二十四話 月下美人
「こまっこまっこまっこまー」
箒の国を歩いていくと、いつのまにか中央にまで歩いていた。
「わ、なんだこれ。」
「人の像だ。」
中央には箒とそれを操る女性の像が建っていた。
「えーとなになに、私たちがいるこの島は、かつては他の大陸と繋ぎあっていた。しかし、世界最初にして最大の戦争によってこの島の周りの大地はなくなり海に囲まれるようになってしまった。その戦争で我々に味方してくれた6人の魔女の像をそれぞれの国に建てることになった。」
「あ、この魔女の名はルーナ、箒と伝説の槍、ロンギヌスを使い、魔法を生み出し、戦争で活躍したとされる方、だって。」
そのルーナの像を細かく見る。
魔女が使う帽子にケープをまとい、どこか間の抜けた顔と共に、自信満々な顔をした少女は、この国のシンボルだそう。
「でも、前のふたつの国には杖と本の像はあったけど、人の像はなかったよ?」
「なんでだろうね。」
ちょっとだけルーナの像を見てると、突然横から人がぶつかってきた。
「わっぷ!」
転げはしなかったが、隣のリーバの顔に私の顔がぶつかった。
「なんだなんだ?」
見ると、私たちよりちょっと背の高い男の子が地面に転んでいた。
その男の子は立ち上がると、
「なにぶつかってきてんだクソガキがぁ!殺すぞ!」
と言い、両手で中指を立てていた。
「殺意たっか」
「殺意たっか」
「なんだお前らァ!文句あっのか?」
すると、後ろから誰かが男の子に話しかけてきた。
「あの、ご主人様、時間です。」
そこには首元を隠した、貧相な体の、私たちと同じ年齢くらいの女の子がいた。
「なんだよ!もうそんな時間か!クソガキ共!覚えてろよ!」
「あらそう?ごきげんよう〜」
軽く挨拶をすると、男は女の子と一緒にどっかへ行ってしまった。
「ん?」
その時、男のポッケから何かが出てきたのを見た。
男がいなくなったのを確認すると、私はその紙を持って、リーバと共に路地裏に入った。
「なんだろ?」
「なんだろなんだろ。」
そして、手に入れた紙を見ると、
「奴隷売買?」
「奴隷売買!?」
私はピンとこなかったが、リーバは驚いていた。
「どゆこと?」
「えっとね、奴隷売買ってのは奴隷をオークションにかけたり、個人で売買したりして、奴隷を買ったり売ったりする悪いことなの。」
「ピンとこんな〜、それの何が悪いの?そもそも奴隷ってなに?」
「あそこからですか」
リーバに奴隷のことを教えてもらう。
「なんて酷い連中なの!最低よ、鬼畜よ、ゴミよ、カスよ、生きてる価値なしよぉ!」
「あそこまでいっちゃうかんじ?」
一通り言ったあと、もう一度奴隷売買の紙を見た。
「そもそも、奴隷は全世界共通で禁止されてるの。それをこんなとこでやるなんて。」
紙には会場と開始時間と服装の指定があった。
「開始時間は、明後日......場所は書いてあるけど、どこにあるんだろ。」
「許せないね、奴隷なんて。」
「「よし!!」」
私とリーバはふたりである計画を立てた。
「おい、リルル」
「はい、ご主人様......」
リルルと呼ばれた、昼にリアラ達とあった少女は、主人に呼ばれた。
「お前はもう飽きた、明後日の奴隷売買に出品することにした。」
「......わかりました......」
ああ、またですか。
リルルは自身の寝る場所に戻り頭を抱えた。
誰か、私を連れ出して、白馬の王子様......
「大丈夫かな、リアラ......」
あたりは夜になり、一通りはなくなっていた。
僕たちが立てた計画は、リアラを囮に奴隷として連れてかれるのを待ち、連れてかれたら奴隷売買会場に向かうだろうから内部から奴隷会場を壊すということ。そして、そこにいる奴隷を全員解放することだった。
「でも、誘拐されるためにはオシャレしなきゃね!私が一世一代のオシャレをしてくるから、リーバは先に言って待ってて」
と言い、僕達は一旦別れた。
「そろそろ来てもらわないと......」
そう思っていると、
「ごめーん、待ったー?」
リアラの声がし、振り向くと、
「いっ!?」
そこには変な女がいた。
高そうな服に帽子を被り、顔には化粧を沢山しすぎて逆に不気味な顔になっていた。
そして、
「なに......その体......」
ぼんきゅっぼん
今のリアラの体は、そんな言葉が似合う。
胸とおしりがとてつもなくでかくなっており、そして相対的に腰はしまっていた。
「これ?中に風船と浮き輪入れてんの。どう?このniceBODY。おじいちゃんに女はめったに肌を見せちゃいけないって言われたから、服は普通のを選んだけど。」
いや服もなかなか攻めてるよ。
「ま、まあとりあえずその辺をブラブラしてみようか。僕はここで隠れてるから。」
「おっけー」
計画通り、攫われるため、その辺をぶらぶらした。
が、
2時間たっても攫われることは無かった。
必要も無い厚化粧をした女の子が、ただその醜い姿を一人で晒しただけだった。
「......」
ぱんぱん!
手を叩き、リアラをこっちに向かせる。
そして、腕を動かし、信号を送った。
ぜ ん ぜ ん こ な い じゃ な い の
リアラも信号を送ってきた。
お か し い な ぼ ん きゅ ぼ ん な の に
そ の ぼ ん きゅ ぼ ん の せ い で しょ
とりあえず、今日は諦めることにした。




