咎人の日常
※出し忘れてました。
贖罪を終え、メンバーでひと時の休息をとるレーナ達。
だが、朝が来ればまた戦いが始まる・・・。
「・・・とまあ、そんな事があってな」
レオンの部屋はレーナたちと同じくA階層にある。男女で部屋はなるべく分けられているものの、部屋の位置まで厳格な区切りは存在しない。そのためレオンの入った部屋はレーナ達とほとんど離れていなかった。
「意気地なしめ」
レオンの説明を聞いて、部屋にいた三人の内の一人の少年が罵倒を返してきた。
「酷くね?」
「そうだよ、一応これでも副隊長なんだよ残念だけど」
「フォローになってねぇ!ってか結局罵倒してるよな!?」
レオン含め、部屋にいたのは先程同行していた少年達だった。全員制服のまま待機していたようだ。
「しかしふくたいちょが急に部屋に飛び込んでくるから何事かと思ったら・・・鍵かけ直しとくんだった」
・・・それにしても若干レオンへの風当たりが強い気がするが。
「そういうところで堂々と居座れないのがレオンなのかな?」
「全くだな。あの二人が下着一枚の時なんて珍しくもない・・・」
「ん?でもエドナは兎も角、僕達の時はレーナはそこそこ恥じらってる気がするけど」
「ぐぐぐ・・・お前ら、好き勝手言いやがって・・・」
三人はレオンをからかっている、のだろうが、レオンは割りと図星だった。
「それで、俺達はここで待っておけばいいんだな?」
「・・・ん。それで良いはずだが」
ほとぼりが冷めてたのを確認すると、おそらく一番長身であり年長の青年、ルークがレオンに訊いた。
あまり他の三人に比べて感情表現が薄いように思えるその青年は元々レオンをからかう意思も薄かったようだ。つまりはただの批難だったという事なのだが。
そしてその確認も要らなかった程度の時間で、レーナ達がレオンの部屋を訪れ、全員でフロアを降りた。
飲食の為のスペースは居住エリアの一階にそれなりに広く設けられている。
この要塞内の居住エリアの住人達全員が使用するからだろうが、ただそれでも人が集まるとまだ窮屈なくらいだった。
「えー。・・・んじゃ今日の贖罪もお疲れ様っした!」
「「「「「「お疲れ様ー」」」」」」
レオンの掛け声で全員がグラスを掲げる。
看守達は居住エリアに立ち入る事が少ない為、こうしてメンバーで集まって食事をする者は少なくない。
彼らが飲んでいるのはソウルと呼ばれているものだ。滋養強壮効果があり、味は若干の苦みと酸味のある炭酸飲料・・・栄養ドリンクに似ている。なお原材料は記されていないが、人間の食べ物の範疇ではある、らしい。
たとえそれが何であっても、それを今更気にする者はこの世界にはもうずっと少ないだろうが。
「今日も難なく終わったけど、また明日も「贖罪」しないといけないのかー・・・最近ネクロ増えてきたし、正直きついなぁ」
エドナが食事を口に運びながら愚痴をこぼす。
「そうね・・・噂だと王っていうのが現れたらしいけど・・・」
横に座っていたレーナも同意した。
「王?ああ・・・群れを率いてるやつがいるのかぁ。私はやり合った事ないけどね」
「私も無いな・・・メル姉は?」
軽いノリでメルヴィに訊くと、メルヴィは表情を重くした。
「非常に危険な個体です。かく言う私も、一度戦ったことがある程度ですが」
メルヴィの言葉が冗談めかしているものでなかったのは、その場の全員が分かった。
「ん・・・まあ、あれとは正直もうやり合いたくねぇなー」
そんな事をレオンは言う。どうやら男性サイドは、王、と名の付くネクロを知っている様だった。
それ以上言うと場が重くなるような気がして、レーナはそれについてそれ以上言おうとはしなかった。
「ま、それはそれで・・・明日も頑張ろうぜー」
それを擁護するように、レオンが言った。続けて、それに全員が頷く。
再び元の空気に戻ると、その後は、和やかな一時が流れた。
