サバイバル飯!?
あとこれは大事なことだが肉がとても不味い。
臭いというか筋も多くとてもじゃないが食えたものではない。しかしミルーは美味しそうに食べてる。
食文化も違うのだろう、かといって、そんなミルーの前で吐き出すわけにもいかない。
貴重な食料なのだ、がんばれ―大輔、男らしさをみせつけるんだ。
生涯で一番頑張ったんじゃないだろうか、余りの臭さに泣きそうになりながらも完食した。
ミルーは余った肉と切り分けた石あと血だらけの石を3個俺のショルダーバッグにいそいそと詰め込んでた。
きっとバックの中はひどいことになっているのだろう。深く考えないことにした。
ミルーは最初の頃に比べて、随分懐いてくれたと思う。喋ってくれるようになったしね。
最初は木の根元に胡坐をかいて寝ていたのだが、朝、目が覚めるとミルーが胡坐の上で寝ていたのだ、かわいい。そして軽すぎる体に心を痛めた。
色々話したのだがミルーは、周辺の小さな村の子で口減らしの為に捨てられたのだろう、ということが分かった。
普段は絶対入ってはダメだと言われるこの 魔の森 に入るよう言われ、ミルーは捨てられた事を察したのだろう。
何日も森の中をさまよって、もう村に戻ることは無理そうだということ。
勉強なども教えることもない村なので、読み書きはできないし、この世界の名前もわからないってことらしい。
ただ、この国の名前は アルキア王国 だそうだ。
迂闊にも泣きそうになってしまった。
「ミルー、お父さんやお母さんに会いたい?」
「…いいえ、めいわくになるからいいです…」
「じゃあさ、ミルーさえよかったら森をでても一緒に暮らさない?」
「…めいわくにならないですか?」
すごく不安そうな顔してこっち見てる。
「全然迷惑じゃないよ、むしろ俺の方が助けられてるからさ」
手を差し伸べてみる。
「ありがとうございます」
泣き笑いながら胸に飛び込んでくる。鼻水が服につくのもお構いなしに泣き続けるミルー。
服のきれいなとこで顔を拭ってあげた。
この服はなんの罪を背負ってるのだろうか、今じゃきれいなところを探す方が難しい。
でも、これでいいのだ!
今更見捨てることなんてできないしね。呪いの棒さえあればなんとかなるだろ。
生活拠点を手に入れて、安定したらミルーの両親を探してちゃんと挨拶しよう。
【ミルー立派に育てます】って。
血の滴るバックを見ながら思った。
もう十分立派かもしれん。