2話眠れるーーの目覚め
今回から1話につき長く読み応えのあるような感じにします。
よろしくお願いします!
ーー歩くこと数分ーー
試験官につれられ複数ある闘技場の一つに入る。
闘技場はドーム型となっており、
中には観客席がしっかり整備され、
僕たちの試験を観戦しようとたくさんの人が
観客席に埋まっている。
おじさんは、闘技場に入るのに抵抗があるといい、
家の近くにある〝鑑賞モニター〟から僕を応援する
という。
闘技場の舞台に上がる前に控え室で試験官からの説明が入る。
「例年通り3分制限の一対一なんだなぁ。
自前の武器、防具は使用不可能。
ただし希望者に限りこちらから木製の武器、防具いずれかの一つを貸し出すぜぇ。
またまたぁ?俺を含む試験官のうち2人以上試験続行不可能、、、
と判断したぅばぁあぃいぃは?
その時点でそいつの試験終了だぁ。」
採点基準は
エンターテイメント性10点満点
思考知識20点満点
能力活用30点満点
勝者40点⚠︎引き分けは20点
敗者0点
この試験で負けた場合、確実にD.Eクラスとなってしまう。
それほどまでに勝者と敗者の差が歴然としている。
僕は能力を持った相手に勝ち目はないので、必ず引き分けに持っていく必要がある。
おじさんも見ているので負けは許されない結果である。
どう時間稼ぎをするかで悩んでいたところ、
木製の防具を使おうと考え、試験官に言う。
「おまえ、能力を持っていないのかぁ?」
僕には試験官が煽っているように聞こえた。
フツフツと湧く怒の感情を制御し僕は質問に応答する。」
今試験官に敵意を向けたところで自分に能力がないということには変わりない。
それにもう子供ではないのだから。
「はい!」
僕は少し邪悪な笑みを浮かべて試験官の顔をみる。
僕としたことが、まだまだ子供だなと自分で反省する。
そして周囲から案の定、抑えきれないといった笑い声が
聞こえてきた。
僕は【原始人】というあだ名をもつ有名人だから
本人に会えてさぞみんなは嬉しいんだろう。
どこまでもバカにしやがってと思うが、
僕に能力がないのは事実だ。
「人間はどうしても表面だけ見てその人の価値を決めつけてしまう。それは人間という生物に組み込まれた遺伝子なんだよ。」
そんなことを言っていたおじさんを思い出す。
あのときは柄にもなく、冷静だったな。
「だが人間には抗う力がある。
それは世界中の全ての生物で一番といっていいほどだ。
だからな、俺はお前に救いの手をさしのべたんだ。
数いる捨てられた子どもの中でおまえが選ばれたんだ。
幸運だと思え。
おまえに約束してほしいことがある。」
あの時は全身が凍えていて、空腹で、
今にも死にそうな状態だったので声を出すことができなかったな。
そして今まで、そして死ぬまで
僕という身体の中に刻まれた約束、いや〝宿命〟がある。
「抗え。この世界の不条理から。
戦え。弱者のために。
救え。尊い生物の命を。
守れ、これからできる友を。
ーかっこよく生きろ。ー 」
抗うよ、僕は。
さぁ、汚名返上だ。
引き分けなんて負けと同じだ。
ーこの時の僕はどこか自分らしくなかった。ー
普段は能力をもつ相手になど手を出すのが愚策だと感じ
いつも下手に出ていたが、自分の隠された遺伝子が
うずくように僕の考えに変化をもたらしていた。
先ほどまでは盾を選ぶつもりだったが、
本能のようなものが剣を選ぶべきだと
ードキンドキンー と、うずいていた。
そして僕は剣を選んだ。
試験官は、剣を選んだ僕に対し、ニヤリと笑みをこぼし、
「こいつぅ、おもしれぇなぁ!」とつぶやいた。
下準備を済ませた僕たち受験生に試験官が
激励をおくる。
「お前たちの活躍を観にぃたくさんの観客で会場は熱気を帯びているぜぇ!
今日一日だけだぁ。ありとあやゆる手を使って
全力を尽くせ!そして胸張ってこの学園に入った
お前らが見れると期待してるぜぇ?
本気で頑張れよ!出陣だぁ!!!」
おおおおお!!!!!!!!!!!!
この控え室にいる全ての受験生のやる気が
MAXにみなぎり、全員で円陣を組む。
初めて今日会った人や僕を笑う人などと僕を含む受験生同士の壁をこの試験官が破壊してくれたのだろう。
事実、先ほど僕のことを笑っていた受験生でさえ
僕に頑張ろうなとコンタクトをとってくれるほどだ。
僕はこの試験官に尊敬を抱きつつ、
この控え室内の熱気にのみこまれていた。
次回で試験編終了!
今回で終わらせるつもりが、
前置きが長くなってしまいました。
すいません。すいません。