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魔法金属ってすごい……

 はい! ということで、ここ最近はダンジョンの地下一階でスタン耐性を上げつつゴブリンを乱獲しております。

 地下二階のオークでも良いといえば良いんだが、若干強いのと武器が鉄の割合が高いから今回はなし。ゴブリンの方が銅の武器持ってること多いからね。


 これまで鉄板で補強していた革の防具類を全部ヒヒイロカネ補強に変更して、武器の方も鉄の棒からヒヒイロカネの棍棒に変更。

 棍棒に関しては、ただの真っ直ぐな棒だったのをいわゆる鬼の金棒みたいな形にして大型化した。トゲはないけど。


 大型化すると重くなるわけだが、どういうわけか同サイズの鉄よりヒヒイロカネの方が大分軽いのだ。本来なら銅のほうが重いはずなのだが……。


 まあ、性能が高くなるなら文句はないってのと、種族レベルが上がったおかげで元のステータスから比べると二倍くらいの重さの武器でも問題なく使えるってことで大型化に踏み切ったのだ。


 性能は次の通り。


【ヒヒイロカネの棍棒:攻撃力43 属性:打撃】


 ……いやー、大型化したとはいえアホみたいな攻撃力だよ。これならオークも一撃で倒せそうだ。

 調子に乗って、サブウェポンとして剣も作った。


 それがこれ。


【ヒヒイロカネの剣鉈:攻撃力32 属性:斬撃】


 刃渡り三十センチ、幅七センチの分厚い片刃の剣だ。やはり強い。これなら打撃が効かない相手にも安心して使えるだろう。

 ただ俺は剣術とか知らないので、振り方を練習しておかないと危ないだろう。自分の足とか切りそうだ。


 まあ、漫画とかの知識でなんとかするしかない。

 刃物は棍棒に比べて、短くても攻撃力が高いみたいだから余計にね。


 あとヒヒイロカネで補強した革鎧一式も挙げておこう。


【革鎧(ヒヒイロカネ強化):防御力16】


 これ以外に【兜】【小手】【脛当て】があり、それぞれ同じ防御力になっている。

 やはり、総ヒヒイロカネ製の武器に比べると落ちるが、革鎧自体の防御力が5であることを考えれば十分な強化だろう。


 そして、そんなこんなで俺のステータスはこんな感じに。


【名前:リョージ】

【種族:人間LV12】

【所持CP:36955】

【所持品:ヒヒイロカネの棍棒×2 ヒヒイロカネの剣鉈×2 ナタ 低級回復薬×2 低級解毒薬×2】

【所持スキル:木工LV3 石工LV3 細工LV2 棍棒術LV3 二刀流LV2 地属性魔法LV3 金工LV3 魔力増加LV3 水属性魔法LV2 風属性魔法LV2 火属性魔法LV2 植物鑑定LV2 恐怖耐性LV5 毒耐性LV2 魔力探知LV3 打撃耐性LV1 刺突耐性LV1 体術LV1 スタン耐性LV1 魔力操作LV1 剣術LV1】

【称号:6級冒険者】


 耐性とすでにレベル3になっていたものを除いて軒並み上がったよ!

 あと、ヒヒイロカネを作りまくっていたおかげか『魔力操作』が、うろ覚えの訓練と実戦で『剣術』が生えた。


 ダンジョンで討伐系をこなし食料系や薬草類も納品していたので冒険者ランクも上がったが、特に美味しい依頼は増えなかった。増えていたのは、ダンジョンの魔物の討伐依頼くらい。


 ……これって、周囲の環境が影響しているのではなかろうか?

 例えば強い魔物がいる地域なら、その魔物による被害が出る前に討伐せよ!なんてクエストが出そうだ。


 そう考えると、この辺は比較的安全な地域という事になるか。それはそれで良い事だな。無意味に強い魔物と戦う趣味はないしね。必要最低限で十分だ。


 ただまあ、種族レベルはまだまだ上げておくべきだろう。いつ何時、強い個体と出会うかわからないし、ダンジョンの深層に潜れば自然とそういう機会も増える。


 装備も一通り用意できたし、ダンジョンの地下二階をメインの狩場にするかなー。

 あそこなら出てくるのはクレイゴーレムとオークだけで、どちらも攻略法は判明しているから比較的戦いやすい。なおかつ、クレイゴーレムがそこそこの強さだから経験値を稼ぐには最適だろう。



