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詩送り  作者: 猩々飛蝗
57/545

2019/05/20 7:52/鷦鷯飛蝗

爛れきったきみがねこで、

痩身病躯を透かしてやまない

疲れきったぼくはエゴで、

単身痩躯を溶かしてやまない


やりきれなさに

書肆の狭間を往ったり来たり

見つけた薬を――(ことば)は薬で薬が文字で、

呪術的に、だから


ごめんなさいだけど

こっそり懐忍ばせて

きみの横顔偲ばせて

ぼくをごまかして

無限の蔵書を後にした

無限だから、無限なので、

ふたつくらいなら変わらないだろうと

きみのためなら変わらないし

ぼくのためでも変わらない


そう思って急いだ石畳、

やっと着いて、おうちに、

きみにもただいま言わないで

おへやでやることしはじめた

きみを

癒すための詞を節を(ケツ)をひとつひとつ、丁寧に切り取って

それぞれに意味を込めて

意味の隠ったかたちをあげて

折り上げて、織り上げて

持ってきた薬箱達はすっかり歯抜けになって

こんな方法を教えてくれたその本もすっかり歯抜けになって

望んだとおりの構造が得られた

ぼくはすっかり満足して、これできみももう大丈夫って

ううん、それもだけど、みてみてすごいでしょぼくがんばったよって、のも、あって……

ともかくきみにもってった

屋根裏のきみにもってった

一目できみは怒り出して

本を大切にしないやつなんて嫌いだって

ごめん、そうだね

ちゃんと図書館へ

全部説明して

うん、うん

きみが咳き込み出したらやりきれないので

悪いのやっぱりぼくだった

最後はやっぱり赦してくれて

だからやっぱりきみだった


天窓、斜めで、月明かり注して、

しらじらとうそみたいに、

照らされて、悲しげな眼をしてる、

やっぱりきみのままで、

悲しさがこういう、目の前のことだと

きっといつもと違う眼なので、

だから赦してくれたのかなとか

卑怯なことも想ってみたり

おやすみはいつもよりか細くて

それでも厭ではないようで

床がいつもより軋んだ

ドアがいつもより響いた

階段もギシギシいって、

ベッドはなんだか埃臭かった

全部いつもどおりで、違うのはぼくだけで、

枕に、鼻水と涙が沁みた言い訳をしたいだけ

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