パラサイトミミックになっちゃった。
僕はおやのコネで入った会社を辞め自堕落な生活を送っていた。
顔はそこまで不細工ではない為遊ぶ相手にも困らない。
「よーし今日も遊ぶかー」
街で横断歩道を渡りゲームセンターに行こうとしたときに車にひかれてしまった。
「くそ……、親の金でじいさんまで生き残りたかったのに」
バタッ
僕は死んでしまった。
起きるとじじいがいた。
「わしは転生爺じゃ」
転生爺は言った。
「爺、オラを生き返らせてくれー! 」
僕は言った。
「いいだろう、だが別世界で、貴様のような迷惑なやつは底辺の村人にして苦労させてやるわ」
爺は笑った。
「そんなー、助けてくれよー」
僕は足にまとわりついた、初めて会うがこの際どうでもいい。
「黙れこの、社会の寄生虫が! 」
爺は枝で僕を振り払って、言った、その瞬間僕は消えた。
「あっやっちまった」
爺はただただ突っ立っていた。
ん? ここは。
なんだか視界が黄色っぽい。
まぁいいや。
暗いし寝よう。
何日か寝たと思う。
誰も来ない。
ここで僕は体の確認。
なんだか壁が近くにあるのだが地面も近い。
天井も近い。
あれ、これすごい巨大になってない?
そうか、別世界だし、ファンタジーの世界なのかも。
としたらでっかい魔物か。
よーし、なら人がくるまで寝てても安全だ。
しかし、寝ることはできなかった。
いきなり光が差し込む。
「おーい、宝箱見つけたから、開けるぞ」
少しずつ開いていく天井。
若い人間か。
「ってやべ、これパラサイトミミックじゃん」
人間は剣を持って潰そうとしてくる。
やめええええい。
僕は思わずジャンプした。
そして僕の体が剣を反射して見えた。
目玉に宝箱、なんか顔は黒い。
ていうかなんだか足のようなものを感じるぞ。
答えは、僕はミミックだった。
宝箱は僕の体の一部だったのだ。
「宝箱に寄生してこの形になるんだっけか、てことは宝はこいつの体内か! 」
人間の男は僕を追いかける。
やめてほしいがしゃべれない。
草原を走り回ること1時間。
「なんだこいつ、素早いぞ」
お前もな。
僕はその場に座り込んだ。
男もなんだか戦意を失ったのか横に座った。
「なんだ、あんまり狂暴じゃないじゃん」
男は言った。
そうだよ、俺は肉食系だけど、人は傷つけないタイプ!
遊ぶと言っても恋愛は本気!
なんてふざけてるが、これどうするかな。
「おーい、なんかペットになりそうだ」
男は叫んだ。
「なによ、ミミックのペットって弱そうだけど」
女は言った。
「カヨコー、飼ってもいいだろ」
男は言った。
「バンの頼みならね」
カヨコとか言うのかこの女は。
こうして僕はペットショップに連れていかれた。
「ペット化のジェムを食わせれば野生はなくなるから安全だ」
バンは言った。
まぁ野生がなくなるのはどうかなとは思うが、人間襲っても嫌だしな。
「じゃあ、はい、これおいしいのよ」
カヨコはジェムを僕の口に投げ込む。
まずい、本当にまずいぞこれ。
あっでも、なんか穏やかに。
「さて、ペットの強さ試してみない」
カヨコは言った。
街の闘技場に僕は連れていかれる。
「赤コーナーカヨコ! ペットテイマー歴10年のベテランだ! 」
なんだこの状況。
「くっそー、カヨコに公開処刑だ」
バンは言った。
相手のモンスターは狂暴なウルフ。
「ひえええええ」
バンの方が腰を抜かす。
俺がやらなきゃご主人公開処刑か。
「パラサイトミミックって、確か寄生した生物の栄養を奪って飽きたら狭い場所探しに行くんだよな」
人の声が聞こえる。
「ご主人はペットフードには困らないな、なければ寄生させれば栄養は十分だし、俺は嫌だけどな」
人の笑い声。
なんだかすごい失礼なことを言われてるぞ。
でも、これは良い情報源だ。
僕はウルフに宝箱から抜けてとびかかる。
ウルフにくっついた。
「ぐるうううううううう」
ウルフは抵抗するがもうくっついちゃったもんはしょうがない。
取れる心配はないがめっちゃ嫌がられる。
ちょっとかわいそうになってきた。
すると少しウルフは落ち着いた。
「あれ、これってもしかして喜怒哀楽くらいなら干渉できる? 」
僕は逆にちょっと怒ろうとしてみた。
あの人間どもめー! 馬鹿にしやがって。
ウルフはまた暴れる。
じゃあ、安らかーに安らかーに、眠い。
起きるとウルフがグーグー寝ていた。
僕の方はなんだか力が湧いた感じだ。
ウルフから外れ、ちょっとずつリングから落としていく。
「ん? あれ、ウルフが寝てる中起きたぞ!? 」
実況は言う。
「リングアウトしちゃうわ」
カヨコは言った。
「おきろー」
カヨコが叫ぶもウルフはまだ寝ている。
というかエネルギーが足りてないのもあるのかもしれない。
体力がなくて寝ているのか。
無事リングからウルフを落とす。
ボトンっという音が聞こえる。
周りに砂煙が。
思えば重かった。
ダジャレじゃないよ、これ力使い切ったかも。
「勝ったぞおおお」
バンは叫んだ。
うぉぉぉ!
