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クリミナル・ブラッド  作者: 黒雪
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もう一人の

遅くなった・・・やっぱりクリブラもたまには書かないとですね。

 「・・・報告事項は以上です」

 帰投後、メルヴィは看守に報告をする。

 「ネクロの挙動がおかしい、か。少なくなっているのは好機と捉えるべきか・・・」

 看守は報告を受けると、独り言をぼやいた。

 「分かった。下がっていい」

 「・・・失礼します」

 

 レーナ達の部屋。レーナとエドナは戦闘用の上着を脱いだ後、ベットを椅子代わりに使って休息を取っていた。

 「とりあえず、今日の贖罪はこれで終わりね」

 「そうだねー。さて、今日の所は先ず食事済ませよ」

 「エドナの言う通りです。疲れも溜まっているでしょうから、今日はしっかり休みましょう」

 メルヴィは二人に笑顔を見せる。

 「・・・」

 ただ、レーナにはメルヴィのその笑顔に違和感を覚えずにいられなかった。

 「・・・とか言って、メル姉が一番疲れてるように見えるよ」

 自然と、レーナはメルヴィを咎める様な、強めの語調で言っていた。

 「・・・!」

 「まあ、ね・・・メルヴィ、最近ちょくちょく辛そうだよ。・・・看守と何かあったとか?」

 エドナも、レーナの言葉に便乗するように、メルヴィに言った。

 メルヴィはどう答えようか、困惑した顔で暫く俯いていたが、観念したように、はにかんだ様子で微笑した。

 「やっぱり、二人には隠し事は出来ませんね」

 だが、同時に首を振った。

 「ですが、私はまだ平気ですよ。・・・とはいえ、そうですね・・・久しぶりに、解放日を使ってもいいかもしれませんね」

 「メルヴィ、ほとんど解放日使う事ないもんねー。ほんと生真面目だなぁ。・・・こんな所に尽くす必要無いのに」

 エドナが、皮肉を含んだような言葉を吐いた。

 敢えてか、二人はその言葉を咎めたりはせず、苦笑をこぼした。

 「さて、それはそうと、解放日を取るなら申請しに行かなければ。二人共、食事を終えたら行きましょうか」

 「さんせー」

 「うん。了解」


 同時刻。

 鋼鉄の高壁に囲まれた街。崩壊した世界で辛うじて機能を失わなかった建造物が並び、荒廃した外界とは裏腹に、領域内では生存した人々が、それぞれの営みを復興していた。

 生産プラント、発電を行っているのであろう施設が設置された区画も含めると、領域内の住民が暮らす場所はかなり限られたものになってしまっているが―――しかし元より、ネクロが地上に現れる前の頃から、人口は既に一割満たない数に減ってしまっている。この領域にいる人々も、全体的に見れば、昔に比べれば随分と少数だろう。

