1話 青春の始まり
春になり桜が咲く季節に俺、如月 春は
高校の入学式へ向かう真っ最中だ。
新しい学園生活が始まるはずなのに緊張なんてなかった。
なぜなら、桐丘学園高校は定員が多いため中学の知り合いが続々入学してくるからだ。顔なじみのある人ばかりなら不安なんてなかった。
「おーい、春〜!」
登校途中で俺の肩に腕を回してくる男子生徒。
とてもご機嫌のようだ
「相変わらず元気だなお前は」
「当たりめぇだ、高校生活だぞ!
俺は中学で恋が出来なかった分ここで告白しまくってやるぜ!!」
「無理だ諦めろ」
「なんでぇ〜〜!!」
三浦 誠 中学から仲が良く時々遊びに行ったりもする
うるさいヤツだが話しやすく根はとても優しいやつだ。
学校に着くと真っ先にクラス確認をする
校舎前に大きななボードが貼られていて、探すのが本当に大変に思うほど1年生生徒の数が多い。
「春、お前何組だ〜?ちなみに俺は7組だ」
「俺は5組だなお前とは別クラスだな。」
「なんだよ、つまんねぇのー、
……ん?」
誠が何かを見つめる。
「あの子めっちゃ可愛くねぇか!?」
「ったく、お前はすぐそうやって…」
(そこのきみ〜〜!!)
三浦の声は遠く小さく聞こえる
俺が止めるより先に三浦は行ってしまった。
入学式が始まる前、体育館に集められた約400名の生徒たち、学年で8クラスの各クラス50名程に別れている
体育館に集められたのは各クラス担任の先生と新入生である1年生のみで2・3年の姿はない。
生徒会長挨拶で、生徒会長が舞台に立つ。
腕には校章入のきらびやかな腕章を付けていてこの学校を背負っている生徒会長ということがひと目でわかる。
ネクタイの色は緑色で学年でいえば3年生。
この高校では1年生が赤・2年生が青である。
とてもきちんとしていて見るからにも近づき難いオーラを感じる。
生徒会長の話が長々と続き生徒たちの疲れ果てている様子が目に見えてくる。
生徒会長の挨拶が終わると次に司会を務める先生が式の終了を告げる
「えぇ、以上で入学式を終わります」
ようやく入学式が終わり、クラスへ向かう
教室に入ると自分の指定席に座りひとまず落ち着いた。
わずか数分後にクラス担任が教室に入ってくると早速担任の挨拶が始まる
「どうも、クラス担任の田中 晃です。よろしくお願いします」
クラス担任が挨拶を終えると生徒一人一人自己紹介をする
そして、生徒たちの自己紹介が終わると続けるように先生が話す。
「皆さん今日はこれで解散です。お疲れさん」
「めっちゃ早く終わったね。」
「この後どこ行く?」
「ゲーセン行こーぜー」
学校が終わり放課後の生徒たちの声がざわざわ聞こえてくる。
(青春してんなぁー)
正直周りの生徒たちがとても羨ましくも感じる、本当は自分も充実した日々を送りたいそれは中学の頃も今も思うことだった。
帰宅の準備を済ませ教室を出てすぐのこと、大勢の生徒が集まりある一点を見つめる。
「喧嘩か?」
「え、まじかよ、」
「てかアイツ、朔斗じゃないか?」
生徒たちが見つめる先を見るとある男子生徒が2人の生徒に暴力を振っているのが目で見えた。
"村雨 朔斗"確かにそう聞こえた。ざわつく生徒たちの情報を盗み聞きすると朔斗は中学の時から荒れていて新入生してそうそうけんかをしている。自分が気に食わないと思えばあれこれかまわず暴力を振るうとても危険な生徒だという。
「おい!お前ら何をやっている!」
「チッ、面倒なやつかきたな」
「3人とも生徒指導に来るように」
「ったく、めんどくせぇな」
とても大事になっていたのだろうか案の定先生が駆けつけてきて喧嘩はおさまる。
争いごとおさまると生徒たちは自分たちが巻き込まれると危ないと、速やかに帰宅する。
俺も早く帰ろうとしたその時
「チッ…クソセンコーが」
生徒指導に行ったはずの朔斗の姿が見える。
(朔斗?さっき生徒指導室に行ったはずなのに)
「あぁ?なんだお前」
目が合ってしまった。だが話をかけられて答えないのも失礼だというものここは冷静に話をする
「俺は1年生の如月春、」
「別に名前なんて聞いてねぇよ、変なやつだな」
めっちゃ睨まれている、ポーカーフェスを保っているつもりだが内心めちゃくちゃ怖い。
自分も騒ぎにならないようにとどうにか逃げる策を考えるが、
「お前…」
(!?まずい…)
「おもしろそうなやつだなぁ、ちっとツラ貸せや」
(終わったぁ…)