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放課後になり、いつもの四人で教室に残って談笑していた。
話題はもちろん、宿泊学習の班について。
「みんな離れちゃって残念だね」
「でもわたしの班、野田が居るんだけど!どーしよう!」
「え、なになに?モモ、野田のこと好きなの?」
「いや、好きってゆうか…もぉーわかんない!」
「ヒューヒュー!」
モモも野田のことが気になってたんだ―――
「モモ、頑張って!一気に距離縮める大チャンスだよー」
わたしは複雑な気持ちになったが、みんなの前では、恋愛とか恥ずかしくてとてもじゃないけど言い出せるキャラじゃない。
それに今までも何度か野田のことが好きだと友人からカミングアウトされていた。
「バタンッ」
「!!!」
「あ、あぁごめん!わ、忘れ物取りにきた!じゃあな!」
そう言って走り去っていったのは、クラスの中で野田と一番仲の良い小林だ。
「今の聞かれてたんじゃない?」
「野田にバレたらどうしよう!」
「サッカー部のやつら、噂話だいすきだしね…」
そして予想は的中、噂はまたたくまにサッカー部内へと広まっていた。
サッカー部には野田もいる。
野田もモモの思いに気付いたに違いない。
だが、これが思いの外うまくいく形となるのだ。
最初は気まずい空気が二人の間に流れていたのだが、モモは開き直って野田に積極的に話し掛けるようになった。
そしてアドレスも交換し、二人のメールのやり取りは始まった。
浮かれるモモは、わたしたちにこと細かくメールの内容を伝えてきた。
わたしも開き直って、モモたちの恋の行方を聞きながらはしゃいだり、なんだかもう二人が付き合うのは時間の問題かもしれない。
そんな女の勘も働いていたのだ。