FILE No.001 デムパ発生
人間の理解を超える摩訶不思議な現象というモノは、時代や国を問わず、常にどこかで起こり続けている。
─by 五代目水極屋荒七郎 (株)妖文堂書院•主筆─
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【玲和XX年(西暦203X年)─東京】
大都会の喧騒と雑踏は、かつて夜が持っていた静寂を奪い去り、街灯の光が闇を煌々と照らし出している。
その光は夜景となって、此処彼処で闇を侵食しながら広がっていった。
だが、それでも闇と静寂が全て消え去ったワケではない。
何故なら、その影に潜む者達は、今尚存在し続けているからだ。
彼等は夜の底で蠢き、誰にも知られる事なく、その存在を保ち続けている。
どれほど都会の夜が明るくなろうとも、その暗闇が完全に消える事はない。
それは人間の理解を超えた世界が、この都市の片隅に息づいている証なのだ。
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多くの人々が行き交う、夜の渋谷駅前…。
そこに広がっている繁華街は、いつも通りに混雑し、日常が流れていた。
そんな当たり前の日常の中、スクランブル交差点のど真ん中で、突然、悲鳴が響き渡る。
「ぎゃ〜っ!!」
声の主は若い女性であった。彼女はパニックに陥り、狂乱状態となっている。
しかし、その周囲を行き交う人々は、冷ややかな視線を送るだけで、誰一人として立ち止まる者などいなかった。
ある男性は、チラリと見ただけで、素知らぬ顔で通り過ぎ…。
ある女性は、突然の大声に驚きながらも、足を止める事なく歩き続け…。
また別の人は、風で舞い上がった髪が顔を覆うと、不機嫌そうに彼女を睨み付け、そのまま横を通り過ぎて行った。
そう、彼女はただ交差点を横断していただけだった。それなのに…。
自慢のロングヘアーは、何者かによって無造作に切り落とされてしまったのだ。
彼女は交差点のど真ん中にへたり込み、泣き叫ぶ事しかできなかった。
周囲の喧騒と人々の無関心さが、この悲劇を一層際立たせている。
ーー警視庁ーー
庁内の広々とした一室に設置されている特別捜査本部。その入り口には大きく【都内連続女性髪切り傷害事件特別捜査本部】と戒名が掲げられていた。
「何だって!?また被害者が出たのかっ(驚)!!?」
若手キャリア警察官が、部下からの報告に思わず声を荒げる。
彼は一見すると今時の優男系イケメンだが、所属は警視庁刑事部の花形、捜査第一課…。
その中でも強行犯捜査を担う第六強行犯捜査強盗犯捜査第5係の係長を務めるエリートで、スリーピーススーツを完璧に着こなし、磨き抜かれた革靴は彼の自信と地位を象徴している。
彼の名は陽無坂正義(26)。現在階級は警部。
その名前が示す通り、彼は正義感の塊であり、熱血漢として知られ、その見た目とのギャップが、彼をさらに際立たせていた。
「被害者はコレで18人目か…。それでまた、目撃者は1人もいないんですか?」
陽無坂警部は、階級に関係なく年長者や先輩警察官に対しは、常に礼節を持って接する事で知られていた。
そのため庁内では非常に評判が良く、キャリア警察官として多くの信頼を集め、厳しい捜査現場でも周囲に安心感を与え、部下や同僚達にとっては心の支えとなっていた。
「はい。また往来で突然、髪の毛だけをバッサリ切られてまして…。」
陽無坂警部よりも明らかに年上で、強面の雰囲気を漂わせるアラフォーのノンキャリ捜査員が答える。
