2019/05/21 16:55/猩々
黒い影の人波は僕の周りを目まぐるしく行き来した
信号の囀りと車の音、ビルにぶつかる風の流れ
眩むような日と途方もない心細さ
いない。いない。お母さんどこなの
泣いて。泣いて。汚いごみのある道端
涙を垂らして濡れた、コンクリートの砂利粒を靴ですり潰す
このまま死ぬのかと思った、そんな思い出
同じ道。新宿駅近く、地下道へ向かう道
美佳ちゃんと歩く、おどけたりかっこつけたり
笑った顔とか服とか可愛くて
劣情を覚えて、なんとかいい感じにしようとする
でもその道端を見た時にふと思い出して
俺とかもお袋から、親父との仲があって産まれたのかって
あの時の寂しさ、怖さが、すごい気持ち悪くなった
同じ道。久しぶりの東京。章大を見失った
やばい。やばい。東京なんて頭のおかしいやつがうようよいる
私は忙しそうな、つまらなそうな顔をした人の流れとぶつかりながら
すみません。迷子の子いませんでしたかとか聞きながら
何か半狂乱になって、ちょっと泣いてたかもしれない
その道端は相変わらず汚くて、他がこんなに発展しても昔のままで
泣きじゃくる章大を見た時に、多分人生で一番安心して
それで気付いたんだ
ああ、全部つながってる
あの恐怖、あの劣情、あの嫌悪
この心配、この安心、この幸福
全部矛盾しないでつながった人の心だって
僕を、俺を、私を巡る
そして美佳とか章大を巡る
命ってここにこうしてあるものなんだって




