04.赤子の育てかた(後編)
〜2時間後〜
{とりあえず、3歳になるまでは魔力の訓練は無しで、その後成長したらレイラのやりたいようにやらせるのでいいな?}
正直レイラがどう成長するのかわからん。願わくば優しい子になって欲しいが…
{レイラちゃんのご飯はどーするのー?}
{そういやレイラ腹が減って泣いたりしてねぇな。誰かレイラに飯あげたか?}
みんなに聞くも誰も答えない。
とりあえず何か食わせてみるか。
{そしたら何が食えるか探してみようぜ。ヤルバ、赤子でも食えそうなものってなんだ?}
{恐らくはまだ歯も発達しておらんでしょうな。固形ではなく液体系のものしか飲めないと思いますぞ。}
ってことは魚と肉は無理だな、木の実は潰して粉々にした後に水と混ぜればいけるか…?
{あっ!いいのあったかもー!ちょっと取ってくるねー!}
リリーのやつ、何を見つけたんだ?
{ダンジョンの入口から東に行ったところに、メイプルゴートの群れが居たはずだ。あいつらから乳を貰えば良いのでは無いか?}
メイプルゴートか…確かに甘いし栄養価も高いな、
アレンのやつもたまには働くじゃないか。
と、そこへ両手に何かを抱えたリリーが戻ってきた。
{お待たせー!これこれ、この木の実!}
一見ただのでかい木の実だが…硬すぎだろこれ!
{こんなもんどうやってレイラに食わせるんだよ!}
{見てなさいよー、ここの割れ目に沿って割るとねー…}
リリーは少し力を込めてパカッと木の実を真っ二つにした。
{ほら!中に大量の果汁があるの!しかもかなり美味しいわよ!!}
少し舐めるが確かに美味いなこれ…
{これはロックナッツかの…?ナッツ種の中でも異常に硬いことで有名じゃったが、まさか中に果汁を溜め込んでおったとは…}
{ダンジョンから北に行ったところの海辺でたくさんあったわよ!}
{栄養価も高そうじゃの…ガイルよ、これも使えそうじゃぞ。}
リリーもやるな…アレンといい意外な所で役に立つな、
まぁこれでレイラの食事問題は何とかなりそうだな。
{じゃあこれからは定期的にロックナッツの採取とメイプルゴートは…}
{僕がダンジョンの近くにメイプルゴートの居場所を作るよ。幸いメイプルゴートは定住しやすいからね、はぐれ個体を集めてこよう。}
{わかった。みんなもレイラのことはこれでいいな?
アレン!メイプルゴートのことは任せた!}
アレンはやる気十分に答えた。
さて、俺も今から始めないとな。コッソリとヤルバに近ずいて…
{ヤルバ…手伝ってくれ。}
俺はみんなより先に人間族の言葉をマスターしてレイラに言葉を教えるんだ…!!みんながレイラに夢中になってるうちに…!!
{レイラは可愛いなぁ…}
{見てて飽きないわ…}
{確かにねー……ねぇなんかさっきからガイル大人し過ぎない…?。}
{確かに、いつもレイラにベッタリしてるのにな。}
{どうせガイルのことよ、また何か企んでるんでしょう。}
{ちょっと様子見てくるねー。}
{ガイルー、なにこそこそやってるのさー、ってあんたこれ人間族の言葉じゃない!さては1人だけ抜け駆けするつもりでしょ!}
まずい、リリーにバレた!なんとか誤魔化さないと…!
{そ、そんなわけないだろリリー。ちょっとこの辺りの地形について学ぼうとな……}
{嘘おっしゃい!ガイルがそんな事考えるわけ無いでしょうが!!}
{ちょっとー!ガイルが1人だけ先に人間族の言葉学ぼうとしてるわよー!!}
{なんだとー!!}
{抜け駆けするなー!}
{こういうのはみんなでやるもんでしょうがー!}
みんなからの罵声が飛んでくるが、
{うるせー!レイラに言葉を教えるのは俺だー!!}
{あんた1人に教えさせる訳無いでしょうがー!}
こうして、魔物みんなでの勉強会が始まることになった。
あぁ…さらば俺の『レイラに言葉教える計画』よ……