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Prologue
――それは世界にばら撒かれた――
――俺のせいで考えられないくらいの大勢の人が死ぬ――
――本当に俺は生まれてきてもよかった存在なのだろうか?――――……
◇
2011年7月5日
俺は見ていた夢に苦しさを覚え、唐突にその目を開き、体を起こした。
今の状況は勿論、ベッドの上に座っているところだった。
殺風景な自分の部屋を眺めながら、額に微かに滲んだ汗を寝間着の袖で拭う。
さっきまで見ていた夢は“嫌な夢”と言えるほどの代物ではなかった。
――俺の全身の血管に血液が流れていく夢。
それは人間ならば誰しも無意識のうちに行っている生きる為の行為だ。
胸がざわざわと音を立てる。不吉な予感がした。根拠など無い。それは――――
――――俺のただの勘に過ぎなかった。