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幻の百合桜  作者: ふみりえ
幼馴染み編
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第四話 エキザカム

「大丈夫ですか!聞こえてますか!」


「おい、治癒を早くかけるんだ!」


「無理よ!こんな大怪我、普通の治癒なんかじゃとても......」


 周りの人が倒れている男を心配そうに見ているところを、僕はすらすらと通り、男の前に立つ。


「なんだこの女の子は!見ちゃいけないからあっちいってなさい!」


「大丈夫、僕が治すよ。」


 そう言って、僕は治癒魔法をかける。


「なっ、こんな子供が、こんな高度な治癒魔法を!?」


 怪我の原因は銃によるもの、弾は魔法の弾だからもう消えてるだろう。集中するのよ、リーバ。


 周りに流れていた血がどんどん男の中に戻っていく。


 そして、傷口も完全になくなり、男に生気が戻る。


「おお!」


「やったぞ!」


 治癒をかけおわると、僕はすぐにリアラのあとを追った。


「まっ、待ってくれ、君名前は!」


「お礼がまだ言えてないんだ!」


 後ろからそんな声が聞こえたが、かまわず走り去った。












「はぁ、はぁ、はぁ」


 必死に走りながら、何とかギリギリ男の人を追っていた。


「ま、待ってよー!!」


 何度目かわからない曲がり道を曲がると、その先は行き止まりだった。


「!!」


 よし!これで話を聞ける!!


「ど、どうしてあの人を撃ったの?」


 男は答えなかった。


 それどころか、先程男の人を撃ったであろう銃を私に向かって構えた。


「や、やめて!撃たないで!話を聞きたいだけなの!」


 しかし、男はそれを聞かず、銃の引き金を引いた。


 弾が私の顔をかすり、傷口から血が流れる。


「......」


 私はへなへなとその場に崩れ落ち、かすった傷を手で撫でた。


 痛い......どうしよう、殺される......このままじゃ、殺される......


 銃を構えたままこちらに歩き、私の額に銃口を当てる。


「あ......あ......」


 助けて......リーバ......


 男が引き金を引こうとした瞬間、


 ばしゅん!!


 という音がし、男が銃を手放す。


 見ると、銃を持っていた腕に魔法の光線が放たれていた。


「ぐっ!」


 初めて声を上げた男は魔法が放たれた方向を見ると、そこにはリーバが立っていた。


「リーバ!!」


 リーバは指を銃のような形にし、またも指先から魔法の光線を放った。


「もうすぐこの街の衛兵がやってくる!大人しくお縄につきなさい!」


 男はしばらく周りを見渡すと、衛兵の足音が聞こえてくるのを感じる。


「......大義のため!!」


 突然、男がそう叫び、どこに隠していたのか、もう一丁の銃を手に取り、自身の頭を撃ち抜いた。


「!?」


 その光景に私とリーバは固まり、目の前には倒れた男から飛び出る血と脳みそがあった。


「うっ!おえっ!」


 それに耐えきれず、私は嘔吐し、そんな私にリーバは背中をさすってくれた。


 後ろからは衛兵たちの足音とざわめき声が聞こえ、私は気を失った。










「......」


 目を覚ますと、そこは医務室のようだった。


 時計を見ると、あれから一日経過しており、横には椅子に座ったリーバがベッドに頭を乗せながら眠っていた。


 無意識にリーバの頭に手を乗せ、撫でる。


 そして、昨日見たリーバの魔法を思い出す。


 あんな魔法が扱えるなんて......さすが男の子だね。私なんて......私なんて......


