1、まずはこんな雰囲気
「おい、寝てんじゃねぇ・・・」
夏。クーラーもないこの古びれた部屋に
さらに暑くなるような怒りが頭上からふってきたため
少し半目を開けてみると、やはりあいつの姿だった。
赤い髪の毛に青いふたつのピアス。そう、セクト。
「おう、おはようなー、セクト」
「何が、おはようだよ!」
「今日はいつもにまして怒ってる?」
「テメーは俺が笑っているようにでも見えるのか?!」
セクトはそういうと、寝ている俺の髪の毛を強引に引っ張った。
「いでででで!痛いよ!?痛いよセクト君っー!!」
「るせー!きめぇ!とっとと、ミトヤっ!テメー見廻りしてこいやあぁああ!」
この世界には、意識を持つ人形が多く存在するようになった。
その人形は何らか人間に危害を加えるようになった。
そんな人形を人々は魔女と呼ぶ。
そんな魔女を人間から守る魔女狩りという人間が産まれた。
彼らは、人間でありながら能力を持つ存在なのだ。
そして、今日もそんな人間を守るため見廻りは必衰。
なのだが・・・
「いやだーよ、いやだー!セクトが行ってくればいいじゃんよ!俺は寝るのぉぉお!」
「っ!いい加減布団から離れろ!ばかっ!寝る暇がありゃ、俺の書類手伝えぇええ!」
「ばかじゃねーよ!バカっ!バカしかいわないバカッはセクトだろーがばかっ」
「バカ言い過ぎて最早わからねーよ!」
とあるボロアパートの入り口のドアには
ひとつの看板。そこには“魔女狩り”との黒い大きなマーカーで
書かれた文字。
「また喧嘩してんのかっ!そんなんだから、魔女がでても俺らんとこに
依頼こねぇんだよっ!セクト!ミトヤ!」
便所から出てきたのは金髪の男。
セクトとミトヤは喧嘩をやめ、金髪の男の方を向いた。
「よぉ、エルシ。テメーは朝からトイレでしか頑張ってねぇんだぞ!?あぁ!?」
「んだと!?セクト!!トイレの苦しみテメーわかんのか!?ゴラァ!」
セクトの赤髪とエルシの金髪がじゃれあって喧嘩していると
目がちかちかする。
俺はそう思いながらゆっくりと目を閉じた。
「「ミトヤァアアア!寝るなァアァア!見廻りどうしたァアアア!!」
瞬間、雄たけびが俺の背後を貫いた。






