FILE No.008 封印解除
張り詰めた空気は冬の朝の様に冷たく、その静けさを切り裂くように、地を這う怒号が響き渡る。
「方々探し回って、やっ〜と見つけたぞ(怒)!!」
声の主は、音信不通となっていた2人を見つけ出した 陽無坂警部だった。
彼は腕を組み、まるで鬼神のように2人の前に立ちはだかっていた。
その姿からは、隠しきれない怒りが全身に溢れ、あちこちを探し回った末、ようやくこの異様な事件現場で2人を見つけたという安堵もあったはずだが、ソレすらも積もり積もった苛立ちに掻き消されているようであった。
「それにしても、この辺、何で誰もいないんだ?ひょっとして、天使室長ってココまで手配するのか?しかも、こんな出来損ないの熊の着ぐるみまで使って、現場検証とはなぁ!ったく…そんな事しても、ただ現場を荒らすだけだという事が、何で分からないんだ!それで本当にお前達は、警察官だと言えるのか!?え!どうなんだ!!焰間ッ!?氷御角ッ(怒)!!?」
超現実主義を絵に描いたような男•陽無坂警部にとって、部下である焰間•氷御角両警部補の行動は、常に自分の理解を超えていた。
彼女達の言動は、彼が信じる警察組織の秩序を乱すモノとしか見えなかった。
さらに、この現場を包む独特な"雰囲氣"や"空氣"さえ、陽無坂警部にはまるで理解する事ができなかった。
彼の目には、ただ人気のない不気味な場所で、部下が奇妙な行動をしている…。
そのようにしか映らなかったのである。
〈ちょっと哪由香。即行、アレどうにかして…(汗)。〉
氷御角警部補は、冷や汗が額に伝うのを感じながら、焰間警部補に視線で合図を送る。
〈えっ?ウチ…?何で?〉
焰間警部補は、心底嫌そうな顔で反応する。
「何でじゃねぇ〜し。ボクが今、あの手の輩に拘ると、仕掛けてる結界や咒法陣が崩壊しかねないでしょ。そしたらコレ、外に出ちゃうじゃん。そうなったら、大惨事じゃん。」
氷御角警部補は若干小声で、しかも切羽詰まった様子で説明する。
「えっ?何で?」
それでも焰間警部補は、まだ腑に落ちない様子であった。
「何でじゃねぇ〜!2回言うなつうの(怒)!!」
氷御角警部補は、堪えきれず思わず声を荒げた。
「えっ〜もう、しゃあないなぁ〜(嫌)。」
溜息を混じらせながら、焰間警部補はしぶしぶ頷いた。
不承不承といった表情で満面のつくり笑顔を張り付けると、そっと陽無坂警部の方へ歩み寄る。
その胸中では、ココが今にも一触即発の危険な状況に陥りかねない場所だという焦りが渦巻いていた。
「あの〜警部はん。今はちょい間〜悪いんどす。せやから、すんまへけど後にして貰えまへんやろか?」
できるだけ穏やかに話しかける焰間警部補だが、陽無坂警部の耳に、その言葉は届いていなかった。
「後?何故だ?だがそんな事より焔間、君達は今回の事件、こんな熊の様な猛獣がやったと、本気で思ってるのか?!」
無坂警部は焰間警部補の言葉を全く意に介さず、事件の筋読みについても強く主張し続けていた。
「いや、あの〜警部はん?せやなくて…(汗)。」
焰間警部補が困惑した表情を見せても、陽無坂警部はソレに気づく様子は微塵もなく、自分の持論を展開し続けていた。
「まぁ〜この大きさなら、物理的に2階部分には届くだろうが…。可能性としては0ではないが、立ち上がってあの大きさになる猛獣が、本当に存在するのか?仮に存在していたとして、どうやってココまで連れてくるんだ!?この筋読み、どう考えても現実的じゃない。論理的に、破綻をきたしてるんじゃないか?!」
彼はまるで事件の全てを見通したかのように語り、2人が馬鹿げた捜査をしていると決めつけ、何やかんやと、目の前の状況を現場検証だと信じ込み、話が終わる気配は全くなかった。
陽無坂警部の長広舌に、内心辟易とした表情を浮かべる焰間警部補は、彼に気づかれないよう、そっと後退りし始めていた。
そもそも破妖導師が御勤を果たす際、妖幻の逃亡および部外者の侵入を防ぐため、祓魔現場には必ず、幾重にも結界が張り巡らされていた。
そのため、対象となる妖幻が逃げる事などあり得ず、逆に部外者が侵入する事もあり得なかった…。
しかし今回、どういうわけか陽無坂警部は、まるで抵抗なく、スルリと結界内に潜り込み、この祓魔現場に姿を現している。
そのため陽無坂警部の出現に対する驚きよりも、どうして彼がココにいるのか?
