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幻の百合桜  作者: ふみりえ
幼馴染み編
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第十七話 エリカ

 杖の国を出て、私たちは杖の国と箒の国の間の街に着いた。


「んー?なんだろうこの感じ。」


「どうしたの?」


 リーバが街に入った途端、そう言った。


「なんか、この街は嫌な予感がするんだよなぁ、何か忘れてるような......」


 リーバは考えるような顔をして、ずっと周りの景色を見ていた。


「まぁとにかく、まずは探検しよ!」


 とにもかくにも初めて来た場所でやることはただひとつ、探検である。


 リーバの手を引き、街中を探検した。








 





「ここにこんな通り道があったとはね。」


 建物と建物の間の入り組んだ小さな道を通り、出口のところで僕達は休憩した。


「いやぁ、やっぱり探検は面白いねー。」


 あたりはすっかり夕方になり、宿を探しに行こうかと思った時、


 雪が降り始めた。


「わあ、綺麗......!!リアラ!!!」


 雪に少しみとれて、リアラのことを思い出すと、リアラのいる方向を向いた。


 リアラは


「......はぁ......はぁ......寒い......やだ......」


 体が信じられないくらい凍えており、両腕で必死に自分を抱きしめていた。


「ごめんリアラ!すぐ宿に向かおう!ここで待ってて、近くの宿をさがしてく」


 僕がリアラから離れ、宿を探しに行こうとすると、


「やだ......おいてかないで......ぼく......やだよぉ......ひとりぼっちは......」


 と僕の服を掴んでいた。


 どうしよう......こんな時期に雪なんてそもそも......


 僕が困っていると、


「あれぇ?なんでこんなとこにお前がいるんだァ?」


 一瞬で僕にも寒気がした。


 ああ......どうして思い出せなかったんだろう......きっと、リアラといたからだ......


 雪が降る街の路地裏で僕たちが固まっていると、そこに二人の思い出したくなかった男が現れた。


「いや......いや......」


 たすけて......リアラ......


「これはお手柄だ!まさか1度逃げたこの街にわざわざ自分から来るとは!とんだまぬけだ!」


「おら、行くぞ!孤児院に戻ったら、罰を受けてもらうぞ!」


 男二人が、僕の手を引く。


 やだ......行きたくない......またあんなところに戻りたくない......リアラ......たすけて......


「リーバ......たすけて......」


 助けて欲しいのはこっちだよ!お願いリアラ!今までだって、僕がほとんど助けてきたじゃないか!今回はリアラが助けてよ!お願い!


 声に出そうとするが、うまく言葉にできない。


 同じようにリアラも声が出ないようだった。


 そして、僕は男たちに連れていかれた。


「リーバ......いかないで......」


 リアラはその場にひとりぼっちになってしまった。













「きゃあああ!!」


 孤児院に連れてかれ、最初に行われたのは、罰だった。


「このクソガキが!逃げ出しやがって!拾ってやった恩を忘れたか!」


 孤児院の広場で他の孤児達が見てる前で、僕は孤児院の社長とその職員に何度も殴られ斬られ蹴られた。


「いいか!お前らも逃げたらこいつのように罰を受けてもらうからな!」


「「「は、はい!!」」」


 社長達が行ったあと、僕は立ち上がり、魔法で傷を治した。


 孤児院の中に入り、自分の部屋へ向かう。


 その途中、同じ孤児の男三人に話しかけられた。


「あんた、脱走したんだってな?」


「この孤児院最大の逸脱行為、脱走。」


「でも、まさか自分からこの孤児院がある街に入るなんて、馬鹿だなぁ?逸脱者、リーバ!」


 気にせず、僕の部屋である3階に向かう。


「そういや、聞いたか?お前の近くにいたあの女、職員が放置したらしいぜ、死んでるんじゃない」


「!?」


 それを聞いた瞬間、無意識にその男の胸ぐらを掴んだ。


 多分何歳も年上ではあるが、そんなの関係ない。


「な、なんだよ!文句があるってのか?」


「いいぜ、相手になってやるよ!ここでの礼儀をもう一度叩き込んでやる!」













 広場に僕とさっきの三人が立ち、周りには職員と他の孤児たちが集まっていた。


「勝利条件は相手が参ったって言うまでだ。」


「いくぞ。」


 三対一だなんて......卑怯な......


 短剣......は没収されたので、渡された短い木剣を持ち、構える。


 相手も木剣を構え、舞いちった一枚の草が地面に落ちた瞬間、僕は足を踏み入れ、三人に近づいた。


「うおっ!」


 三人は驚き、三人とも同じような防御をする。


 足ががら空きだったので、一人の足を払い、転ばせる。


「いて」


 次にその横の男の木剣を、こちらの木剣で振り払い、手放せる。


 最後の男とっくに剣で防御するのをやめ、攻撃しようとしていた。


 しかし、それをいくつか躱し、後ろに回って残りのふたりに見せつけるように首元に木剣を当てる。


「もう勝負はついたでしょ、降参して。」


 しばらく無言が続くと掴んでいた男が剣を床に落とし、


「わかったよ、俺たちが悪かった。」


 それを聞くと、首元に当てていた木剣を離す。


「降参......するわけないだろ。」


「!?」


 床にへたれこんでいた男がすぐに僕の後ろに回り、僕を拘束する。


「な、降参だって!?」


「じゃねぇって言っただろ?さっきのお返し、たっぷりしてやるぜ。」


 そう言って、僕が拘束していた男が僕の腹を思い切り、殴った。


「ごふっ!」


「たしか、勝利条件は相手が降参って言うまでだったよな?」


 僕に剣を振り払われた男が剣と布を持ち、布を僕の口に縛った。


「おおっと困った、これじゃなんて言ってるかわかんないなぁ?」


 それから何度もパンチを喰らい、気が済んだのか、僕を地面に振り落とす。


「じゃあな逸脱者。」


 男たちが孤児院の建物に向かっているのを見て、


「この!」


 口に縛られた布を外し、走ってライトニングガンの構えをする。


「なに!?」


 男三人が振り返り、そちらも魔法の光線を放つが、

 下にスライディングし、それを躱し、三人の間近でライトニングガンを


「だと思ったぜ。」


「!?」


 当たるはずだった僕の光線はなぜか魔法で防がれ、男が持っていた木剣で頭を思い切り殴られた。


「なぜって思ってるだろう?お前専用の魔法、ライトニングガンがなんで防がれたのか。」


「お前が出てってから、社長はお前対策の魔法や技をたくさん俺たちに覚えさせたんだよ。」


「お前はこの孤児院の誰にも勝てねーよ。」


 どんどん頭だけでなく、身体中を木剣で殴られる。


 いくら木剣でも、思い切り殴られれば痛いし、怪我もする。


 次第に僕は、気を失った。

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