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2019/05/17 13:34/猩々
夜の見えない海嘯に飲まれて、目を覚ましたのは一羽の燕も羽搏かない、斑な海と岩肌だった
きっとあたしが眠ったのだということだけは確かだったが、いつ、どこで、誰が眠ったのかというのは、分からなかった
というより、そういう記憶は無数にあった
夢幻の経験がいつも返想に、蔦みたく絡みついて、捩りあって、繋がって、不可分な自分を作っていた
だから理想もごちゃまぜで、互いに希釈して、意気を削いで、消えていった
生きること
それは確かなことだった
眠る前の記憶を失う程永く夢を見るなんて、夢の鮮明な記憶と経験に頭を埋め尽くされるなんて、何とも言えず…やりきれないというか
唐突に感じる強い郷愁の、原因を少しでいいあたしの頭よ、見せてくれなんて叫んでいた
それでも目下、きっと無限の目下、地面と命だけは確実にそこにある
そうして天を覆うあの銀の雲の源も、どこかにあるのだろう