その捜査員の声には、苛立ちと困惑が滲み出ており、この事件がいかに厄介で難解であるかを物語っていた。
「髪を切った怪しい人物も、髪を切る刃物らしき凶器を持つ人物も、そして髪を切った瞬間すら、一切誰にも目撃されてません。」
「ふ〜う。そうですか〜今回も…。」
陽無坂警部は深く溜息を吐きながら、パイプ椅子の背にもたれ掛かると、思わず天井を見上げた。
その姿からは、事件解決への焦燥感と無力感が滲み出ている。
「係長、これってホントに…。事件、なんですかね…?」
強面捜査員は、進展のない怪事件に業を煮やし、思わず本音を吐露した。
しかし、陽無坂警部は冷静そのものであった。
「事件じゃないなら、何かしらの自然現象による事故だとでも?」
彼は超現実主義的な視点を持ち、怪事件を怪事件として捉える事すらしなかった。
「あ…いや、自然現象っていうかですね…。あ、はい、まぁ〜私も20年以上刑事やってますけど、こんな狐に摘まれたような事件、今回が初めてですよ…。」
強面捜査員は口ごもりながらも、自身の困惑を陽無坂警部に訴える。
陽無坂警部はしばらく黙った後、机の上の資料に目を落としながら静かに言葉を紡ぐ。
「どんな事件にも、必ず理由があるものです。例え狐に摘まれたような不可解な事件であっても、人間の仕業である何らかの痕跡が残るはずです。問題は、その痕跡を見つけ出す"目“を持てるかどうかです。」
陽無坂警部のその言葉には、確固たる信念が宿っていた。
そもそも、この一連の事件が『怪事件』として捜査を難航させている理由は以下の通りであった───
①被害者は全員、ロングヘアーの女性。
②事件現場は全て、都内繁華街の人混みの中。
③犯行時刻は日暮れ以降。
④髪の毛以外には一切被害無し。
⑤ロングヘアーの男性やショートヘアーの女性は全く被害に遭っていない。
─── さらに目撃情報が皆無であるため、ここ数週間で被害者数が急増しているにも拘らず、犯人像は全く浮上してこず、捜査は暗礁に乗り上げていたのである。
「ピンポイントに、女性の長い髪の毛だけを切る自然現象…!?」
強面捜査員は、苛立ちを隠せない様子で頭を乱暴に掻きながら呟いた。
「しかし、普通に考えれば、そんな都合のいい自然現象なんてあり得ない…。私自身も、そう思いたくなるんですが…。」
陽無坂警部は捜査資料から目を離さず、胸の奥に湧いた疑念と違和感を押し隠すように口を開いた。
「やっぱ、そうですよね〜。でも、参りましたねぇ〜。5〜6年前なら、こういった難事件や怪事件を科学的に解明してくれる皇都大学の先生がいたんですけど…。まぁ〜係長は、ご存知ないでしょうけどね…。」
強面捜査員は、鋭かった目付きを和らげ、黙って相槌を打つ。
「噂くらいは聞いた事があります。しかし、私は事件のメカニズムを解明するためとはいえ、部外者に協力を求めるつもりはありませんので…(凛)。」
その言葉に、強面捜査員は思わず苦笑いを浮かべ、気まずそうに頭を掻いて、顔を引き攣らせるしかなかった…。
その最中、本部内の緊張感を破るような大声を上げ、別の捜査員が勢いよく駆け込んできた。
「全ての事件現場の防犯カメラ映像、解析終わりました〜ッ!!」
管理官は、直ぐに問い掛ける。
「それで、解析した結果の方は?」
捜査員は息を整えながら答えた。
「当たりです!全ての現場に映り込んでいる人物が、1人だけいました〜ッ!!」
この言葉に捜査本部内は一気に活気づき、騒めきが止まらなかった。
「その人物とは誰だ?」
捜査員は、写真付きの資料を掲げながら言った。
「はい、この男です!!」
