第三十三話 ザクロの実
「どうしたんですかぁ?」
「......!」
「わあ、やっと正気に戻りましたか!良かった良かった!」
あれ....?なにがあったんだっけ?
私たちはどうやらマージニアのあの言葉を聞いた直後で、気絶では無いが放心状態になっていたようだった。
「では会話を続けましょう、リーバさん、あなたは先程あの化物たちの元となった人間が悪い人なのではないかと質問しましたね?」
「え......うん..」
「悪い人なら殺してもいいのですか?」
......
私はまた下を向いた。
その人が悪い人だとしても、殺すのはやりすぎなのでは無いか。
いくらなんでも殺すのは......
「え?いいでしょ?」
「!!」
隣からそんな言葉を聞き、直ぐに振り向く。
その声の主は、少し困惑していたが、当然とばかりな顔をしていた。
「リーバ....何言ってるの?」
なぜか目の前の話しかけた人物が自分の知ってる人物じゃないような気がした。
「え?どうしたのリアラ?」
目の前の人は私の反応に少し驚いていた。
「だって、いくらなんでも、殺すなんて....」
「?だって、そうしないとまたほかの人たちが被害に遭っちゃうんだよ?なら、殺さないと!」
その人は、至って冷静に、至って正常に口を動かしていた。
「で、でも殺すんだよ!?死ぬんだよ!?死んだ人はもう動かないんだよ!?何も考えれないんだよ!?会話も出来ないんだよ!?」
これらの言葉を言って、私は目の前の人に何を理解してもらいたいのだろう。自分の意見を押し付けて、それで分かったと相手が言えば満足なのだろうか。
「でも!ほっといたら僕たちが殺されるかもしれない!?僕はそうしてきた!だから今生きてるの!!」
「でも!でも!」
「だいたい!リアラだってあの時!組織の人をころし」
「はいそこまで!」
パンッ
マージニアが手を叩き、私たちを制止した。
「つまりつまり、リアラさんは悪い人でも殺さない派、リーバさんは悪い人なら殺す派。おぉ!見事に別れました!ブラボーブラボー!!」
マージニアは一人で大笑いしていた。
私たちは笑えない。
「では、おさらばです!」
突然マージニアはそう言うと、マントを羽のようにし、どこかへ飛び去ろうとした。
しかし私たちは止めようとはしなかった。
「あぁそうそう、リアラさん!!」
マージニアが私の名を呼び、私は上空にいるマージニアの顔を見た。
「先程リーバさんが言いかけたことを言いましょう!あなたは私たちの仲間のひとりを殺しました!」
......は?
「あなたはその真実をどう受け止めるのか楽しみです!では!」
マージニアは飛び立って行った。
「......」
「......」
「......」
目の前では、たくさんの子供が遊具やら砂場やらで色んな遊びをしていた。
あの後、すぐに国の警察が来て、事態は収束した。
私たちは巻き込まれた何も知らない子供ということですぐに解放され、私は少しだけ遠くの公園のベンチに座っていた。
隣には誰もいない、繋ぐ手もない、合わせる目もない。
「......ばっかみたい」
今まであれだけいつも一緒だって言い合っていたのに......
顔をうずめて、小言を漏らす。
「私が人を殺した....」
マージニアが言った一言。
いや、気づいてないわけではなかった。
私は知っていた、でもその事実から目を逸らしていた。
リーバと再会してすぐに、知らないおばあちゃんを殺した組織の人。
私はその人を殺したんだ。
「......でも、そうしないと....」
わからない
自分が何を考えてるいるのか、それが先程の自分の考えとどれだけ矛盾してるのか。
「わかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないよぉ!!!!」
大声を出し、周りの子供達がこちらを振り向く。
どうすればよかったの?あのまま殺されればよかったの?おばあちゃんと一緒に死ねばよかったの?
何を言ってるの私は?
ボタボタと涙が出る。
何が原因で涙が出てるのかも分からない。
「....おじいちゃん....」




