえ、そんな滅相もない」

とお断りしても

「そんなこと言わないで。ずっと妹が欲しかったんだから。ほら、お兄様って呼んで」

再度グイグイ要求してくる。


暫く無言のやり取りをしていたが

「ジルお兄様」

王子のキラキラとしたご尊顔の圧力に負けた。


「お兄様に教えて。リリィのお目当ての騎士は誰?悪いようにはしないから」

ニヤニヤとするジルベルトの横でシンシアも期待に目を輝かしながらリリアンナを見て来る。


時間稼ぎにしかならないと分かっていても、黙り込んでしまう。


「言ってくれたら、お父様を説得するのに協力するわよ」

最近、どんどん縁談を持ってくる父親のことを出されて、思わず心が揺れる。


侯爵家はお兄様が継ぐし、お姉様は王太子妃になったから、ずっと末っ子の私のことは放っておいてもらえたけど、17歳になり、流石に放っておけなくなったらしい。


「俺たちの間を上手く取り持ってくれたリリィには感謝してるんだよ」

ジルベルトの前ではツンデレのツンばかりだったシンシアのデレの部分を暴露しただけなのだが。


「そうよ。リリィのおかげで素直になれたんだから、あなたには感謝してるわ。だから、今度は私たちがキューピッドになるわ」

ちょっと冷たい美貌のシンシアの中身は恋する乙女なのだ。


「大体、リリィが知ってる騎士なんてそんなに多くないだろう」


何事かを察しているのか、ジリジリと詰めてくるジルベルト。


「もしかして、爵位に問題があるの?それならそれでやりようがあるのよ」

グイグイ迫ってくるシンシア。


二人に挟まれたリリアンナはギブアップ寸前まで追い詰められた。



「もしかして、カイル?」

ジルベルトが出した名前にビクッと盛大に反応をしてしまった。

リリアンナは次の瞬間、顔が真っ赤になるのを止められなかった。


「言わないで」

真っ赤になってテーブルに突っ伏した。

淑女にあるまじき行為だが、それに頓着していられない程、リリアンナは動揺していた。


シンシアはよしよしとリリアンナの頭を撫でて微笑んだ。

「リリィはこんなにかわいいんだから、好きにならない人はいないわ」


「カイルは見た目が少し怖いが、真面目でいい奴だよ。リリィは見る目があるな」

ジルベルトは本当の妹を見るような優しい目をしていた。


「心配しなくても言わないよ。本人には」

最後の方は若干声が小さく、よく聞き取れなかったが、ジルベルトが取り敢えず、言わないと言ってくれたので、リリアンナは少し落ち着くことができた。


その後もいつから好きなんだと突っ込まれ、タジタジになりながら、お茶会を過ごすことになった。


一番バレてはいけない人にバレてしまった気がする。

帰りの馬車の中でため息を吐くリリアンナだった。



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