--◇重要参考人◇-----------------------------------------------
音和尊丸
年齢:20歳
職業:大学生
居住地:東京都内
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「音和…?」
管理官の顔色が変わった。
この男は被害者が髪を切られた瞬間、全ての事件現場で半径2m圏内にいた事が判明していた。
その状況から見て、最も疑わしい人物である事に間違いは無かった。
「係長、任意同行掛けましょう!!」
捜査員の声には決意が込められ、漸く掴んだ事件解決の糸口を、目を見開いて陽無坂警部に訴えかける。
しかし、そんな場の空気を壊すかのように、管理官は重要参考人の任意同行に待ったを掛けたのである。
「何でなんすか〜ッ!?管理官ッ!!」
捜査員達は一斉に声を上げると、管理官は冷静な口調で答えた。
「この重要参考人、音和尊丸の父親は民和党代議士•音和金継だ。彼は警察庁OBで、現在も警察上層部と深い繋がりを持つ大物政治家だ。こんな状況証拠だけで息子を任意同行させても、直ぐに圧力がかかるだけだ。お前達には、ソレが分からないのか!?」
管理官の言葉には、保身が見え隠れしていたものの、概ね正論であった。
そのため捜査員達は、悔しさを滲ませながらも、黙るしかなかった。
だが、その場で唯一冷静さを保ち、真っ直ぐ前だけを見据えている者がいた…。
陽無坂警部である。
彼は周囲の動揺や圧力に屈する事なく、常に事件解決への道筋を探り続け、その信念がコレまで彼を支えていた。
陽無坂警部は管理官の前で深々と頭を下げると、熱意を込めて訴える。
「管理官、音和尊丸が全ての事件現場に居合わせていたという事実は、動かしようがありません。物的証拠こそまだありませんが、彼が18件目の事件にも関与している可能性は極めて高いと、私は確信しております。彼こそが事件解決の鍵を握る最重要参考人です。ですから、一度、徹底的に内偵させてください。万が一、問題が生じた場合は、私が全責任を負います!!」
陽無坂警部の熱意は、瞬く間に捜査本部内に広がり、他の捜査員達も一斉に頭を下げた。
この光景を見た管理官は、渋々ながらも折れるしかなかった。
「…分かった。但し慎重にな!」
こうして陽無坂警部の信念が、再び捜査を動かし、これまで幾つもの難事件を解決に導いてきたのである。
そう、これまでは───
○☆○☆○☆
ネオンの光が街全体を照らす八本木の繁華街。そこで、ひとりで彷徨う青年がいた。
当ても無く繁華街を彷徨い歩くこの青年の瞳には、どこか深い闇が宿っているように見える。
この青年が、警視庁捜査一課第六強行犯捜査強盗犯捜査第5係に重要参考人としてマークされている…。
音和尊丸であった。
彼の風貌は、大物政治家の息子とは思えないほど奇妙だった。
青白い顔色に、目の下の濃い隈。無造作に跳ね上がった髪と、痩せ細った身体は猫背気味で、全体的にどこか頼りなさげな印象を漂わせていた。
また、身につけている服装も、彼の無頓着さを物語っており、くたびれた白い長袖シャツにジーンズ、そして素足にサンダルという格好は、周囲からの場違いな視線など全く気にしていないかのようであった。
そんな尊丸の目の前を、長い髪の女性が1人通り過ぎていった。
その瞬間、彼は思わず足を止め、その美しい髪に見惚れていた。
〈あ〜ぁ。綺麗な髪だなぁ…。あんな髪を僕が切れたらなぁ…。〉
そんな淡い妄想を抱きつつ、尊丸は女性の横を通り過ぎようとした。その瞬間…。
ザクンッ!!