 そんなこんなで地下二階へと狩場を移したのだが……。


「簡単に地図ができちゃったな」


 クレイゴーレムが身長二メートル、幅一メートル半くらいの、かなりごつい体格であるためか、通路も部屋も上階と比べてかなり広かった。そのため、踏破速度がかなり速くなってしまったのだ。


 結果、地下三階へのスロープもあっさり見つかることに。


「うーむ……実際のところ、ここじゃ物足りない感じではあるんだよな……」


 本日の狩猟数としては既に二十を越えているのだが、オークは棍棒でほぼ一撃、クレイゴーレムもシロクロコンビと共に攻撃すれば一分とかからずに倒せてしまう。そのため常に不完全燃焼で、油断してしまいそうで怖い。


 装備強化の恩恵と言ってしまえばそれまでだが、俺たちのレベルにこの階層があっていない状態なのだ。

 もちろん地下三階は未踏の地だから、気を引き締める必要はあるのだが……。


「……」


 チラリとシロとクロの様子を確認。まだまだ元気そうだ。というか物足りなそうだ。

 この二週間ほどで、彼らの態度が何を意味するのかは何となく分かるようになっている。


 今は立ち上がった状態で耳と鼻を動かしているのだが、これは彼らが次の得物を探している時の仕草なのだ。まったく草食獣っぽくないが、実際そうなのだから仕方ない。


「よし、下行くか!」


 ということで、地下三階へ突撃ー。



「……寒いっ」


 地下二階までに比べると、秋が冬になったくらいには気温が違う。

 なんかもう、この時点で何が出てくるか予想がついた気がする。

 寒い場所で巨人とくればイエティかビッグフットのどちらか、あるいは両方か?


 幸い雪が降ってるわけじゃないので、見通しが悪くなったり保護色になったりはしないだろう。

 魔力探知が阻害される感じもないしね。


 探知した限りでは、単体か二体でいる者ばかりのようだ。この階も通路が広いことから、モンスターが大物であるのは間違いあるまい。てことで、単体でいる奴から当たってみるべきだろう。



「くっそ、かてええ!」


 最初にエンカウントしたのは、大方の予想通りイエティでした。

 しかしこいつ、毛深くて全く打撃が通らない! しかも身長二メートル半くらいあるから、捕まったら終わりだ。特にシロとクロがやばすぎる。サイズ的に考えて。


 シロは風属性の魔法、クロは足元への牽制に徹しているが、有効打は一つもない。俺は俺でイエティの両腕に対処しているが、前述の通り毛皮に阻まれて「ちょっと痛い」くらいの反応しか引き出せていない。


 仕方なく、ヒヒイロカネの剣鉈に持ち替える。剣術のスキルレベルが低いのは不安要素だが、四の五の言ってる場合ではない。一刻も早く、この毛深い白ゴリラを倒さねば。


「オラァ!」


 クロに手を伸ばそうとしていたイエティの腕に、全力で剣を叩きつける。すると、ズバッという音とともに剛毛ごと肉を切り裂いた!

 初めての強烈な痛みにイエティが悲鳴を上げる。こっちとしては快哉を上げたい気分だ。


「ゴアァアア!」


 気を抜いたつもりはなかったが、どこか注意がそれていたのだろう。怒りの咆哮とともに、巨人の豪腕が俺の背に叩き込まれた。攻撃のあと半身になっていたためだ。


「うごっ!」


 打撃の勢いは俺を吹き飛ばすには十分で、あっという間に数メートル飛んだ後、地面にヘッドスライディングすることになった。

 痛みで息が詰まるが、動けないほどではない――と自分に言い聞かせて何とか身を起こし振り返る。


 視線の先には、イエティが大きく息を吸い込む姿があった。

 シロクロコンビの攻撃を無視してでも俺を仕留めにかかるつもりか!


「ファイアウォール!」


 俺が魔法を発動させるのとほぼ同時に、イエティは冷気のブレスを吐き出した。

 炎の壁と吹雪がぶつかって、辺り一面に蒸気が充満する。どうやらブレスを防ぐことは出来たようだ。視界はゼロになってしまったが。


 しかしイエティなら冷気攻撃くらいあるだろう、という予測が当たって助かった。事前に「冷気対策にはファイアウォール」と決めていたことが功を奏したわい。


 魔力探知の反応でも、イエティが炎を嫌って後退する反応が伺える。やはり火属性には弱いのか。

 一方、シロとクロは通路の壁際まで離れているが、慌てた様子はない。二匹は問題なくやれると判断しているのか?


