神様クイズ・転生ダーツ
俺は交通事故に遭って死んだようだ。それは仕方ない、納得は出来ないが理解はした。
だが……今の状況は何だ?
「――――という事で、貴方には今から神様クイズと転生ダーツに挑戦していただきます。」
そう言うのは目の前の男……天使、らしい。
背中に白い羽根生えてるし、頭上に天使の輪っからしきモノも見えるから多分本当だと思う。
天使の名前はスクアーロ。うん、某銀髪ロン毛のマフィアしか出てこない。
目の前のスクアーロは金髪碧眼のインテリ風イケメンだが。イケメンは滅べ。
閑話休題。
スクアーロの説明によると、ここは天界と人間界の狭間で、死者が次に転生する環境を決める所らしい。
と言っても死んだ者が全員ここに来る訳では無く、ほとんどの死者は天界か地獄で百年ほど過ごした後に転生するらしい。
しかし数億分の一の確率でここに連れて来られた死者は、すぐに転生できるらしい。
ただし、神様クイズに正解したら、だそうだ。
神様クイズは神様が適当に考えたクイズで、難易度はその時によってまちまち。
これを間違えると地獄行きらしい。絶対に嫌だ。
そしてクイズに正解すると転生ダーツに挑戦する。
転生ダーツは転生先の容姿を決めるダーツだ。
このダーツの結果から、どんな両親の元に生まれるかが決まるらしい。
イケメンなら美形の両親、普通なら平凡顔の両親、といった具合で、ある程度は親に似る。
ちなみに家柄は運次第で、能力は前世の行いによって決まるらしい。
ま、前世の行いの善し悪しなんて、神様の基準で決めるんだろうから俺にはどうしようもないな。
結局全部神様次第じゃないか?と思ったが、どうやらダーツと家柄は本当にランダムで神様も関係ないらしい。
俺は生前、特別運が良かった訳ではないが……地獄行きにはなりたくないな。
とにかく簡単なクイズである事を祈るしかない。祈りが届くかは別として。
「……そろそろ宜しいですか?」
「え、あぁ、スミマセン。大丈夫です。」
思考が一区切り付いたところで、スクアーロが話しかけてきた。
考え事に集中して返事をしてなかった事に気付き謝る。
「いえ、構いませんよ。それでは、神様クイズを出題します。」
「お願いします。」
神様クイズは考えるのは神様だが出題は天使の役目らしい。
さて、簡単な問題だと良いんだが……
「問題です。最近、二次創作のチート転生モノが流行っていますが、チート転生のテンプレは次の内どれでしょう。
①仕事に嫌気が差した最高神自身が部下に見つからない様に漫画の平行世界に転生。
②天界のミスのせいで死んだ人間がお詫びに神様にチートな能力を貰って転生。
③神様見習いが社会見学の為に人間界に転生。
以上の3つが選択肢です。」
何か……予想の斜め上の問題だな。いや、二次創作小説をよく読んでた俺には簡単で良かったが。
「答えは②の天界のミスのせいで死んだ人間がお詫びに神様にチートな能力を貰って転生。」
「……ファイナルアンサー?」
「ファイナル、アンサー……」
ミ○オネアか。
賭けてるのは一千万円じゃなく転生だが。
にしても答えに自信が有っても緊張するな……地獄は嫌だ。
「…………」
「…………」
今はアレだ、ドラムロール鳴ってる雰囲気。
「………………」
「………………」
沈黙が重い。そろそろ限界なんだが。
「……お見事!見事転生権獲得です!」
うぁー、良かった……!
「では、転生ダーツに挑戦して頂きましょうか!」
スクアーロがニコニコしながら言う。
「あぁ、はい。」
てかスクアーロのキャラさっきと比べて随分変わってないか……こっちが素か?
まぁ、別にどうでも良いが。
「先ほど説明したように、髪と眼の色や細かい顔の作りは親によって変わりますが、美形か普通か不細工かがこのダーツで決まります。」
「うぇっ、不細工も入ってんのか……」
それは初耳だった。
「えぇ、まぁ運が良ければ超絶美形になれますよ。」
思わず呟いてしまった言葉にスクアーロが返してきたが、お前が言うと皮肉にしか聞こえないわ。どうせ俺は普通だよ!
くっそ、転生後は絶対に美形になってやる。
やる気満々でダーツの的を見ると……
イケメン狭っ!世の中にイケメンはこれだけしか居ないと言うのか……?
「これをどうぞ」
そう言ったスクアーロに差し出されたのは、ダーツの矢。
俺はそれを受け取って、投げる前に質問した。
「ちなみにこれ、的まで届かなかったらどうなるんですか?」
その質問に、スクアーロはニッコリ笑って答えた。
「当然、地獄行きです」
「ですよねー……」
まぁ、そうだろうと思ってはいたさ。
ハイリスクハイリターンって奴だよな。
「では、的を回します」
「お願いします」
「よいしょ、っと!」
スクアーロが勢いをつけて、的を回転させた。
そして、結構なスピードで回ってる的の黄色い部分に狙いを定め……投げる!
ヒュッ トンッ!
「どうだ!?」
確かに当たった音はした。
俺が的を確かめようとした瞬間。
暗転。
突然の出来事に呆然として声も出せずにいると、スクアーロの声がやけに大きく頭に響いた。
「おめでとうございます。的にはちゃんと刺さりましたので、貴方には転生していただきます。ダーツの結果は、成長してからのお楽しみ、という事で。まぁ、記憶は全くのゼロからのスタートですけどね。それでは、良い人生を!」
・・・・・・・・・・・・
「おぎゃぁっ おぎゃぁっ」
(ん、あれ?記憶無くなってないんですけど……?え、ちょ、どういうこと!?)
――その頃のスクアーロ――
「あ、記憶消す手順飛ばしてた……まぁ、大丈夫でしょう」
おしまい。
実は面倒臭がりだったスクアーロw
ダーツの結果は読者様のご想像にお任せします。
べっ、別に書くのが面倒だったからじゃないんだからね!//←
短く纏めるのって難しいですね(´・ω・`)