19.家族を説得します!!
模試なのに書くのやめられねぇ!!
〜広場〜
広場に着くとでっかい円柱状のテーブルとそれを囲うように9個の椅子が置いてあった。
「座りなさい。」
威圧を含んだ低い声。確かに急に娘が冒険者になるとか言われれば納得できるはずないよね。
「ほ、本当に言葉を話してる…!」
「魔物も人族言語を話せる…いったいどうやって…?」
リクさん達は驚きながらも緊張した様子で座った。
「それでレイラ、なぜ冒険者になりたいの?」
私は今思っていることを正直に話すことにした。
「私は強くなりたい。私にあるのは素質だけ、知恵も技術も覚悟も無い。だから冒険者になってそれを学びたい。」
「だが冒険者は危険だ、元犯罪者でもなることが出来る。実際、2年前に冒険者に襲われたじゃないか。」
「もちろん危険なのは承知してる。でも、私が3歳の時、狂乱になってしまったフォレストラビットを殺されかけたとき、私は何も出来なかった。」
忘れもしないあの記憶、今でも夢に出てくるあの顔。
「それはまだ3歳の話だろう!今は実力も伸びている!」
「実力は伸びた、けど覚悟は出来てない!死に触れたとき、私はまた何も出来なくなる!それにまだ実力も足りないの!」
それは勘のようなものだった。でも必ずそうなる、そう確信出来た。
今はまだ、あの景色を変えることは出来ない。
「ぬぅ…」
「むぅ…」
お父さんと目を合わせる、絶対に譲らない!
「埒が明かない…か、ならば示してみせよ、冒険者としてやっていけるだけの実力があるか。」
「わかったよ、お父さん。」
私はアーティアを手に取り、訓練場に向かう。
「え、俺たちは無視…?」
「なんのために来たんだろうな…」
「レイラちゃん頑張れー!」
〜訓練場〜
お父さんは両刃の剣を片手で構える。刃を潰していない真剣だ。
私もアーティアを構える。魔力を流して魔力の補助を行う。
距離は10歩程、どちらも構えたまま動かず、互いの心音が聞こえる。
合図はお母さんがやるようだ。
「始めっ!!」
「『身体強化』二重!!」
「『身体強化』!『ウィンドバースト』!」
お父さんに上級以上の魔法を使う隙は無い、やれるのは近接と中級までの魔法だけ…
「馬鹿な、多重詠唱だと!?こんな少女が…魔物に育てられたとはいえ信じ難い光景だな…」
お互いが踏み込み、1歩で間合いに入る。
横薙ぎの振りをしゃがんで躱し、下から突き上げるように振る!しかし防がれ、お返しと言わんばかりに上から剣をに振り下ろされる。特別な技など無い、なれど鍛え上げられた肉体から放たれるお父さんの剣は重い。
「防ぎっ!きれないっ!」
受け流し、飛び下がって距離をとる。
「『ファイアウォール』!『ウィンドランス』2連!」
ファイアウォールで視界を塞ぎ、ウィンドランスを投げる。ウィンドランスの1発目を投げれば、きっとお父さんは掴んで投げ返す。だからそこを狙う!
「ぬぅんっ!!」
お父さんは右手ウィンドランスを掴む、そして投げ返そうと構えた所に2発目のウィンドランスがぶつかり、相殺して爆発する。
怯んだ今が隙!ここで決める!爆発で見えない右側から後ろに回って…!
爆発の煙から見えた、お父さんの顔は笑っていた。
即座に左に転がる。その瞬間、煙の中から左腕が現れた。私の鳩尾をちょうど抉る、そんな拳だった。食らえば内臓ごとやられ、負けていただろう。
「これを避けるか!成長したな!!レイラ!」
その後も五合、六合と打ち合い、身体に疲労が蓄積していく。所々で魔法を放つが、体力を削れた感覚はない。
小細工は通じない…か、そう判断した私はお父さんの足元にファイアランスを投げながら後ろに下がる。
一旦全ての魔法を解除し、精神を研ぎ澄ます。
「お父さん…これが、今の私の全力。『身体強化』二重、『ウィンドバースト』三重!!」
「アーティア、治癒をお願い。」
『了解しました、マスター。』
冒険者にはならないといけない。けれどお父さんを心配させたくない。だから、安心して送り出せる程の力を示す!
「ほぅ…ならばこちらも全力をだそう!『身体強化』三重!!」
長くは持たない。3分もすれば身体は動かなくなるだろう。だから、速攻で終わらす。
地面を蹴って前に跳ぶ、自分の足からグシャという音が聞こえるが無視して、1歩も着かず空中で剣がぶつかる。
剣がぶつかる度に身体が悲鳴をあげる。攻撃を防げは腕と腰に鈍い音が鳴り、躱せば足から鈍い音が鳴る。
だがそれはお父さんも同じだった。剣を振る度血管が切れ腕から血が流れている。躱し、剣を振り、止められ、受け流す……
どれくらい闘っているのだろうか。魔法が続いていることから1〜2分しか経っていないのだろうが、とても長く、長く感じられる。
その時、お父さんの剣がブレる。治癒がある私とは違いお父さんは怪我が、疲労が蓄積していくのだ。
すぐさまアーティアで弾いた後、床に刺し、軸として頭目掛けて上段蹴りをするが、拳で止められる。右脚からまた鈍い音が鳴る。
すぐさま剣を抜き、その場で高く跳ね、体重を乗せて頭を狙う。
それを失策と悟った時には遅かった。
お父さんは腕から大量の血を流しながら力を溜め、上に跳びまだ勢いのない私目掛けて剣を両手で振り、私を吹き飛ばした。
避けられない。受け流すのも…無理。力を抜いて衝撃をやわらげる。
「ゴフッ…!」
幸い腕の骨は無事だが、高く、届かないと思っていた天井に背中からぶつかる。同時に鈍い音がし、口から血が溢れる。きっと骨が4本ぐらいは折れ、内臓に刺さったのだろう。内蔵を治癒している暇は…ないか。お父さんは落ちてくる私を狩ろうと力を溜めている。
「アーティア…身体の損傷率は…?」
『現在約83%、活動限界間近です。』
生きているのが不思議な程だ。だけど、身体はまだ動く。
ここで決めるしかない。
左脚で天井を蹴る。右手にアーティアを構え、覚悟を決める。お父さんは両手で剣を突いた。重く、受け止めればまた吹き飛ばされる一撃。きっとお父さんは私が受け止めて距離をとると思っているのだろう。足は追撃するために吹き飛ぶであろう方向を向いている。だから、受け止める。
痛みを覚悟する。お父さんに勝つには意表を突くしかないのなら、今が1番の好機だから。
「ぐぅ!がぁぁあぁっ!」
左腕を前に出し、剣先にぶつける。剣は止まらず、私の腕の肉を裂いていく。奥歯を必死に噛んでいても声が漏れ出てしまう。お父さんの顔が驚愕に変わる。そのまま切られながらも腕を動かし、剣をずらして腕から外す。焦って防御しようとした左腕を右脚で蹴り、体勢を崩させる。そのまま驚きながらも喜ぶような顔をしたお父さんの首にアーティアを沿わせた。
今更ながら『ウィンドバースト』について、
風の魔力を纏うことで使用者の俊敏性を向上させる。
一方で防御力や筋力を上げることは出来ない。




