今日から始まる新生活?ぱーとつぅー!
蓮「んじゃあ、今日はこのへんで帰るな〜」
時計は午後8時を指していた。
小百合「えぇー。かえっちゃうの?まだ結構時間あるよ?」
残念そうに小百合が言った。
俺ももっと長くいたいのだが今日のところは、父さんに相談もあるし帰ろうと思った。
別にこの時間が今日で終わるわけではないのだからまた次を楽しみに日々を過ごしていける。
以前の俺にはなかった感覚だ。
何かを楽しみにまって日々を過ごすという感覚はとうの昔に消えうせていた。
もちろん小百合と出会える日を待っているという感覚も最初のうちこそあったが
段々とそれは実感が無くなっていき、「夢」へと変わっていった。
敏志「まぁ気をつけて帰ることだよ。」
めずらしい言葉を敏志がかけてきたので少し戸惑ったが、
蓮「おぅ。ありがとな。」
と、素直に受け取っておいた。
二人に別れを告げ、レジで料金を払い自分の家の方向へと歩き始めた。
…どう切り出そうか。
もちろん引越し。一人暮らしのことだが素直に父さんが了承してくれるとも思わない。
でもやっぱりここは正直に話してわかってくれるまで何回も頼むしかないだろう。
家に着くまでに何回ため息をついただろうか。
カフェと家まではそれほど距離はないものの今日はとても長く感じられた。
俺はいつもより重く感じる引き戸を引いて家の中へと入っていった
家の中は真っ暗で静まり返っていた
そして不安を打ち消すように
「ただいま」と言ったが
しかし返事はいくら待っても帰ってこなかった
さらに積もった不安に負けじと玄関の明かりをつけて居間へと向かった。
しかしそこで父さんは寝ていた。
卓袱台の上には、日本酒数本が置いてあった。
きっとまた一日中飲んでいたのだろう。
これから父さんを起こして相談するという手もあるが
そうするときっと機嫌を悪くして、話を聞いてもらえないだろう。
この様子じゃ今日は無理だな…。
さゆりのことを思い出すと何度も起こそうかと思ったが必死にあせる気持ちを抑えた。
とりあえず今日は寝ることにした。
蓮「小百合と同じ学校か…」
夢にも思っていなかったことだったので俺はいまだに現実が信じられない。
スウェットに着替え、布団に入ろうとしたところで携帯が振動しながら音を立てた。
from:小百合
件名:おにいちゃんへ!
本文:
今日は早く帰っちゃって残念だったな…なんて笑``
あれから私たちもすぐ帰っちゃった。
で本題!
お父さん、簡単には許してくれないかもしれないけど
私おにいちゃんと一緒に学校いける日楽しみにしてるから!
だから頑張ってね!
小百合からのメールだった。
これだけで勇気が沸いてきて、自然と頬が緩んだ。
そして俺は 布団にもぐりこみ父さんに対する不安と小百合に対する期待を胸に静かに眠りの底についた。