そしてこの予測不能なイレギュラーな存在をどう処置すれば良いのか?
という戸惑いの方が遥かに大きく、それか今回の最大の懸案事項であった。
「グワォオオオ〜ッ!!」
そんな混乱の只中にあっても、木村丸普堂は周囲の空氣を読む事なく、ただひたすらに咆哮を上げ続けていた。
「くっ!凄い音量だ!いくら現場検証のためとはいえ、近所迷惑だぞッ!コレ、ちゃんと許可取ってるワケないよなぁ?」
陽無坂警部は、呑気に騒音の心配などしていたが、自分がどれほど危険な状況に置かれているのか、まるで気づいていなかった。
ただ、木村丸普堂の凄まじい叫び声に目を丸くし、耳を塞ぐばかりだった。
「ガルルルルゥ〜ッ!グワォッ!!」
理性が崩壊し、最早、獣そのものと化した木村丸普堂。
その恐ろしい姿に拘らず、陽無坂警部は不用意にも歩み寄ってしまう。
「それにしてもこの着ぐるみ、よくできてるな…。どうやって人が中に入って操作してるんだ?」
あくまで着ぐるみだと思い込んでいる陽無坂警部の前で、木村丸普堂はゆっくりと右手を振り上げると、鋭い爪を光らせ一気に振り下ろした。
「な…!?お…おい!!」
巨大な爪の攻撃には、流石の陽無坂警部も恐怖に震え、反射的に目を固く閉じ、腕を交差させて頭部を庇う防御姿勢を取った。
しかし、予想していた衝撃は訪れず、寧ろ身体がフワリと浮かび上がるような感覚に襲われたため、恐る恐る目を開けてみる。
すると、自分よりも小柄なはずの焰間警部補が、腰に腕を回し、陽無坂警部を抱きかかえ、間一髪で攻撃を回避しているところであった。
「何!?」
陽無坂警部が驚くのも無理はなかった。陽無坂警部の身体は、警部よりも小柄な焰間警部補によって、腰から手を回して抱え上げられ、寸前の所で攻撃を回避していたのであった。
ガッザァ〜ンッ!!