鋭い金属音が、彼の耳元で鳴り響く。
びくりと身体を震わせた尊丸は、恐る恐る振り返る。すると…。
「えっ…何?!い…いやッ!いや〜ッ!!わたしの髪〜ッ!!!」
女性の悲鳴が、辺りに響き渡ったいた。
その長い髪は無残にも切断され、風に舞って四方に飛散していたのだ。
尊丸はその光景に凍り付き、もともと青白かった顔がさらに蒼白となっていた。
〈何で?何で?何で?何で?何で…?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして…?僕がカットしたいと思った髪が、何で?どうして?また無造作にカットされてんの…?!これで何回目…?!ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ…!毎回!毎回!毎回!毎回!毎回…! 何でカットされてんだよ…?!!僕は関係ない!関係ない!関係ない!関係ない!関係ない!!早く逃げよう!逃げよう!逃げよう!逃げようッ…!!!〉
尊丸は素知らぬ顔を装い、その場を足早に去ろうとしていた。
しかし、その行く手を遮る声が響く。
「音和尊丸さんですね?」
突然の呼び掛けに足を止めると、周囲はいつの間にか数人の捜査員達に取り囲まれていた。
「警視庁捜査一課の猪岡です。都内連続女性髪切り傷害事件の重要参考人として、警視庁まで御同行願えますか?」
尊丸の頭の中は、混乱でいっぱいだった。
〈け…警視庁?!!ぼ…僕は違う!!違う!!違う!!違う!!違う…!!たまたま僕の後で髪が切られているだけだ〜ッ!!!〉
ーー警視庁内•取調室ーー
薄暗く無機質なコンクリートの箱の中。
尊丸は椅子に腰を下ろし、その正面には冷徹な表情を浮かべた取調官が座っている。
尊丸は、まるで蛇に睨まれた蛙のように、硬直したまま動けず、その思考は完全に停止していた。
「…さて、話を聞かせてもらおうか?」
取調官が静かに口を開くが、尊丸は何も言えず、ただ俯いて震えるばかりであった。
「……………。」
尊丸は取調室に入るなり、一言も発さず、黙秘権を行使し続けていた。
そのため、ただ時間だけが虚しく過ぎていき、部屋には時計の針の音だけが静かに響いていた。
警視庁は、事件現場付近で重要参考人の尊丸を確保し、任意同行させる事に成功していたのだが…。
捜査員達の証言によれば、彼は被害女性の横を通り過ぎただけで、何もしていないにも拘らず、女性の髪が突然切断されるという、摩訶不思議な現象が起きていたのだ。
事件現場を目撃した捜査員達ですら、その異常性に困惑する中、取調室の隣室では陽無坂警部がマジックミラー越しに、彼の一挙手一投足を注視していた。
腕を組みながら、微かに唇を噛む陽無坂警部の姿には、事件解決への焦燥感が滲み、尊丸の沈黙の裏に潜む事実を探るべく、その可能性を模索し続けていた。
〈音和尊丸…。彼が事件に何らかの関与をしている事は状況的に間違いない。しかし、どういうワケか物証が全く出てこない。一体、どんなトリックがあると言うんだ…(焦)!!?〉
尊丸の様子を必死で伺うが、物証が全く出ない現状と尊丸が黙秘を続けている事に、若干の焦りを覚える陽無坂警部は、ただひたすら彼を見つめる事しかできない自分に、次第に苛立ちを感じ始めていた。
〈このまま黙秘を続けられれば、父親である音和代議士から必ず圧力が掛かる。そうなれば事件の真相を辿る糸が完全に潰えてしまう…。〉
そんな考えが頭を巡る中、陽無坂警部の思考を遮る大声が、突然、部屋中に響き渡った。
「たのも〜〜〜〜〜ッ!!!」
驚きながらも声のした入口に顔を向けた陽無坂警部は、どこか不機嫌そうな表情を浮かべていた。
何故なら、その視線の先には、20歳ほどの若く可愛らしい、見知らぬ女性が立っていたからである。
彼女は真っ直ぐに陽無坂警部を見つめると、無邪気な笑みを浮かべていた。
「な…何だ君は〜ッ(汗)!?」
陽無坂警部は、少し怪訝そうな表情で彼女を見つめ返す。
それは彼女の服装が、余りにも個性的な地雷系パンクファッションだったからだ…。
彼女の黒髪のショートボブには、鮮やかな赤いメッシュが映え、右目には分厚いレンズの片眼鏡が知的でミステリアスな雰囲気を添えていた。
ウエストには真っ赤なスカーフを巻き、黒いショートパンツとライダース風の革ジャンが、引き締まった脚線美を際立たせていた。
背中には小ぶりな革製リュックを軽やかに背負い、全体として華やかで印象的なスタイルに仕上がっていた。
陽無坂警部は、警視庁という厳粛な場において、個性的すぎる彼女のスタイルに苛立ちを覚えつつも、まずは紳士的に対応しようと努める。
「あのね君、ココは一般人が入って来ていい場所じゃない。速やかに出て行きなさい!」
彼女は一体何者なのか?そして、何故この場に現れたのか?