 ……なら俺がキッチリやらなきゃな!


「ふぅー……」


 魔力の反応に従って、両手をイエティがいると思しき場所へと向ける。

 火属性を使いたいところではあるが……スキルレベルが低いことと慣れていないこと、それに広範囲に撃つには危険なため断念。今回は地属性で行く。


 両手の指一本ごとに一つの圧縮した石の弾丸を生み出し、全てを高速で回転させる。


「スパイラルブレット!」


 発声とともに、一気に十発の圧縮石弾を射出した。そのため脱力感に襲われるが、無理をした甲斐はあったようだ。


「ゴギャアアア!」


 弾丸の通過で吹き散らされた蒸気のブラインドの先で、体から血を吹き出しながら叫ぶイエティの姿が見えた。どうやら何発かは顔に命中したらしい。


 と、そこでシロとクロが動き出した。さっきまでと同じように、シロが風の魔法で攻撃し、クロが足元へ打撃を加える。

 それを嫌がるように、イエティが両手を振り回し始めた。


 ――なるほど、シロクロコンビは俺にとどめを刺す猶予をくれたんだな。

 それを理解した俺は、攻撃された時取り落とした剣鉈を拾って駆け出した。


 俺があと一歩で攻撃の間合いに入るというところで、シロが一際強烈な竜巻を放った。イエティは反射的に顔を背ける。まるで俺に喉元を狙えとでも言うようにだ。


「っりゃぁああ!!」


 気合一閃――両手で握ったヒヒイロカネの剣鉈を、跳躍と同時に横一文字に振るう。

 それは狙い過たずイエティの喉を切り裂き、頚椎に食い込んだ。


 ヤバイ!と思うが早いか、俺は剣鉈から手を離して跳躍の勢いのままに地面を転がり、その場を離れた。

 その背後からブオン!という風切り音が聞こえてくる……剣を掴んだままだったら、また殴られてたなー。


 膝立ちになって背後を振り返れば、イエティが光の粒子になって消えてゆく所だった。


『イエティを倒した!

 250の経験値を得た!

 レベルが上った!

 400CPを得た!

 雪巨人の皮を得た!』


 ふいー、なんとか倒せたわい。


「シロ、クロ、おつかれさん。マジで助かったわ……」


 ウサギ達に労いと感謝の言葉を告げながら、周囲に敵の反応がないか確認。大丈夫とわかったところで、深皿を二つ取り出して魔法で水を注ぐ。


 駆け寄ってきたシロとクロは、即座に皿に顔を突っ込んで水を飲み始めた。その様子を見ながら、俺も水を飲む。

 いやー、イエティは強敵でしたね。


 剣鉈がよく効いたのは良いけど、棍棒の方はほとんど無効化されちゃってたのが痛かった。かなり高い打撃耐性を持っていたっぽいなあ……。


 多分、ドロップアイテムが駄目になっちゃうだろうけど、しばらくは火属性の魔法での不意打ちから入るべきか。

 あとは剣術スキルが低くても剣鉈を使わなきゃ駄目だな。


「今日は、もう帰るか!」


 ゆっくり飯でも食いながら、改めて戦法を考えよう。



 翌日、俺が最初にやったことは気絶することだった。

 まあ、手に入れたイエティの皮をコートに出来ないかなーと思って、例によって細工スキルで行ける! と思い込みつつ魔力を全ブッパしたわけです。


 気絶した甲斐あって、皮加工スキルが得られたよ!

 ただ、イエティの皮がグレードの高い素材なのか、加工にものすごい手間がかかる。


 スキルのおかげで皮が伸びたり縮んだりしなくてすむし、裁断しなくても変形させられるのはありがたいんだけどね。

 結局、コートが形になるまで四日ほどかかったよ……。


 しかし、その出来はこの通り。我ながら中々の物だ。


【雪巨人のコート:防御力10 付与効果:物理耐性LV1 冷気耐性LV1 火耐性LV-1】


 耐性二つと弱点?は付くんじゃないかなーと予想していたが、防御力もそこそこ高いとは思わなかった。

 何にせよ、これを着ておけば冷気のブレスもある程度耐えられるだろう。火を使うやつが来たら困るけど。


 問題は、シロとクロの装備なんだよなあ。

 ダンジョンでの感じでは寒さにはかなり強そうではあるのだが、スキルとしては冷気に耐性がないし。


 イエティをもう一匹狩って、二匹用のツナギみたいな服を作ってみるか……。


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