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幻の百合桜  作者: ふみりえ
幼馴染み編
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第二話 四葉のクローバー

 私たちは今、街へ向かっています。


「ほらほら、早く早くー!」


「待ってよー」


 歩いていた森を抜けるとそこには野原が広がり、天気はすこやかに晴れていました。


「わー!綺麗ー!」


「本当、綺麗......」


 至る所に草木が広がり、私たちはその場に寝転んだ。


「ねぇねぇリーバ。」


「なに?むにゅ」


 横にいるリーバの肩をつつき、リーバが振り向くと、ほっぺたに指を当てる。


「ふふふ、さっきのお返し。」


 リーバは照れながら、片手で私のほっぺたをむにゅっとする。


 私もすかさずやり返す。


 しばらくお互いにむにゅむにゅし合っていると、不意に面白くなり、二人で笑う。


「すいません、そこのおふた方」


 突然声がし、私たちはその方向を見ると、おばあさんが立っていた。


「どうしたの?おばあちゃん。」


「少し頼み事をしたいのだけど、いいかい?」


 私たちはよっこらせと立ち上がり、おばあちゃんの話を聞いた。


 それは、この草原にある四葉のクローバーを一緒に探して欲しいとの事。


 なんでも、今日は死んだ主人の命日なのだそうで主人が1番好きだった四葉のクローバーをお供えしたいそうだ。


「いーの?街に行かなくて。」


 リーバがボソッと私に言うが、


「いいんだよ、旅は色々なことをしなくちゃ、これもそのひとつだよ。」


 それから私たちはおばあさんと一緒に四葉のクローバーを探し始めた。










「うーん、全然見つからないなぁ。」


 あたりはすっかり暗くなったが、四葉のクローバーは一向に見つからなかった。


「今日はやめにしましょうか。私のお家に来てちょうだい。ご馳走を用意するわ。」


 おばあさんの後を着いていき、家に着くと、すぐに夜ご飯を用意してくれた。


「さあ、たんとお食べ。ごめんなさい、一日付き合わせちゃって。あとは私一人で探すわ。」


「うめ、うめ、うめ。」


 出された料理を片っ端から食い、お腹を満たしていった。


「昔はそこらにたくさんの四葉のクローバーがあったらしいんだけど、今は少なくなっちゃって。」


「へぇー。」


 確かに三葉のクローバーは見たことあるけど、四葉のクローバーは見たことがないなぁ


「おばあちゃん、明日も一緒に探すよ。」


 それを聞いたおばあさんは申し訳なさそうな顔になりながら、


「いいのかい?二日も付き合わせちゃって。」


「全然大丈夫だよ!私も四葉のクローバー見てみたいし。」


「僕も」


 その後は、お風呂にリーバと一緒に入り、同じ布団で寝た。













「んあー、よく寝たー。」


 僕たち二人は目覚めると、顔を洗い、リビングに向かった。


「いただきます。」


 朝食のメニューは野菜炒めに豚汁、そして米だ。


「今日も付き合わせちゃって悪いね。」


「全然大丈夫だよ。」


 朝食を食べ終え、早速四葉のクローバーを探しにいった。


 がさごそ、がさごそ


「重いなぁこの剣。」


 リアラが後ろに背負ってるおじいちゃんの形見の二振りの剣を背負いながら、愚痴をこぼしていた。


「置けばいいじゃん。」


「ダメだよ、これは私の宝物であり、形見なんだから、肌身離さず持ってなくちゃ。」


 それからしばらく探していき、辺りが暗くなり始めた頃、


「あったーー!!」


 リアラが大声を放ち、僕とおばあさんが近づく。


「あら、こんなところにあったのね。」


「すごい、葉が四つある。」


 早速おばあさんが周りの土ごと四葉のクローバーを手に取り植木鉢に入れる。


「ありがとう、これで主人も喜ぶわ。」


 おばあさんがお礼を渡すからと言って、もう一度おばあさんの家まで歩く。


「四葉のクローバーはね、私が主人にプロポーズされた時に渡されたものなの。私が子供の頃から四葉のクローバーは珍しいものとして認知されていたのに。たくさん探したんでしょうね。」


