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2 新しい生活

あれから6年が経った。

俺は6歳となり言葉もだいぶ憶えてきた。

(最初は何言ってるかわからなかったけど子供の頭はなんでもすぐ吸収するな)そこでわかったことだかどうやらこの世界での俺の名前は"リヒトー・ヴァリアス"と言うらしい。髪はくすんだ茶髪。瞳の色は薄緑。家族や親しい人からは愛称でリトと呼ばれている。

そう、この名前から分かる通り、ここは外国どころか俗に言う異世界と言うわけだ。

生まれた頃は色々と混乱していたが、慣れて仕舞えば案外大した事なく過ごせている。

(にしても離乳食になるまでは大変だった…もうほんと、精神がゴリゴリ削られてたな…。)最近では歩き回る許可を貰っているので、家の中を探検なりするのが俺の趣味だ。


「リト様危ないですよ。」


そんなことを考えながら窓の外を眺めていると、後ろからメイド服を着た女性に抱き上げられる。

この人の名前はリーナ。(推定16歳)スラリとした体型で猫耳がついており、メイド服のカチューシャがよく似合う白に近い銀髪碧眼の美少女だ。どうやらこの世界での俺の立場は貴族的な立ち位置のようで、この屋敷とも言える広い家に使用人が何人か居る。(なんとほぼ全員ケモ耳がついている。)ちなみにリーナは俺の専属らしい。


「ごめんなさいリーナさんお外が気になるんです。」


そう言うと、俺を正面に抱え直し、困った様に眉を寄せながらリーナさんが言った。


「そうでございますか困りましたね、まだ旦那様からリト様の外出の許可が出ていないので、お外はお庭までしか出てはいけない事になっているんですよ。それと、私は使用人ですのでそんなに畏まらなくていいんですよ?さん付けもいらないですし。」


(うっ、ついつい前世の癖で敬語で喋ってしまった。)


「はいっリーナさっ、リーナ…。」


「よくできました。では、旦那様もそろそろお帰りの時間でしょうから、一度奥様のところへ参りましょうか。」


俺を下ろし、手を繋いでリーナと一緒に母のいるリビングへ向かう。


「あら、リーナ子守をありがとう。リト、お家の探検はもう終わったの?」


「はい母様、今日は父様の書斎に行って本を読んだ後お外を眺めてました!」


この聖母マリアを思わす様な金髪碧眼の美人は、この世界での母親、オリビア・ヴァリアスだ。歳は23で、髪の毛が日に当たると白金色にキラキラしてとても綺麗。

我が母ながら物凄いものをお持ちで、思わず目がそのスイカにいきそうになるがなんとか耐え会話に集中する。


「あらあら、それは凄いわね。もう本を読むことができるなんてうちの子は神童かしら?」


「ええ、奥様、私も分からないような内容の本をスラスラと読んでおりました。リト様は将来英雄と呼ばれるようなお方になるでしょう。」


「そ、そんな事ないですよ…。」


この様に、うちの家ではみんなが親バカすぎてよく神童の様に扱ってくるが、前世の知識を持っている身としては、なんとも言えない気持ちになる。


「リトー!!!」


ガバッ、と勢いよく抱きついてきたのは我が家のお姫様、もとい暴君、我が姉セリア・ヴァリアスだ、俺とは2歳差の8歳となる。髪はストロベリーブロンドで、瞳が俺より青が強い薄緑の可愛いらしい少女だ。将来はきっと母と同じで100人中120人が振り返る様な美少女になるだろう。


「すぅーはぁー。ううん、やっぱりリト、お日様の匂いしてすきー!」


「あ、ありがとうございます姉様。」


姉様は俺に抱き付きながら息を吸い、突然はっ、と、何かを思い出したかの様に喋り出す。


「ねぇ、聞いてリト!今日はね、ママに教えてもらって火の初級魔法が使える様になったのよ!」


「え!凄いです姉様!いいなぁー僕も早く使いたいです!」


そう、なんとこの世界には魔法が存在するのだ。しかも魔法のおかげで助かっていることが大半で、暖炉や料理の火をつける時、手をかざして何か呟いた後、勝手に火が付きまだここが地球の何処かだと思っていた俺はびっくりしすぎて漏らした。

衛生面など不安な事は多かったが、トイレも洋風式、冷蔵庫などもあって現代から転生した身としては1番安心出来たことの一つだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



そんなこんなで姉様達と話しているうちに随分と時間が経っていた様で、外も暗くなり始めていた頃に。


「おーい帰ったぞ!」


「お帰りなさいあなた。」


「おかえりパパ!」


「お帰りなさいませ旦那様。」


どうやら父様が帰ってきた様だ。名前はアレク・ヴァリアス、赤髪に筋骨隆々の長身のイケメンで、歳は20代後半といったところだ。え?父親だけ説明が少ない?知るかそんな事、野郎のために使うもんはねぇ。


「お帰りなさい父様。」


「ただいまリト、今日も書斎で勉強してたのか。」


父様がリーナに外装を預けながら聞いていた。


「はい、外の魔物の情報と、魔力について調べてました。」


「そうかぁ、リトはたくさん勉強できてえらいなぁーこりゃ将来が楽しみだ!今度一緒に剣でも振るってみるか!」


「あなた!いくらリトでもまだ3歳ですからね剣なんてまだ駄目よ!」


母様がプンプンと可愛らしく怒りながら言う。


「あぁ、オリビア、悪い悪い、リトがどうも子供に見えなくてつい、な。」


「パパ!私は今日初級魔法が使える様になったの!」


「おお!ほんとかセリア凄いじゃないか!お前は剣の才能もあるしその上魔法も使えるなんて流石俺の子供達だこれは将来安寧だな!はっはっは!」


今の言葉から分かる通り我が家は貴族らしい。なんでも父が若い頃に成した功績で貴族になったのだとか。

この国では公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士、と言う順番になっている。ちなみに家は辺境伯。結構上の爵位なのだ。


「よし、オリビアの言う通り剣はまだ早いがこれだけしっかりしてるんだ魔法の基礎は教え始めてもいいんじゃないか?」


「うーん、そうね、この子は生まれた時からあまり泣かないでなんでもできる様な子だったから少し早いけど魔法の基礎は教えてもいいかもしれないわね。」


よし!きた!これでやっと魔法が覚えられる!書斎で色々勉強したから今から楽しみだ!


「あら、リト、すごく楽しみそうね。だけど訓練は明日からでまだ実際に使っては駄目ですからね?」


「は、はい母様…。」


楽しみにしてるのが顔に出てたか…恥ずかしい…。


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