木村丸普堂の右手が、誰もいない地面を叩きつけ、鈍く凄まじい音が響いた。
その音と衝撃に肝を冷やす陽無坂警部は…。
「お…おい!今の…!焰間!この着ぐるみ、何なんだ?何で私に襲いかかって来るんだッ!!?」
まだ、よく状況を飲み込めていなかった。
そんな陽無坂警部に対し、いつもはほのぼのとした雰囲気の焰間警部補も、流石に鋭く目を吊り上げ、逆ギレ気味に声を上げた。
「ちょい、警部はん!ええ加減、現実見ておくれやすッ!今、警部はんの前におるんは、着ぐるみやのうて正真正銘の妖幻なんどす!警部はんが信じようと信じまいと、これが現実なんどすえ(怒)!!」
焰間警部補の余りの剣幕に、面喰らった陽無坂警部は呆然とし、黙って彼女の言葉を飲み込むしかなかった。
「せやから死にとうないんやったら、そっから動いたらあかんよッ!! 分かったんッ(威)!!!」
陽無坂警部を睨みつけたまま、再び棒手裏剣を袖口から取り出す焰間警部補は、ノールックで後方の木村丸普堂に投げつけていた。
「グワォオオオ〜ッ!!」
木村丸普堂の悲鳴にも似た声が上がる。
棒手裏剣が見事に突き刺さった事を悟った、焰間警部補の口元は僅かに緩み、その後、木村丸普堂は両手で顔を覆いながら呻き声を上げ、苦しみ始めた。
その苦しむ木村丸普堂の顔が顕になると…。
「あら…(汗)。」
棒手裏剣は眼球に突き刺さっており、木村丸普堂自身も痛そうに顔を歪めていた。
どうやら焰間警部補の技量では、固い皮膚を貫通できず、柔らかい場所に偶然刺さっただけだったのだ
一方で陽無坂警部はというと…。
〈いくら化物でも、ありゃ〜痛いよな…(汗)。〉
と、若干引き気味に、木村丸普堂に同情的していた…。
その中、攻撃の手を緩める事なく、氷御角警部補が追い討ちをかける。
目を閉じながら警棒を握る右手の人差し指と中指を立て咒印を結ぶと、警棒を口元に寄せ、静かに「六根清浄、急急如律令。」という咒詞を唱えた。
その刹那、氷御角警部補の身体が発光し、どこからともなく霊符で作られた無数の形代が飛来してきた。
形代は、無数に集まって1つの生物のように連動した動きを見せながら木村丸普堂を取り囲み、そのまま周囲を旋回しながら、1枚また1枚とその身体に貼り付いていった。
「グガウォ〜ンッ!!」
形代が1枚貼り付くごとに、苦悶の声を上げる木村丸普堂…。
「これで浄化してくれりゃ〜いいんだけどねぇ…。」
無数の形代はやがて木村丸普堂の動きを封じ、そこから熱を発して燃え上がると、瞬く間に業火で包み込んだ。しかし…。
「やっぱ、そんなに甘くないねぇ。」
業火は木村丸普堂の赤い体毛だけを焼失させ、その下の赤黒い鉄のような皮膚が顕になると、怒りに任せて足元の咒法陣を無理矢理破壊し始めた。
「これ、逆に威圧感増してんじゃね…(汗)。」
「せやね。増し増しやわ…(汗)。」
目に突き刺さっていた棒手裏剣も、業火で溶解し、眼球と同化して鉛色に変色していた。
そのため木村丸普堂全体の姿形は、当初よりも禍々しさを増大させていたのである。
「グロロロロロ〜ッ。ゴ…ゴロスッ。」
木村丸普堂が唸り声を上げながら、獲物を狙う獣のようにゆっくりと2人へ近づいていく。
その様子を後方から見守る事しか出来ない陽無坂警部は、ただ絶望するしかなかった。
しかし、当の2人はというと、意外にも落ち着いていた。
「あ〜あ…こら熱で元素転換してはるわ…。清良、こないなってもうたら、ウチの手裏剣刺されへんから、そのシバき棒で地道にシバき回してくれる?」
「ちょい!シバき棒なんて俗な言い方すんなっ!、とりま、仕方ないからやったげるけど、アンタもいつものようにやってよね。」
