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拝啓、空を飛んだ君へ  作者: 月影うるか
1章
3/5

2

 都内で何番目かに広いらしいキャンバス。中高大一緒だから無駄にでかい。

校門から下駄箱まで体感三分ぐらい歩く。地下にある下駄箱で靴を履き替えて四階まで上がるって考えるとそれだけで憂鬱である。


「それじゃ、またお昼休みに!」

「はいよ」


 高二になって別のクラスになった雫と教室前で別れてガラガラとドアを開ける。

雫は大人しい性格であまり友達というものを作らない。小・中学時代や高一の時は俺経由で誰かと仲良くなってるという感じ。ちゃんとクラスに馴染めてんのか心配だ。前に聞いた時は「光は私のお母さんですか?」って真顔で聞かれた。

それでもなんで心配してるかって移動教室で隣のクラスが移動してる時に雫を見かけると一人なのだ。昼ご飯はずっと俺とばかり食べている。

幼稚園からの幼なじみなわけだし心配するのは当たり前だろう。

女子高生の夏休みなんて毎日友達と遊びますって感じなのにそれもなかったな…。


「よっ!ボケっとしてどうした」


 窓際最後尾という最高のポジションにある俺の席。の前の席にいる声をかけてきた奴は中学時代からの知り合い。

ザ・クラスの人気者です、と言わんばかりの風貌と性格。実際そうなのだが。


「今日の数学小テストの問題がどんなやつか考えてた」

「え、今日小…テスト?」

「先週言ってただろ」

「MA☆ZI☆KA」


 数学は3限目、今から教科書なりノートなりなんなり見れば少しは点数稼げるだろう。必死になってノートと教科書を見ている相澤(かける)とかいうやつは放っておいてまた窓から外を眺める。

 夏休み明けて数週間がたった今も暑い日が続いている。毎年夏休み明けには制服を衣替えしてるはずなのに夏とほぼ変わらぬ気温の中で長袖なんて着てたら干からびてしまうという先生の判断でまだ夏服で過ごしている。それでも暑いと思うのだからこの地球はどうなったものか。校則が緩めのこの学校はワイシャツとズボンかスカートを着用していればその上にパーカーを着ても、カーディガンを羽織っても良い。それを良いことにワイシャツと称してアロハシャツを着てきたバカがいたらしい。それがこの翔だったということを思い出して少しだけ笑う。

ぶっ飛んだ行動をする翔が起こす非日常的な刺激は退屈ばかりの日々を少しだけ変えてくれる。しかし、それをひっくり返すほどのバカはしないから安心してその刺激を受け入れられてるわけだが。

チャイムが鳴れば先生が来て朝礼をする。1限は国語だったか。すぐ後ろのロッカーから教科書とノートを出してまた外を眺める。雫のクラスは1限が数学だったはずだ。授業が終わったら回収しに行こう。

しかし、どうしてこうも古文の授業というものは眠くなるのだろう。


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