17.冒険者がやってきた!?
「クッキーはやく出来ないかなぁ…レイラー!まだー?」
「そんな事言ってもクッキーは出来上がらないわよ。」
そう言って魔石式加熱箱の中にクッキーの生地を入れる。
これを作ったヤルバおじいちゃん曰く、火の魔石を動力として、物体を全方向から加熱することが出来るらしい。略して加熱箱と呼んでいる。
「これであと5分ね。」
自動で加熱が止まらないのが改良点かなー…あとでヤルバおじいちゃんに改良点をまとめて教えよう。まぁ、1枚1枚焼いていくよりは便利すぎるけど。
『カラン!カラン!』
「あれ?フーちゃん誰か呼んだ?」
「呼んでないよー?」
「誰だろ?」
不思議に思いながらドアを開ける。
「さてさて、誰ですかっと。」
見ると剣や弓、杖を持った3人の男女が…って誰!?
「おい!誰か出てきたぞ!」
「人間か…?」
「やっぱりいい匂いするー!」
人族言語…この服装からして冒険者か?
冒険者達に見られないように左手でフーちゃんに警戒と隠れる意味のハンドサインを送る。
「えっと…どちら様でしょうか?」
「あぁ、すまない。俺はB級冒険者のリクだ。」
「僕は同じくB級冒険者のロイド。」
「私はB級冒険者のクロエって言います!」
やっぱり冒険者だよねぇ…この前冒険者がゴーレムと戦う所を見たけど、みんな強くてゴーレムもたくさんやられてたし…
「私はレイラって言います。」
「とりあえず、部屋に入りますか?今、クッキーを作ってたんです。」
「クッキー!食べたい!!」
1人は満面の笑みを浮かべ、2人は心配そうな顔をしながら、
「はぁ…すまない。お邪魔してもいいかな?」
「はい、大丈夫ですよ。ではそこの椅子に座ってて下さい。クッキーを仕上げてきますね。」
加熱箱からクッキーを取り出して皿に盛り付けながら魔物言語でフーちゃんに情報を伝える。
{この人達はB級冒険者、フーちゃんはファイアーバードのフリをして。私は│調教師のフリをする。}
魔物言語を知らない彼らには鼻歌かなんかに聞こえているだろう。
「出来ましたよー。」
「きたー!食べていいの?」
「どうぞ!」
クロエさんがなんの疑いもなく食べてる…それで良いのか冒険者。
あ、リクさんとロイドさんはちゃんと警戒してる…
クッキーを2枚取って、
「食べても大丈夫ですよー。」
そう言いながらクッキーを1枚食べ、もう1枚をフーちゃんに投げる。
「おいで、フー!」
物陰からフーが飛び出してクッキーを口でキャッチする。
{人族言語は話さない方が良いよね?}
「よしよし、よく分かってるわね。」
それを見たロイドさんが驚きながら、
「すまないがそれは魔物か?」
「はい、ファイアバードのフーです。」
「もしかしてあなたは調教師か?」
「はい、そうですよ。」
「ファイアバードにしては羽がやけに綺麗だが…あ何か理由が?」
「この子が雛の時から世話をしていまして、安定して食料を上げたからかも知れません。外にもあまり出していませんので。」
「確かに…ファイアバードの汚れが狩りや巣の外での活動によって付着したものなら…」
ロイドさんはそのまま思考の海に沈んで行ってしまった。
彼は冒険者よりも学者に近いのではないだろうか?
「あなた達は普段どんな活動をしているんですか?それと、なぜここに?」
気になってることを聞いてみる。
「俺達はダンジョンの挑戦が主な活動かな。たまに異常増加したモンスターを減らすこともあるけどね。」
その後、クッキーを食べ終えたリクさん達が話しかけてくる。
「突然すまないね、今ダンジョンの探索をしていてね。未探索領域を進んでいたんだが、君が居るということはここは何処か外と繋がっているのかい?」
「いえ、繋がってませんよ。」
「ん?では君はどうやって此処へ?」
「それはですね…『カラン!カラン!』あっ、誰か来たみたいです。ちょっと行ってきますね。」
やっぱり怪しまれるよね…
にしても誰だろ…また冒険者か?
「はーい、どちら様ですかー…ってアレンお兄ちゃん?どうしたの?」
「ダンジョンに挑んだ3人組の冒険者がこの階層で探知外になってな。壁を壊したとしたらレイラの所に来るかもしれないから忠告をしようと…」
「冒険者なら今私の部屋に居るよ?」
「は?」
「今部屋でクッキー食べてる。」
あ、アレンお兄ちゃんがフリーズした。
アレン達が人族言語を使っているのは日頃から人族言語に慣れるためです。