氷御角警部補は霊符を取り出し咒詞を唱えると、辺りに薄い霧が立ち込めた。
焰間警部補も腰の赤いストールで顔を覆い、咒詞を唱えると、その姿を霧に紛れさせた。
「もう、仕方ないなぁ。」
〈な…何がどうなってんだ…!?〉
陽無坂警部は、目の前の出来事が現実と思えず、ただ呆然とするしかない。
だが、今まさに見えない何かが木村丸普堂を翻弄しているのは事実だった。
霧の中、焰間警部補は透明化し、驚異的な速さで木村丸普堂に超接近戦を仕掛け翻弄していた。
「こ…これは!?」
その時、辺り一面の地面が、まるでスケートリンクのように滑らかな氷で覆われた。
過冷却状態の水分や霧が地面に触れた瞬間、一気に凍りつき、透明な氷の層が広がっていったのである。
氷御角警部補は、氷の上を滑る勢いを活かして華麗にジャンプし、そのまま警棒で木村丸普堂に連続攻撃を浴びせた。
焰間警部補との息の合った連携により、木村丸普堂の体力は着実に削られていったが、その一方で彼の怒りも次第に高まっていった。
「グワォオオオ〜ッ!!!」
怒りが頂点に達した木村丸普堂は、雄叫びと共に強烈な氣を放出した。
吹き飛ばされた焰間•氷御角両警部補は、意識が朦朧としていた。
特に透明化していた焰間警部補は、その効果が解け、木村丸普堂に捕まってしまったのだ。
「おい!焰間ッ!」
陽無坂警部の叫び声が響く。
しかし、その声も虚しく、焰間警部補は木村丸普堂に首根っこを掴まれ、あっという間に頭上高く持ち上げられてしまった。
木村丸普堂は、4つに割れる大きな口を開き、今にも焰間警部補を飲み込もうとする。
その巨大な口の中へ、焰間警部補の身体が吸い込まれそうになった、その瞬間…。
「封印解除。」
焰間警部補が小さく呟くと、右目に掛けていた片眼鏡が黒い光を放ちながら外れる。
露わになった義眼の強膜は漆黒に染まり、虹彩と瞳孔は禍々しい赤色に輝き、その目は、まさに鬼そのものの凄みを放っていた。
焰間警部補は、木村丸普堂の巨大な口が自分を呑み込もうと迫る中、寸前で両足を大きく開いて踏ん張った。
その足は鋼のようにしなやかで、木村丸普堂の顎が閉じるのを力強く押し留めている。
彼女の身体からは鬼の氣が解き放たれ、常人では到底抗えない圧倒的な氣迫がほとばしっていた。
「おい!小鬼!どないした?俺様を喰うんちゃうんかい?早う、喰うてみいや!」
木村丸普堂は口を閉じる事もできず、苦しげな表情を浮かべている。
焰間警部補の右目から放たれる禍々しい赤い光の所為か、彼女は明らかに“焰間哪由香”とは異なる、別人の氣配を漂わせ、口調までも変わっていた。
それでも木村丸普堂は、必死に口を閉じようとするも、全く閉じる事ができず、苦しげな表情を浮かべていた。
本来ならば、書斎を一噛みで消し去るほどの大口を持つ木村丸普堂が、その大口を足の力だけで閉じるのを阻むのは、常人離れし過ぎる力であった。
その一方で…。
「…てぇ〜っ!」
「おい、氷御角!お前も大丈夫か?」
駆け寄ってくる陽無坂警部に対し、氷御角警部補は右手を前に突き出し、大丈夫だとアピールしつつ、頭を押さえながら自力で立ち上がった。
「え〜?あ〜あぁ〜っと警部。素人は下がってねぇ〜と危ないっすよ。」
戦場では、倒れている時間が数十秒であっても死を意味する。
そのため、氷御角警部補の表情には悔しさが滲んでいた。
「くっ…。流石、伝説の木村丸。やっぱ一筋縄じゃ〜いかねぇか〜。で警部、哪由香の方は…?」
「1人でバケモノの相手をしているが…。何だか様子がおかしい…。」
「えっ?まさか…!」
「ハ〜ハッハッハッハ!オラオラオラ〜ッ。早よ〜閉じてみいや!」