 四葉のクローバーが入った植木鉢を大事そうに持ちながら、おばあさんは昔話を話してくれた。


 そんなことを聞いていると、突然なにかの気配を感じた。


「!!伏せて!!」


 すると、さっきまで僕たちが立っていた場所に魔法攻撃が飛んできた。


 すぐに短剣を抜き、魔法が飛んできた方向を警戒する。


「リアラ!おばあさんを連れて逃げて!!」


「う、うん!」


 リアラはおばあさんを連れて魔法が飛んできた方向とは反対の方に逃げる。


「誰!!出てきなさい!」


 叫ぶが、なにかが出てくる気配はなく、攻撃もしばらく止んだ。


 気配はする、でもどこにいるのか分からない。


 しばらくそんな状態が続くと、突然横から生物が襲いかかってきた。


「!!猛獣!」


 この世界にはいくつかの獣がいる。


 まず獣、これは普通の冒険者が相手にするレベルの生物である。


 次に猛獣、レベルの高い冒険者が相手にする獣よりも数段強い生物。


 そして、神獣と魔獣、猛獣の比じゃないくらい強く、国が総力を上げて戦うレベルの生物なのだ。


 僕に、勝てるの?猛獣なんて、戦ったことないよ......


 短剣を構えてる手が震える。


 でも、ここで勝たなくちゃ、二人が襲われる。

 大丈夫、私はここまで生きてきた。これからも、生きるんだ。


「ぐぎゃああああああ!!」












「おばあちゃん、こっちに来て!早く!」


「はあ、はあ、」


 おばあさんの手を取り、必死に走った。


 リーバ、大丈夫かな......


 頭の片隅でリーバのことを心配しつつ、周りを何度も見渡す。


 すると、


 どぎゃあああん!


 突然横から音がし、振り向くと、魔法の玉が飛んできた。


「きゃあああああ!!」


 それをぎりぎりかわしながら、それから何度も魔法が飛んできた。


「大丈夫だよおばあちゃん、あと少しでおばあちゃんの家だか......ら......ね......」


 ふと後ろを振り向くと、手を繋いでいたおばあちゃんの顔がなかった。


「え......」


 走るのをやめると、繋いでいたおばあちゃんの手がズルズルと落ち、体もその場に倒れた。


 四葉のクローバーが入った植木鉢も地面に落ち、割れる。


「おばあちゃん!!おばあちゃん!!ねぇ!おばあちゃん!」


 何度もおばあちゃんを呼びながら、涙を流していると、森の茂みから人が出てきた。


「ふー、やっと死んだか。」


 私は声がする方向を向くと、そこには大人らしき人が立っていた。


「あなた、誰?あなたが殺したの?」


 その人は私のことなど気にもとめない様子で、歩いてきた。


 そして、割れた植木鉢から四葉のクローバーを持ち、そこから歩き去ろうとした。


「ちょっと待ってよ、それおばあちゃんのものだよ?」


「......」


 大人は私の言葉を無視し、歩くのをやめなかった。


「ちょっと待ってって言ってるじゃない!!!」


 そう叫ぶと、やっと大人はこちらを振り向いた。


「なんだ?このままそこに立っているだけなら見逃すぞ?」


 立っているだけ......そうだ、私はおばあちゃんが殺されても立っているだけ......


 私は右の背中に背負った剣、無幻を抜き、構える。


「はぁ......」


 大人はため息を漏らすと、右手に持っていた四葉のクローバーを地面に置き、魔法を発動する。


「......」


(あの剣、抜く前は分からなかったが、かなりの名剣だ。警戒しなくては。)


「やああああああ!!!」


 不格好な構え方で走り出す。


「......は?」


(まるで初心者ではないか。はったりか。しかも、自分に不似合いな重さの剣に振り回されてる。ダメだな。)


 私が何度も攻撃を仕掛けるが、大人はそれを軽々とかわす。


 攻撃をかわしながら、大人は上空に跳ぶと、おばあちゃんの体の元に立つ。


「この者はお前のなんだ?昔からの知り合いか?」


「いや、昨日知り合った......」


 そう言うと、大人は不思議そうな顔をしながら


「ならなぜ私を襲う?昨日知り合っただけだろ?」


「それは......そうだけど......」


 すると大人は、おばあさんの体を踏みつける。


「!!」


 怒りが込み上げた。


「あなたは、どうしておばあちゃんを殺してまで四葉のクローバーを盗んだの?」


「それは、四葉のクローバーには魔力が沢山詰まっているのさ。」


 そんなことのために......おばあちゃんを......


「さあ、もういいだろう、お前にも死んでもらう、もう一人も私が召喚した猛獣によって死ぬだろう。」


 リーバ!!こいつ......リーバまで......


「......殺す」

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