第十話 ヒメウツギ
「おーい!こっちに一人いるぞー!!」
私たちはあれから街の人たちの救助にあたっていた。
何度も国の中を歩いていると、なんとなく道も分かるようになり、私とリーバは手分けして、他の人達と瓦礫をどかしたり、人を救ったりした。
「これで全員助けられたかな。」
驚くべきことに、今回の騒動で亡くなった人は一人もいなかった。
「と、いうことで、今回は飛んだ騒動になったが、一人も死んでなくてよかった!!おつかれぇ!!」
「「おつかれぇ!!」」
その後、国の建築物の修理などは国に任せ、私たち冒険者はギルドで宴を開始していた。
「おう嬢ちゃん、あんたZランクの子だろ?」
「そ、そそそ、そうだけど?」
馬鹿にされるのかな?
「なのにすげーな!!今回の騒動の犯人倒したのあんたとBランクの子なんだろ?この国のヒーローだ!!」
え?なになに?私とリーバ、褒められてる?
「そ、そう?」
「リアラ、顔がにやけてるよ」
冒険者の人が私の手元にお酒を持ってきて、
「ほらほら、飲みな飲みな!!」
「あ、でもおじいちゃんにお酒は大人になってからって言われてて」
「冒険者はみんな大人だよ!!ほら飲みな!!」
そうだったの!?
「よーし!ごくごくごく!」
お、おいしいー!!
そのままジョッキ一杯分を飲み干し、テーブルに置かれた食べ物を口にした。
「おいおいいい口してんじゃねぇか!!おら、もっと飲みな!」
「待って、やばい吐く」
飲んでは吐き、飲んでは吐きを繰り返し、その度にリーバが背中をさすってくれた。
「おつかれぇ!」
「また明日なぁ!」
宴が終わり、冒険者達が次々と宿に戻る。
「僕達も帰ろっか」
「メリ、大丈夫かなぁ、家も潰れちゃったし」
私たちはメリのことが心配になり、メリの店まで行くことにした。
周りの建物はまだ壊れていたが、瓦礫や岩などはほとんどなくなっていた。
「さっすが国、仕事が早いなぁ。」
メリの店に着くと、昼間あった大きな岩は無くなっていたが、店は潰れたままだった。
「メリー!」
大声でメリを呼ぶと、奥からメリが出てきた。
「リアラ、リーバ、君たちを待っていたよ」
いつも通りの無表情でメリが出迎える。
「待っていた?」
メリが潰れた店の中を歩き、シーツが敷かれていた場所の前に立った。
そのシーツをどかすと、そこは先の岩で床が壊れていた。
「これって!」
「そう、これで、地下が調べられる。」
「「!!」」
三人で地下に入ると、そこにはたくさんの本がしまわれていた。
「この中に、もしかしたら幻の百合桜に関する本があるかもしれない。」
それから私たちは地下にある本を全て読み、幻の百合桜に関する情報を探した。
しかし、中に書いてあったのは、数百年前の歴史に関することや、神器、魔法、そして、この世界の他に二つの次元があることなどばっかりで、幻の百合桜という文字は一文字もなかった。
「多分、結構大事なことが書かれてると思うけど、今は別に必要じゃないんだよね。」
「ここにもなかったか......」
しょんぼりした気持ちで部屋の真ん中に置かれていたテーブルにもたれると、テーブルの足が壊れてしまった。
「あわわ、ごめんなさい!!」
すると、壊れたテーブルの中から一冊の本が出てきた。
「なんだ?この本?」
メリがその本を開くと、
「!!幻の百合桜!!」
中には幻の百合桜という文字が書かれてあった。
「あれ、ちょっと待って、ここ、1ページだけ破れてる。」
一番最初のページが破れており、その切れ端をどこかで見たことがあった。
「もしかして」
ポッケから幻の百合桜に関する紙を取り出し、破れた部分と合わせる。
「ぴったり合う!!」
なんと、本の破れた切れ端と紙の部分がピッタリ合ったのだ。
「ねぇリアラ、この紙、どうやって手に入れたの?」
「えと、家の物置の中にあったのを偶然見つけて......私もよく分からないよ」
どうして何百年も閉じられてた地下の本と私の家にあった幻の百合桜の紙がぴったり合わさるんだろう......
「とにかく、これで幻の百合桜についてわかるだろう?良かったじゃないか。」
「そ、そうだよ!!これで幻の百合桜に一歩近づいた!!やったリー」
「やったーーーー!!!!!やったよリアラ!!!幻の百合桜はほんとにあったんだ!!!やったやったーー!!」
私がやるよりも先に、リーバが私を持ち上げその場で何度も回転した。
「やったやった!!リアラやったよー!」
「ちょ、ちょっとリーバ!あは、やったやったーー!!」
「この本によれば、幻の百合桜はこの世界の最果てに咲き誇ってあって、その場に行くには、27本の伝説の花を見なければいけない。」
「しかし、その花の全てが未だに咲いたことはない......ダメじゃん」
「場所は書いてあるけど、咲いてないんじゃ見れないよなぁ。」
本を見つけて早速行き詰まった。
「まぁとりあえずその場所に行ってみようか。ちょうどこの島にも花がひとつあるし。」
読んでみると、私たちがいるこの島にも27本のうちの1本があるようだった。
「そだね」
私たちは明日、旅立つことにし、今日のところはメリの家で泊まることにした。
布団を敷き、三人川の字になって寝ようとすると、
「かああああああ!!」
突然、鳥の鳴き声がし、その方向を向くと、鳥が幻の百合桜の本を掴み、どっかに飛んでいってしまった。
「......え?」
「......へ?」
「まじか」
「「へぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」
これから、どうなっちゃうの?