彼女に対する疑念は募るばかりだったが、陽無坂警部にはソレを追及している余裕がなかった。
そのため、目の前の地雷系パンク女子を追い払おうとするも、彼女は場違いな笑みを浮かべながら、こう言い放った。
「あ〜ぁ、せやったらイケますイケます。ウチ、一般人やあらしまへんので。」
「はぁ?一般人じゃない?」
〈関西弁か…?〉
陽無坂警部が眉をひそめると…。
「はい。イケますイケます。ウチ、一般人やあらしまへんので。」
「何故、今、同じ事を2回言ったんだ(苛)?」
彼女は同じ言葉を繰り返しながら、さらに続けた。
「せやから今ココで、音和尊丸はんの事情聴取してはりますやろ?その事件、ホンマはうちんトコの“事案“どすねん。せやし捜査一課はんには、ちょい荷重いかなぁ〜思うて、様子見に来たったんどすえ。ウシシシシッ(笑)。」
「はぁ?君、一体何を言ってるんだ(怒)?!」
陽無坂警部は、苛立ちを隠そうともしなかった。
「あぁ〜ウチ、実はこないな者なんどす。」
彼女が革ジャンの内ポケットから取り出したモノに、陽無坂警部は目を見張る。
「な…!警察手帳!?えっ警部補!?エンマ………ュカ?!!」
「あ〜違いますて。エンマやなしに、焰間読むんどすえ。警察庁警備局公安課特殊事案犯罪対策準備室不可視事案資料特命編纂係係官の焰間哪由香どす。」
「け…警察庁?警備局公安課…?」
陽無坂警部は驚愕しながら呟いた。
〈特殊事案犯罪対策準備室…?不可視事案資料特命編纂係〜!?そんな部署聞いた事もないが…。それにしても、この服務規定違反丸出しの身なりな女子が、警察官だって〜ッ(驚)?!!!〉
焰間警部補は、陽無坂警部の困惑を楽しむかのように、不敵な笑みを浮かべていた。
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古来、日本では日常的に起こる非科学的な現象を、特別な力を持つ存在の仕業と認識していた。
人はそれ等を【妖幻】と呼び、敬い畏れながら伝承してきた。
そして、時は現代───
警察庁は未解決事件の捜査強化を目的に、非公式の新部署【特殊事案犯罪対策準備室不可視事案資料特命編纂係】を設立した。
この部署は表向き、通常の警察組織の一部として活動しているが、実際は選抜された極秘の専任チームであり、科学では説明のできない超常現象を伴う未解決事件を『未解決特殊事案』と定め、専門的に担当していた。
彼女達の使命は、事案の真相を公表する事ではなく、特殊な知識や技術を駆使し、常識に囚われず不可解な事案の真相解明に挑む事。そして、国民に不安を与えず、事案を日常の一幕の事件として、静かに収束させる事にあった。
彼女達が担当する事案は『妖幻事案』と『非妖幻事案』に分類され、妖幻事案と認定された捜査資料は、新たな『不可視事案資料』として再編纂されている。
この編纂された機密の不可視事案資料を警察庁では、非公式に『Apparition-Files』通称【A-ファイル】と呼んでいる。
超常現象と科学の狭間で揺れる未解決特殊事案。今、その真相に迫る物語が幕を開ける…。