 この領域はそれでも十分に復興された方だ。

 特に恐れる様子も無く、人々は領域内を行き来していた。

 「・・・ここは、かなり規模が大きいな」

 そんな街の様子を一人の青年と、その後ろを歩く少女は興味深げに見渡していた。

 ・・・といっても、どうやら少女の方は街よりも前の青年に対して視線を注いでいる。

 「はぁ・・・レアは主様と同行させて頂けているだけで、感無量です・・・」

 「そ、そうか・・・。いやそれよりレア、ここで「主様」は控えてくれるか?」

 主様、と呼ばれている対象なのであろう、その青年は、複雑そうな面持ちでレアという少女に言った。

 青年が言うと、レアははっとしたように口をつぐんだ。

 「も、申し訳ありません。えっと、レ、レーヴェ、さん」

 レアは心底沈んだ表情で、ためらいがちにその青年の名を呼んだ。

 あまりにも極端な反応に、レーヴェは少し、不要な罪悪感に苛まれた。

 「・・・いつもその呼び方で良いんだぞ?」

 「いえ、それはなりません。今回の様なケースであれば致し方ありませんが、ある・・・レーヴェさんをそのように呼ぶなど・・・」

 「・・・」

 レアは自身の胸に手を当て、自分を戒めるかのように言う。

 「ま、まあ・・・気負い過ぎるなよ」

 生真面目すぎるのも考えものだな、とレーヴェは思う。

 「Yes,my lord...それでは、今からどうするのですか?」

 「そうだな・・・ここでの通貨は入手したし、現状は視察・・・って所か」

 「本部からは特に命令等が下りているわけではないのですか?」

 「ああ、あくまで「監視」が目的だ。今は様子見だよ」

 レーヴェは街の商店を一瞥すると、おもむろにある気始めた。

 レアもすぐさま反応し、レーヴェに続く。

 表で軽食を売っていた店に寄り、店主らしき男性にレーヴェは気さくに話しかけると、少ししてパンの様なものを二つ購入してレアの方に戻った。

 その一つをレアに渡す。

 「あ・・・ありがとうございます」

 「保存は効くらしいから、無理に今食べなくてもいいぞ?」

 そうレーヴェは言うが、レアは首を小さく横に振ると、それを口に運んだ。

 「ん・・・悪くないです」

 「食も安定している・・・と」

 そう言ってレーヴェもそれをかじった。

 「・・・とりあえず、今日は一度戻ろうか。もう陽が傾いている」

 レアは、こくりと頷いた。

 道中街の人々から情報を集めつつ、二人は街の一画にある空き家に入った。

 中は既に整頓されており、電気系統は別枠で設置してある。それも最低限、明かりに使うライトと、使えるのはシャワールーム位だ。

 レーヴェはレアに、ベッドの方に座るよう促す。

 「しかしぬかりが無いですね。ここまでしてこの領域に居座る必要があるのですか?」

 するとレアは問いながら、床に正座で座ろうとした。

 「・・・まず、ベッドにでも座ってくれないか」

 「え・・・あの、それは・・・」

 「いいから。逆に気にするよ」

 レーヴェが言うと、レアはすぐさまベッドへ移動し、腰かけた。 

 それを確認してから、レーヴェはレアに向かい合う形で、椅子に腰かけた。

 「で、質問に答えようか。そうだな、例えばこれとかもそうだが」

 レーヴェは先程買ってきたパン(のようなもの)を机に置く。

 「レア、今日簡単に見た感覚で、この領域についてどう思う?」

 「それは領域の状態、という事でしょうか?」

 レアの確認にレーヴェは頷く。すると、レアは少し考え込む様な仕草をすると

 「配給制というわけでもありませんでしたし、通貨が使用され一般市民間で物の売り買いがされている、という所から、生活物資の供給は十分に行き届いています。つまり生産プラントの稼働が活発という事でしょうか」

 レアは先ずレーヴェが机に置いたそれに関連した考察を述べる。レーヴェは続けて、と促した。

 「電気系統も同様です。ただしこれは全体に供給されているわけでは無いように思われます。正しくは供給に制限がある・・・でしょうか。建造物は使われていないものは放置されていますが、要塞とそれを覆う壁の完成度を見るに資源は十分保有されているかと。

 ・・・そして、この安定性を保てるだけの咎人がいる、という事でしょう。質なのか、量なのかは測れませんが」

 そこまでレアが言い終えると、レーヴェは感心したように頷いた。

 「ああ、十分だ。よく見ているな」

 「もう何度目かですし。主様を見ながらでも周りの警戒位容易く出来ますよ」

 「そ、そうか・・・」

 レアの素直な返答に若干戸惑いを見せながら、上を指さした。

 「少なくとも、俺達が街に侵入する前までにも、少なくとも六隻の戦術輸送機を確認している。おそらく相当の咎人がいるんだろうな」

 「同時にここは排他的・・・。近いうちに我々の支部にまで手を伸ばしてくると?」

 「可能性の話ではあるがな。まあ、明日も引き続き情報収集だ。今日は休むとしよう。レアはベッド使っていいよ。俺はその辺で横になっておくから」

 今更だが、その部屋にはベッドが一つ、隅に置かれている。

 「・・・主様、流石にそれは不敬極まりない行為です。私だけベッドを使うなど、私が許せません。どうか主様がお使い下さい」

 「・・・いや、体に悪いし遠慮しなくていいよ。俺は床でも慣れてるし」

 「では私も床で寝ます」

 「それベッドの意義が無くなってるんだが・・・」

 レアも今回は従おうとしなかった。沈黙の譲り合いが暫く二人の間で行われる。

 「・・・む、なら仕方ない」

 先に、レーヴェが口を開いた。妥協してくれたかと、レアは胸を撫で下ろした、が。

 「なら一緒に寝るか?」

 レーヴェは何の躊躇も無く、特大の爆弾を投下した。

 「・・・」

 「・・・」

 「・・・え」

 レーヴェの言葉に、レアは一瞬思考が止まった。

 「えええええ!?」

 


クリブラのネタに詰まっていたらいつの間にかこんなことに。さっさと零落者も上げようと思ってますのでそちらは暫くお待ちを・・・。

ただ六月は若干遅れる・・・かも。

こんな感じですが、今後ともよろしくお願いします。


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