第7話【悪魔に選ばれた者】
雨が降る中、銃声が響く…
「くっ…」
「おい!リヒト!」
…撃たれた?一体どこから…
そうか、あのビルの屋上からか。
「リヒト大丈夫ですか?」
「俺は大丈夫ですけど、周りの人達は?」
「フェルネが避難誘導をしているので大丈夫です。怪我人もいません」
「あ、そうですか。なら良かったです」
「いや、ディヒターさん!こいつ頭と心臓撃たれたんですよ?なんで元気なのか
もうちょい違和感を感じてください」
「…はぁ、とりあえずここはフェルネに頼んで私達は一旦離脱します」
「あれっ?今この人ため息ついたよね?」
「〈move〉」
こうして青年達は一旦離脱した。
そして、移動した先で
ディヒター先生による特異魔法についての授業が行われようとしていた…
「あのーディヒターさん、リヒトはどうしたんですか?」
「あぁ、リヒトなら疲れたから休むと言って向こうの部屋で休んでいる」
「ディヒターさんこれからどうするんすか?」
「本来ならリヒトを撃った奴を追うべきですが…
フェルネからの情報だと犯人の痕跡が全く残っていなかったので、後日捜査本部を立ち上げます」
「なら、俺達は待機ですね」
「えぇ、しかし…このまま何もせずに居るのも無駄な時間ですし、
ここは私が特別授業を行いたいと思います」
「え?」
一方、とある廃ビル。
そこではある男が電話をしていた…
「殺害には成功したのか?」
『あぁ、糸目のあやつなら必ず仕留めているはずじゃ』
「はず…ねぇ、俺達がアイツら【神に選ばれた者】に
勝つには完璧で無ければならない、それをお前は忘れたのか?」
『つまりは、おぬしは妾にあやつが
本当に死んだのか見てきてほしいということだな?』
「話が早くて助かる」
『妾は別に良いが、そのぶん報酬は倍にしてもらうが良いか?』
「あぁ、もちろんだ。裏切った場合は容赦はしないがな」
『怖いのぅこれだから嫌いなのじゃ○○は」
「そう言う○○こそ怖いじゃないか」
『そうかもしれんな。では、また後からじゃ…」
その言葉を最後に電話は切られた。
一方、ディヒター先生の特別授業では…
情報量が多すぎてクランツの頭が爆発しそうだった。
「馬鹿でも分かるよう説明します。」
そう言いながらディヒターさんは眼鏡の縁を押し上げた。
「まず、特異魔法とは、一般魔法を極めた先にある、
一般魔法が変異したその人特有であり得意な魔法のことを指します。
ちなみに、特異魔法には種類があって
フルオートでそれが後天的に開花するタイプと先天的に開花するタイプがあります。分かりましたか?」
「それは知ってます」
「そうですか。では、続けます。
その特異魔法は、一般魔法が変異したときその人自身に負担をかけます。
それが、代償です。リヒトで言う、不老不死の代償である嗅覚・味覚が無くなると言うのがこれにあたります」
「でも、俺そんなの無いですよ?ご飯美味しいですし」
「代償も人それぞれなんです。クランツ、思い当たることはありませんか?」
「んーそう言えば…特異魔法を使うとすごい熱が出るんですよねー」
「それが代償です。というか今まで気づいてなかったんですねw」
「…事実だから言い返せない」
「あ、あとそれからーーーー」
〜1時間後〜
「モウナニモワカラナイ…」
「え?何この状況…」
「もう大丈夫なんですか?リヒト」
「あ、はい」
「なら良かったです」
青年は困惑しながらもあることをディヒターに伝えた。
「俺を撃ったのは…【悪魔に選ばれた者】かもしれません」