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呪術探偵マサヒコ  作者: おもち
呪術師マサヒコと悩める隣人
3/3

冒険者イエメン


今日も今日とて、お客さんは来るのがマサヒコ探偵事務所である。


まったりと寛いでいたが、ドアがノックされる。居住まいを正してから『どうぞ』と声をかける。


入って来たのは街では冒険者と呼ばれる職業の男性である。歳のころはマサヒコと同じく二十歳前半の茶色い髪を立たせた好青年風である。目元も優しく、鼻も高いため造形は至極だ。マサヒコと比べるまでもない。


「おーう!イケメン君!今日はどんな恋の悩み相談だ!?そして俺にどんな精神的苦痛を与えるんだ?マジで呪うぞイケメン君」


「マサヒコ。俺はお前に恋愛相談はしたことない。それと俺はイケメンではなく『イエメン』と言う名前だ」


「知ってる知ってる。俺の故郷ではさ、お前みたいなのは『イケメン』って渾名が付けられるんだ。だから俺は敬意と憎しみを持ってお前をイケメンと呼んでいる」


「そうか。敬意を払ってくれた事、感謝する」


「憎しみもね!?そっちがメインだからね!?」


「呪術師のお前だからな。憎しみなどの負の感情も仕方あるまい。難儀な職業だなマサヒコ」


「同情しやがった!あー同情したなお前!呪術を使うが呪術師じゃねぇって何度言えば分かる!俺は探偵だ!」


「悪いな。俺は『タンテイ』を知らないんだ。だから呪術師と呼ばせて貰っている」


「もうね、イケメン君と会話してるとね?俺がいかに小さな人間で、可哀想な容姿をしているのかを実感するね。呪うしかねーよな」


「自分の容姿を呪うな。マサヒコは俺は格好いい奴だと思っている」


「あー!お世辞はいらない!金をくれ!金さえくれれば、ある程度仕事するからさ!これ以上俺を惨めにしないでくれよ…」


うっうっと嗚咽混じりに懇願するマサヒコはどちらが依頼主か全く分からない。


「では単刀直入言うが…パーティに臨時で入ってくれないか?報酬は弾む」


「やだ。戦闘やらない」


即答である。しかし、イエメンは引かない。


「嘘を吐くな。お前の実力は知っている」


「戦闘、俺、怖い」


「…大丈夫だ。俺が守る」


「魔物、強い、俺、弱い」


「俺もお前も強い。何があってもお前の無事は約束する」


「お前、イケメン、俺、ブサメン」


「さっきから何でカタコトだ?問題無い。俺はお前の容姿じゃなく、中身を買ってるんだ」


「やめれ、気持ち悪い。じゃあ!ハッキリ言うけど!?お前のパーティメンバーが気に入らない!」


「何でだ?ジェシーもリッカも綺麗だし、実力もあるだろ」


「ジェシーもリッカも綺麗だね!強いね!知ってるよ!何回もパーティ組んだね!?でも、俺に対して辛辣だよね!?居た堪れないんだよテメーのパーティは!」


そう。何度もイエメンからはパーティを申し込まれ、マサヒコは了承している。下心ありきだったが、ジェシーもリッカも正義感が強く呪術に否定的である。その為、マサヒコに強く当たっていたのだ。


まだ対立していた時は良かったが、マサヒコの心が折れたのはジェシーもリッカもマサヒコに対して無関心になったからだった。


「それでも頼む。この通りだ」


頭を深々と下げるイエメン。イエメンとはなんだかんだで軽口を叩ける仲なので本気で頼まれると蔑ろに出来ないマサヒコだ。


「一応、俺は探偵なんだが…」


「前にも聞いたが探偵とはなんだ?」



「忘れたのかな。探偵とは困った悩みを一発解決!どんな悪事も呪いでシバく!頭脳と閃きで全てを見透かす名探偵マサヒコとは俺の事だ!」


「ならば、俺は困っている。一発解決してくれ。パーティメンバーに臨時で入ってくれ」


「あれー?断れない雰囲気?」


自分で自分の首も締める。それが迷探偵マサヒコなのだ。

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