氷御角警部補の視界に、極悪非道な表情で高笑いする焰間警部補の姿が飛び込んできたが、その表情は一瞬にして曇っていた。
「ヤバっ。てかあの娘、封印解除してんじゃん。」
「封印解除?何を言ってるのか全く分からんが、この際だ。否定はしない。だから、説明してくれ氷御角!」
「えっ〜!今っすか〜(嫌)?」
氷御角警部補は、あからさまに面倒くさそうな表情を浮かべた。
「そうだ!今だ!焰間には今、何が起こってるんだ!アレは何かに取り憑かれてるのか!?」
陽無坂警部は、部下の異常な様子を心配していた。
それを察した氷御角警部補は、やむなく自分達の身体の秘密について、手短に打ち明ける事にした。
「え〜っと、じゃ〜端的に説明するっすよ。ボクと哪由香は1000年前の日本で暴れ回っていた2匹の鬼の末裔なんっすよ。で、哪由香の右目には哪由香のご先祖の鬼の目が、ボクの左手にはボクのご先祖の鬼の手が、現在、何でか実体化してるんっすよ。」
そう言いながら氷御角警部補は、左手の白革手袋を外しに掛かる。
「ボクの左手と哪由香の右目は、入庁後ほどなく、とある大妖幻との捕物で無くしちゃったんっすけど、その後、哪由香は義眼、ボクは義手を付けて公務に復帰したんっすけどね…。ある日突然、それぞれの義肢にご先祖の鬼が宿っちゃって、今じゃボクも哪由香も、こんな感じになってんっすよねぇ〜。」
氷御角警部補が見せた左手は、人間のモノとは明らかに異なる、青く厳つい鬼の手であった。
陽無坂警部にとって、この光景は俄には信じがたい状況であったが、約束通り黙って納得する事とした。
「まぁ〜分かった。それで、あの状態の焰間は、放っておいて大丈夫なのか?ヤバい気がするのは、私の見当違いなのか?」
「………いえ、多分、合ってるっす。つ〜より、哪由香が封印解いて、ヤバくない時の方が基本ないっすからね。」
「グワォ〜ッ!!」
一際大きな唸り声を上げる木村丸普堂に、会話の途中でありながらも、思わず視線を向けてしまう陽無坂警部と氷御角警部補…。
そんな木村丸普堂が、口を閉じられない苦しみから逃れようと、口に挟まる異物を取るかのように、爪を立てて焰間警部補を取り除こうとすると…。
「あんッ!」
近づく木村丸普堂の爪に、焰間警部補が鋭い目付きで睨み付けると、右目は一際明るく発光し、木村丸普堂の指を猛烈な勢いで弾き飛ばしていた。
「グワォモグォ〜ッ!!」
焰間警部補はワザともう一段大きく開脚し、木村丸普堂の口をさらに広げさせると、口を閉じようとする反動を利用し、口の中から瞬時に飛び出していた。
「おう、ワレ。ホンマに、あの四郎木村丸なんか?噂と全然ちゃうがなぁ。」
少し呆れ気味に悪態をつく焰間警部補を見て、陽無坂警部は…。
「おい、氷御角。思った以上に別人だぞ。大丈夫なのか?」
「あぁ〜あの変わり様っすからねぇ。て言うか、アレは性格が変わったって〜より、哪由香のご先祖が哪由香の身体を乗っ取ってる状態っすからから。」
「乗っ取る?」
「えぇ。だから、余計ヤバいんっすよ。あの中身は、かつての鬼の王っすからねぇ。」
「鬼の…王…(汗)?」
「でも、心配しないで下さい。いざと言う時は、ボクが哪由香の暴走を何とかしますから。」
「何とかって、どうするつもりだ?」
「まぁ〜とりま、木村丸の方を片付けてからになるんっすけど…。最終的には一対一でやり合うっす。」
「はぁ?一対一って…!」
「任してください。ボクの左手も、もう1匹の鬼の王なんで。そんな事より警部、こっから先は、普通の人間には荷が重いっすから、もう絶対に近づいちゃダメっすよ。でねぇ〜と、命の保証はできないっすよ。」
氷御角警部補は陽無坂警部に背を向け、荒れ狂う2匹の鬼が対峙する場所へと近付いていった…。