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遅くなってすみません。
よろしくお願いします。
俺は、ただひたすら走った。
今、この場所に居たくなかったから。だから走った。
まわりからは、家族で喜ぶ声が聞こえる。
俺の胸はさらに締め付けられる。
この苦しみから逃れるように走った。
「おい、痛えな」
誰かにぶつかったが俺は走り続けた。
教会から出たあとも走り続けた。
魔法使いの適性があったことに浮かれて、周りを見下してしまった罰、なのだろうか。
いつの間にか家に着いていた。
後で気がついたことだが、草の冠を無くしていた。ぶつかったときに、どこかに落としてしまったみたいだった。
家の扉を開けると、そこには驚いた顔したガルードお爺さんが見えた。
「まだ、早いようじゃがどうしたのじゃ。それになぜ泣いておるのかの?」
言われて初めて気がついた。
俺の目に涙が溢れていたことに。
俺が何も言わないでいると、ガルードお爺さんは席を立ち俺を抱きしめてくれた。
しばらくして俺のお腹が鳴った。そして、テーブルには
美味しそうな食べ物があった。
「レント、食べるかの?」
そう言ってガルードお爺さんは、テーブルに俺を誘った。
席に着くと、テーブルの上にある料理から美味しそうな匂いがした。
手前にあった見たことのないパンをとった。そして、それを口に入れる。
その瞬間、俺は未知の感覚に襲われた。
いつも食べていたパンは固く、味もあまりいいとはいえなかった。何かを挟まないと食べれないようなパンだった。
だがこのパンは、そのまま食べてもとても美味しかった。他の料理も食べてみると、教会にあった料理に勝るとも劣らない料理で俺は無我夢中で食べた。
だいぶ食べた頃に気づいた。これは、ガルードお爺さんの夕食だと。俺は、おそるおそるガルードお爺さんを見た。でも、ガルードお爺さんは笑っていた。
「はっはっは、いい食べっぷりじゃ。男の子はこうでなくてはの」
そう言って、俺の頭を撫でた。
俺の目に涙が溢れてきた。
「どっど、どうしたのじゃ」
ガルードお爺さんは泣き出した俺に戸惑った様子だったが、頭は撫で続けてくれた。
そして俺は、今日教会であったことを話した。憧れだった魔法使いの適正があったこと、でも魔力属性がなかったこと。
その話を聞いたガルードお爺さんは、立ち上がり俺に言った。
「レント、お前さんはどうしたいのじゃ」
「えっ」
「これからのことじゃよ」
「それは・・・」
そう言って目をふせる。
この村にはもう俺の家族はいない。村のみんなはやさしいから暮らそうと思えば生活できるだろう。だけど今日、適正が決まってしまった。俺は、無能な魔法使いになってしまった。
考えると、ここで村のみんなみたいに作物を育て、一生ここで暮らすのもいいと思う。でも、俺の心がそれはイヤだと叫ぶ。だから・・・
「おじいちゃん、こんな俺でもおじいちゃんみたいな冒険ができますか」
「わしみたいな冒険ができるかどうかはわからないの。わし一人の冒険ではなかったからの。だがわしは、誰もがチャンスを持っていると考えておるのじゃ。チャンスを生かすも殺すも人それぞれだと思っておるのじゃ。そこでじゃ、レント、わしと一緒に来ないかの?」
「えっ・・・」
「わしも、かわいい孫を置いていくのは忍びないのでの」
「こんな俺でもついていっていいんですか!」
おじいちゃんは、優しく頷いてくれた。
「急ですまぬが、明日旅に出ようと思っておるのじゃ。」
「えっ──────」
ありがとうございました。
2018/2/20変更




