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第4話「永遠に咲く血の薔薇」

燃え盛る夕陽が街を赤く染める。

石畳の上には、人々の足跡と血の跡が交錯し、戦火の惨状を物語っていた。


エリザベータはその中心に立っていた。

外見は十六歳のまま、しかし瞳には幾世紀もの悲しみが宿る。

彼女の手のひらには、またしても赤く輝く血が集まっていた。

救うために流す自らの命――不死の身に課せられた代償は重すぎる。


「……まだ、間に合う」

呟く声に力はなかったが、瞳の光は揺るがなかった。


彼女の前には、戦禍に巻き込まれた青年が倒れていた。

「……助けて……」

弱々しい声に、エリザベータは薔薇の花びらを舞わせ、血を与えた。

瞬く間に青年の傷は癒え、笑みが浮かぶ。


しかし、それは永遠には続かない。

数時間後、彼の胸は激しく震え、体温が急激に下がる。

「……え……?」

青年の瞳に驚きと恐怖が宿る。

死が、救済の後をすぐに追っていた。


「……やはり……」

膝をつき、薔薇の香りに包まれながら、エリザベータは呟く。

救えない者たち、裏切られる希望――それが永遠に続く現実だった。


その時、背後に冷たい声が響いた。

「まだ、諦めてはいけないのだろう?」

振り返ると、夜の闇に黒い翼が浮かぶ。アザゼルが微笑むように現れた。


「貴女は……いつも、立ち向かう」

悪魔の声には皮肉が混ざるが、どこか真実味もある。

「お前の苦悩は、永遠に私の楽しみ……いや、実験の素材だ」


エリザベータは視線を下げ、薔薇の花びらをそっと握る。

「……実験でも、試練でも構わない。私は……立ち向かう」

その声には決意が宿り、深い悲しみを帯びていた。


霧の向こうから、かすかに人々の叫び声が届く。

戦火、飢餓、疫病……歴史は彼女を試す。

だが、少女の胸にはただ一つの信念が残っていた。


「……誰も救われなくても、私は立ち向かう……」


その時、夜空に血のように赤い雲が流れ、薔薇園の影が揺れる。

少女の瞳には、無数の悲劇と絶望が映る。

それでも、凛と咲く薔薇のように、美しく、そして残酷に――彼女は立ち続ける。


血と絶望の香りに包まれ、永遠の戦いは、再び始まった。

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