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呪術探偵マサヒコ  作者: おもち
呪術師マサヒコと悩める隣人
2/3

大家の娘リーシェ


路地裏にはゴミやらクズやらと殺伐としている何かが散らばっている。中にはチンピラやヤクザみたいなものまで散らばっているのだから治安は悪い。


「路地裏は安心するな?負の力がすごいぞ」


「マサヒコさんだけだよ。そんなこと言ってるの」


リーシェはそう言ってマサヒコの服の裾を掴みながら歩く。するとチンピラが一人立ち塞がる。


「こんなところでデートか?兄ちゃん」


「デートに見えたか?リーシェちゃん、俺とデートしてるんだって。嬉しい?」


「デートならもっとちゃんとした所に連れて行ってよ!」


リーシェはマサヒコの背に隠れながら抗議する。


「あ、デート自体はいいんだ。じゃあ今度は明るい場所で…」


「マサヒコさん!お父さんに言って家賃上げて貰いますよ!?」


「リーシェちゃんは恥ずかしがり屋さんだからな。デートのお誘いはまだまだ大人になってからかな」


「あー!今イラッときた!何か俺はモテるんだぜ、みたいなスケコマシの片鱗を見せた!絶対家賃上げて貰うんだから!」


「うっそ!ごめんて!うそうそ!家賃上げられたら死んじゃうって!今でもギリギリなんだよ!」


あわあわと取り繕うマサヒコである。実際に金銭の面ではカツカツであるため大人の余裕を犠牲に年下に媚びへつらうのも良しとする。それがマサヒコである。


「いやーリーシェちゃんは、可愛いし、俺の好みだし?本当にリーシェちゃんしか見えなくなっちゃうくらいに夢中になっちゃってさー!だ、だから、ね?」


「むー、じゃあマサヒコさん?今の状況何とかして」


リーシェからボソリと『格好いい所見せてよ』と聞こえた気がしたマサヒコ。


周りを見回せばチンピラは一人ではなく囲むように何人もいる。


「さて、じゃあ。たまには格好いい所見せますか。良く見てろよリーシェちゃん。多人数対単体の戦闘をな」


「で?兄ちゃん、漫才は終わったか?今から痛い目見ちゃうかもしんねーけど、恨むなよ?」


最初のチンピラが拳を鳴らしながら言う。


絶体絶命に思えたリーシェだが、思わぬ展開となる。周りのチンピラ仲間から声が上がる。


「おう。新入り。兄貴に向かって何やってる?」


「は?え?兄貴?」


「マサヒコの兄貴に何してるって聞いたんだよ。あぁ!?」


「い、いや、だってコイツがなんか…」


「兄貴が何した?おう。教えてくれや新入り」


!?


こんな記号が見えた気がする。ついでにビキビキと擬音が聴こえるがきっと気のせいだろう。


「路地裏の掟。『兄貴に逆らうな』これが第一の掟だろうがボケェ!?」


一人の新入りが多数のチンピラに群がって行く。


「リーシェちゃん。これが多対一の醍醐味だ。数で押す。兵法の基本だな」


「ま、マサヒコさん…裏で何をやったのよ…」


うんざりした様子のリーシェをマサヒコはスルーして、目的のミーちゃんを確保する。ミーちゃんは無抵抗であり、単純に道に迷った様子であった。



新入りがどうなったかは誰も知らない。




「ねえ、マサヒコさん」


帰路へ歩く中、ミーちゃんを抱いたリーシェがマサヒコに問いかける。


「ん?」


「マサヒコさんはどっか行かない?」


難しい質問だな。とマサヒコは思った。だが今の所は何も目的は無い。


「リーシェちゃんはどっちがいい?」


だから曖昧にして相手の出方を伺う。


「私は…」


しばらくの沈黙。歩みは止めない。


「私は、マサヒコさんの意思を尊重するよ」



「お!大人になったなぁリーシェちゃん!前までは『マサヒコさんは私のとこに居ないとダメ!』って可愛く喚いたのになぁ」



「本当はそうしたいけど」


「今日のリーシェちゃんは素直だなぁ。何時もそうだったら、何でも言う事聴くのにね!」


「じゃあ、素直になるから、どこにも行かないでね」


妙に女っぽくなってしまったマサヒコの知る少女。真面目に返されるとマサヒコはたじろぐが、マサヒコとしては喜ばしくもあるが、妹のように接してきたために複雑ではある。


リーシェの事は好きだが、好きなのだが恋愛感情ではないための複雑さなのだ。


でも。今だけは


「分かったよ。リーシェ」

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