ザキーロとミルカ
外の風景を見ている。
だが今日は少し違う。
息が上がっているからだろう。
ベッドの隣でなく、隣のベッドでレイアがハァハァと息を荒げて横になっている。
少し前から部屋での歩行練習を始めた。
何かに掴まりながら歩く練習だが、筋力不足か数歩歩けば倒れるの繰り返しに、両親をかなり心配させる結果となった。
「早く歩けるようになりたい。」
レイアの一言に両親も折れ、仕事に行ってる間は適度に練習をする様になった。
息を整えながら外ののんびりとした風景を見ていたら微かな話し声が聞こえた。
と同時に・・・
ひょこっと窓の下から女の子が顔を出した。
「ロウ。大丈夫?」
「歩く練習しててさ、疲れたから外を見てたんだよ。」
声を掛けてきたのは隣に住む女の子ミルカだ。
ウチの両親と同じく漁師をやっているラフードさんとミレーヌさん夫妻の子。
年は7才。赤い髪に太目の眉、パッチリした目。とてつもなくかわいい。
「もう歩けるの?」
「練習中だけど、杖も出来たしそろそろ外を歩くかなあ。」
「入っていい?」
「どうぞ。」
パタパタと玄関?の方へ走っていった。
「ふぅ。」
体をはたく音。そして男の子が立ち上がる。
ミルカの足場になっていたのだろう。
兄のザキーロだ。
少し頼り無さげだが、優しそうな顔をしている。
レイアの1つ上、13才だったか。
「ぼくも上がるね。」
スタスタと歩いて行った。
ミルカの足音がする。
部屋に入るくらいで足を止める。
「レイアねーさん、こんにちは。」
「はい、こんにちは。」
レイア。顔がニヤけてる。
「ミルカちゃんかわいいねー。」
「ありがとー。」
応えながら奥にある俺のベッドに走り寄る。
「ロウロウロウー」
俺の体に飛び付いてきた。
全然悪い気はしないが、まだガリガリの体にはキツイ。
「いてて。」
「ロウはもう寝ない?」
「寝るけど、ちゃんと起きるよ。」
「ミルカと遊べる?」
「歩けるようになってからだね。」
ザキーロが部屋の入り口で手を上げ会釈をする。
「元気そうで良かったよ。」
「ミルカねー、ザキーロと一緒に教会で沢山お祈りしたんだよ。」
嬉しいなぁ。
頭を撫でておこう。
「えへへ。」
ミルカは俺の顔を見ながら微笑んだ。