僕も叫ぼうとすると
「アオオオオン」
ウルフの声が出た。
あれ、これって寄生した対象の力使える?
もう一度はこうとしたが、力が出ない。
ウルフが同族だと思ったのかあたりを見回す。
僕の待遇はその闘技場での戦いからよくなった。
「お前はすごいぞー」
バンのご主人も喜んでくれた。
「あれからウルフが他のウルフがいるか、ずっと探すようになったの」
カヨコは言った。
「思えば希少種だもんな」
ご主人は言った。
ちょっと、かわいそうになってきた。
もう一度吠えれるかな。
「ワン」
ウルフが走ってやってくる。
「同族か」
ウルフがしゃべりだした。
ウルフの言葉がわかるぞ!
もしかしたら寄生してる最中にウルフの能力を手に入れたのか!?
ちょっと叫ぶ時の応用で話せるか試してみる。
「ガオガオ」
うーんおはようってつもりだが。
「よくわからないがこんにちはだとおもう」
ウルフは言った。
「ガオガオ」
僕は言った。
「テストテスト? 」
ウルフは喋りの下手さに呆れていた。
だんだん流暢になってきた。
「すまん、僕は同族じゃないパラサイトミミックだ」
僕は言った。
「なんだ、ちがうのか」
ウルフは悲しんだ。
「でも、能力をコピーしたみたいだぞ」
僕は言った。
僕は叫んだりちょっと爪を生やしたりしてみた。
練習した甲斐があった。
「パラサイトミミックって、能力コピーができるのか? 」
バンはペットショップで、店の人に聞いた。
「そういえば人間に寄生したパラサイトミミックが、剣を奪って剣で襲って来たりとかもあったみたいですし、多少はでしょうか、でも基本的に彼らのコピーした技や技術は本物とは比べものにならないくらい弱いですし」
店の人は答えた。
「上位のコピーミミックでしたら姿形を丸コピーした上でそのままの強さが出せるのですがね」
店員は言った。
「パラサイトは、得た能力を忘れることもあるのか? 」
バンは言った。
「どこかの実験ですと、ゴブリンに寄生させて、分離させたパラサイトを放って1カ月経った後、森でゴブリンの形をしたあきらかにミミックなのが集団に馴染んでたとか」
その店員の話を聞いたバンの目は輝いた。
「さっそく俺に寄生させて育てよう! 」
そうバンが言うので本当にいいのかといった具合でなんどもジャンプする。
「はやくしろよ」
バンは言った。
うーん仮にもご主人だからな。
それでもくっつく。
バンの背中にくっ付いた。
寄生されたままバンは冒険に出かける。
「よーし、戦闘を教えてやるぜー」
といっても背中からなんだが。
僕は呆れつつも、この青年の好意を嬉しく思った。
なぜなら、ミミックの中でも、育てられ人間の能力を得るチャンスをもらうものは少ないからだ。
ペットジェムの効果で野生はないとはいえ、僕はご主人を怒らせて我を忘れさせたり、ずっと吸い付いて離れないなんてことは可能だろう。
それでもご主人は信用したのだ。
ご主人は張り切りすぎたのか上位のモンスターがいる高原にいた。
そこにはコボルトたちが隊商を襲った後があった。
僕はここで初めて気づいた。
このご主人強いと。
ご主人は、盾で早い速度で繰り出される攻撃も受け剣でコボルトを一体ずつ処理していく。
なんだかその戦闘のデータがこっちに流れてくるようだ。
僕はこの世界で喜びを感じた。
こんな姿でなんだが、また人の力に頼って生きていけるのだ。