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幻の百合桜  作者: ふみりえ
幼馴染み編
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第十五話 ハッピーハロウィン

「お腹空いたー」


 あれから数時間、カフェから出たあと街を探検していると、僕達はそれから何も食べていないことに気づく。


「冒険者ギルドまでまだまだあるよ。」


「あそうだ、それとは別のことなんだけど」


 僕がリアラに今まで考えてたことを言う。


「これからはお金を稼ぎながら旅をしようと思うんだ。」


「お金?」


「うん、前に貰ったお金と僕のお金、あとリアラが家から持ってきたお金で少なくとも五年は遊んで暮らせる計算だけど。いざって時用にお金を稼いでおかなくちゃいけないと思うんだ。」


「ふむふむ、じゃぁまず何する?牛乳配達?」


「どうしようか。」


 二人で考えながら道を歩いていると、


「ん」


 国の掲示板にポスターが貼ってあった。


 急募!!ハロウィンのお菓子を渡すアルバイト募集します!場所は......


「わあ!」


「へぇ!」


 僕とリアラはお互いの顔を見て、即決した。













「ハッピーハロウィーン!!!」


「「ハッピーハロウィーン!!」」


 私たちは仮装をして、お菓子を配ってる列に並んだ。


「僕達子供だからね、お菓子をもらう側だよ。」


「えへへー、そうだよねー。」


 私は魔女のコスプレをし、左腕にかぼちゃの入れ物を持っていた。


 リーバはお化けのコスプレで肩に私と同じようにかぼちゃの入れ物を掛けていた。


「まだかなぁ、もうお腹ペコペコだよ。」


 自分たちの順番が来るのを待ち、何度も鳴るお腹を撫でながら、私とリーバは列の先を見た。













「ハッピーハロウィン!お菓子くれなきゃイタズラするぞぉ!」


「ハッピーハロウィン!お菓子あげちゃうよ!」


「「わーいやったー!」」


 どうやら私たちが列の終盤だったようでお菓子待ちの列も短くなっていた。


「さ、食べよ食べよ!」


 座れるところを探していると、私は街の端っこに私たちを見ている女の子がいることに気づいた。


「ねぇ、リーバ、あの子......」


「ん?」


 リーバがお菓子を頬張っている所にほっぺをつつく。


「誰だろあの子......」


 私たちが見ていることに気づいたその子は着ていたフードを被り俯いた。


 そして、よく見ると


「あ、あーー!!」


「誰かわかったの?」


 リーバの手を繋ぎ、走ってその子のとこへ行く。


「ねぇねぇ、あなたカフェで私に席譲ってくれた子でしょ?あなたも仮装してここに来てたんだ!」


 フードを被った女の子は困った感じで


「あいや、これは仮装じゃなくて、えと......うん、私も仮装してここに来たんだ。」


 その子はフードを下げ、顔を見せる。


「私リアラ、それでこの子が」


「リーバでしょ?知ってる。」


 それを聞いたリーバと私は驚いた顔をした。


「びっくり、よく知ってるね、で、あなたの名前は?」


 その子は少し考えると、


「アン」


「そっかあ、よろしくねアン!」


「よろしく」


 二人で握手を求めると、アンは私から握手をした。


「ところで、アンはお菓子もらったの?まだなら行ってきなよ。」


 リーバがそう言い、アンは戸惑いながら、


「うん、取ってくる。」













「あ、見て見てふたりとも、ガム風船があった。食べたかったんだよねぇ。」


 貰ったお菓子の中にガム風船があったようで、リアラは嬉しそうに口に入れた。


 かみかみとリアラがガムを噛んでいるのを横目に見ながら、僕は視線をアンに移した。


「ねぇアン、さっきも疑問に思ったんだけど、どうして僕の名前を知っていたの?」


 そう聞くと、アンは困った顔になった。


「えと......」


 アンが返答に困っていると、僕の横にいるリアラを見て目がでかくなって驚いていた。


「?」


 僕も気になってリアラの方を向くと、リアラが噛んでいたガムが風船みたいに膨らみ、リアラの顔と同じくらい大きくなっていた。


 アンと僕は目を丸くしてその様子を見ていると、突然風船がパンと割れ、リアラの顔全体にガムがついた。


 それを必死に剥がし、リアラが


「ぷはぁ」


 と息をする。


「面白いねぇこのガム、三人で一緒に膨らませようよ。」


 リアラからガムを一粒ずつもらい、僕とアンはそれを口に入れる。


「かみかみくちゃくちゃもにゅもにゅ」


 そして、一斉にガムを膨らませる。


 ぷーーー


 ガムはどんどん膨らんでいき、お互いのガムが引っ付くぐらい大きくなった。


 その瞬間、僕達三人は同じことを考えた。


(あ、なんか団子三兄弟みたい)


 その時、三人の風船が一斉に割れ、顔に引っ付く。


 風船をひっぺがすと、僕達は同時に笑い出した。


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