 自分の力不足を感じていると、


「ん......?」


 リーバが目を覚まし、私の目を見つめた。


「おはよう、リーバ。」


「おはよう、リアラ。」


 リーバに話を聞くと、あの後私が気を失った後、リーバが状況を衛兵に説明し、街の城までリーバが運んだという。


 あの男の遺体は衛兵が処理するとのこと。


「つまり、ここはお城の中......?」


「そゆこと」


 ベッドから降り、リーバから服を貰うと、あることに気づく。


「あれ!?剣は!?剣がない!」


 部屋の中を探したが、剣はどこにもなく、リーバの顔を見た。


「お、落ち着いてリアラ、剣は衛兵の人が運んでくれたの。重いだろうからって。今から返してもらいましょう。」


 それを聞き、安心した私は早速剣を返しに貰いに行った。













 あの時、リアラは男の死体を見て、嘔吐した。


 あれが普通の反応なのだろう、おばあちゃんの死体を見た時も、あの時は悲しさの方が勝ったのだろうが、同じことを感じただろう。

 そういえばあの時、周りにはたくさんの肉片が散らばって、さらに周りの草木も倒れていた。

 多分、あそこにもう1人、敵がいたのだろう。僕が戦った猛獣はその人が召喚した物。

 召喚士が死んだからあの猛獣も姿が消えた。

 なら、もしかしたら、その人を倒したのは......


 そんなことを考えながら、リアラの方を見る。


「あ、あれ衛兵の人じゃない?」


 リアラが指さした方向には衛兵がいた。


「うん、あれがそうだね、話しかけようか。」


 衛兵に話をすると、あの時、撃たれた男の人がお礼を言いたいと言い、客室に案内された。


「いやあの、剣を......」


 リアラは剣のことを聞きたかったらしいが、衛兵はそんなこと気にもとめず、客室から出ていった。


 客室の中には撃たれた男の人がおり、僕たちを見るなり、頭を下げた。


「この度は、銃弾に倒れた私を治癒して下さり、誠にありがとうございます!」


「いえ、このくらい全然大丈夫です。また何かあったら治癒しますので。」


 何度も男はお礼を言い、やっと頭を下げるのをやめると、僕達は質問をした。


「あなたを撃った男の人は何者なんですか?」


 その答えは


「可能性の話として、秘密の大結社、ユニオンの仕業かと。」


 秘密の大結社?ユニオン?


「初めて聞きました、一体どんな組織なんですか?」


 リアラはもちろん、僕も知らない、きっと一般人の間では公表されてないのだろう。


「ユニオンとは、この世界を支配しようと考える謎の組織、その人数は2万とも20万とも言えるほどです。」


 横を見ると、リアラは早く剣のことを聞きたそうな感じで、うずうずしていた。


「ありがとうございます、それで、この子の剣なのですが」


 それを聞くと、男は人を呼び、二振りの剣を4人ほどで部屋に運んだ。


「あぁぁ、良かったー!」


 リアラは剣を大事そうに抱くと、満足した様子だった。


「少ないかもしれないですが、これを受け取ってください。命を救ってくださったお礼です。」


 男は懐から小さな袋を出し、それを僕に手渡した。


「?」


 中を見ると、


「「どっひゃーびっくりモンキー!」」


 僕達は情けない声を上げ、もう一度中身を見ると、そこには金貨が沢山入っていた。


「ほ、ほほほ、ほんとにいいの!?こんな大金......」


「はい、当然のお礼です。」


「ありがとうございます、では僕達はこれで失礼します。」


 僕が部屋を出ようとすると、リアラが思い出したように男の人に聞いた。


「あの、幻の百合桜って知ってますか?」


 そうだ、僕達はそれを見るために旅をしているんだ。


 僕も男の人の方を振り向き、答えを待つ。


「さあ?聞いたことがありませんね。」


 それを聞き、がっかりした表情で僕達は部屋を出ようとすると、


「幻の百合桜については知りませんが、それに関係するかもしれない花なら知ってます。」


 すぐに男の方を振り向き、体を乗り出しながら、話を聞く。


「昔、ある男が世界中に色々な花の種をまいたんです。それら全てを見つけると、あるひとつの花に導くと言われています。その花たちはこの街から進んだ、本の国、というところに情報がのっています。」


 それを聞いた僕達は見つめ合い、男の人にお礼を言うと、すぐに城から街へ出た。


「本の国本の国!そこで幻の百合桜についての情報が載ってるかもしれない!」


「早速明日から行こう!」


 宿まで走って、何度も何度も本の国という言葉を発した。

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