翌朝。何の変化もない一日が再び始まる。
朝食はレーナ、エドナ、メルヴィの三人で済ませた。数分間を開けて、ロビーへ向かう。
既にレオン達はロビーに来ていた。
「おはよう。これで全員だな」
「おはようございます、レオンさん。・・・それでは一先ず、贖罪の内容を・・・」
そう言って受付に向かおうとしたメルヴィをレオンが止める。
「確認済みです。どうやら今日は残骸集め(スカベンジャー)部隊の護衛みたいですね」
残骸集め(スカベンジャー)とはその名の通り外に残る資源の回収を行う者達の事だ。残骸集め(スカベンジャー)は頻繁に行動するため、その護衛が割り当てられる事は珍しい事でもない。
「了解しました。それでは集合の定時まで待機ですね」
ガレージの集合場所で、残骸集め(スカベンジャー)が来るのを待つ。
間もなくそれらしき人達が、メルヴィに近付いてきた。
「朝早くからご苦労様です。今日はメルヴィさんの部隊ですか。頼りにさせていただきますよ」
メルヴィに話かけたのはメルヴィやルークよりも年上の男性だ。メルヴィの隊は平均年齢が低い方だが、勿論それ以上の年齢層の咎人もいる。
その男性の後ろには、レーナと同年代らしき者も含め数人が同伴していた。
「こちらこそ、今日はよろしくお願いします」
メルヴィも朗らかに挨拶を返した。
「全員揃ったか」
そんなやり取りをしていると残骸集め(スカベンジャー)部隊の後ろから、鎖を身に着けた男が歩いてきて、メルヴィ達と残骸集め(スカベンジャー)部隊の間をとる位置に立った。
その看守は昨日メルヴィが報告後に会った看守の一人だった。
看守の男はメルヴィを一瞥した後、持っている端末を確認する。
「よし・・・それでは伝わっているだろうが、確認しておく。今回の内容は指定範囲の探索、及びネクロの討伐だ。ここから距離があるため、今回は一日を通してこの贖罪を果たしてもらう」
看守の男が端末を操作すると、メルヴィら全員の小型のデバイスの「贖罪リスト」が更新され、内容が表示される。
「なお今回の贖罪を終え次第、「解放日」を設ける。何時にするかは各自に委ねるが、申請は出しておくように。また次の解放日取得条件を満たした時に申請されていない古い解放日取得権限は破棄される事に注意しておけ」
「解放日・・・か」
咎人は基本的に要塞外に出る事を許されていない。最低限の用品なら要塞内で購入できるようになっている。
ただ、咎人の能率維持のため、一定以上の贖罪をこなすと自由行動期間が与えられる。これをこの領域では「解放日」と呼ぶ。
ただし枷の抑止力により、解放日でも過ぎた行動は当然制限されている。
「現時刻〇六三〇・・・時間だ。速やかに出撃の準備に入れ」
看守の指示と同時に、動き始める。
全員が輸送機に乗ると、輸送機は発進した。
一時間程度経ち、辿り着いた場所の上空で、輸送機の後部が開く。ある程度クリアリングされた撤退時以外では、基本輸送機は着陸しない。
「皆さん行きますよ」
メルヴィを先頭に降下していく。地表との距離十数メートルというところで、履いていた靴から強烈なエアーが放出され、速度が落ちる。バランスを間違えれば重大な事故を起こしそうな降下方法だが、全員難なく着地を成功させた。
着地後、背中に装着していた巨大な「箱」を外して、横に置く。
箱に力を入れると、箱が変形し、武器の形態をとった。
「さあ、始めましょうか」
「外」に出れば何時会敵しようとおかしくはない。全員が、辺りに漂うネクロの気配に構えた。
この一週間が過ぎれば少しは楽になるのだろうか・・・とまあ思っても多分他のやる事が出てくるんでしょうね・・・。
なんだか平日が長く感じて仕方がなくて若干疲労気味です。やっとクリブラも出せました。
できれば早めに他も出したいなと思っているので、暇な時に確認してみて下さると幸いです。
それでは今回もありがとうございました。




