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再会

 その日は雨だった。


俺、(園原そのはら あおい)は通学路の陸橋の上を傘をさして音楽を聞きながら歩いていた。梅雨に入って数日晴れたと思ったらこれだもんなー。陸橋から見る車の群れはみんな急いでいる。

何をそんなに急ぐことがあるのか・・・。

そんなに家に帰りたいかな?

雨で足元がぬかるむからっていう理由ならわかるけど。

まぁでも、雨は好きだ聞きたくないものを聞かなくてすむから。


少し顔を上げて前を見ると道路をまたぐようにかかる陸橋に、傘もささず真っ直ぐにどこか遠いところを見つめている同い年ぐらいの女の子が見えた。

6月も一週間が過ぎたといっても雨が降れば気温が下がって肌寒いのに。

「なにやってんだろう」そんな言葉がこぼれた。

その子に近づくに連れはっきりと顔がわかるようになった。

「立花・・・?」

立花たちばな あかりは俺の中学時代の同級生だ。話したことはないけど、中学2年から卒業までの2年間同じクラスだった。

なにしてんだろうこんなところで。


まだ真っ直ぐにどこか遠くを見ていた立花の横顔を見た瞬間

雨なのか涙なのか分からない大粒の雫が彼女の頬を伝い落ちた。


それを綺麗だと思ってしまった時


俺は・・・。彼女が見つめるその先を一緒に見たいと声を掛けたんだ。



「立花っ!」


誰かに名前を呼ばれて振り返ったら中学の時のクラスメイトがいた。

あわてて、涙を拭って笑顔で「久しぶりだねー」って震える声で言った。

園原はなんとも言えない複雑な顔で久しぶりって小さく答えた。

「傘もささずになにしてんの?」園原は目を真っ直ぐに見て聞いた。

そう聞かれた時、私はドキッとした。

(死んだら辛くなくなるかな?なんて言えない)

そんなふうに心の中でつぶやいた時園原の目が大きく開いた。

「死ぬって・・・。」「・・・え?」園原が小さく呟いたことに私は驚いて声を出した。

目をそらして吃る園原。私達の間に少しの沈黙が続いた。

園原が口を開いた。

「あのさ、ちょっと話さない?」

その提案に私は頷いて園原の傘に入って近くの喫茶店に入ることになった。

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