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詩送り  作者: 猩々飛蝗
69/545

2019/05/22 18:51/鷦鷯飛蝗

猫は居なくなっていた

そもそもどの街路樹の影か、覚えてもいなかった

その代わりあの猫と同じ若草色がコンクリートを必死に突き破っていた

実際俺も、最初はあれを下草だと思っていたのだ

もしかしたらただ雑草だったのかもしれない


今となってはわからない

ただ、竹に鶯が鳴いている

枯れた川の岸で

描き割りのグラデーションに向かって

滑らかな声で問いかけている


来し方を忘れて、耳元を通り過ぎた蜂の音に身を竦める

謎になってあの猫は俺に住み着いたのだ

ああしてやつは延命を果たした

或いは誕生を


そうしていつまで俺の中に居るのだろう

多分ずっと消えない

十の時分にみた奴もそうだった


そういう、どうしようもない話だ

人知れず身を尽くして他人の夢を摘む君に

どうしても届けなければならなかった話だ

それでも君はあきらめないけど

俺にはどうにも無理して見える

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