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神様のお願い  作者: まーにゃり
4/7

目覚めは激痛と共に

意識が戻る。というか、神様の言ってた世界に来たのだろう。


新たな体の感覚。

まずは耳から音が入って……


待って下さい。

お腹の辺りで尋常じゃない痛みが!!!


あえて例えるなら、内臓をヒモか何かで縛られて、更に引っ張り上げられてる様な激痛。

実際、やられた事無いけど…


「グ グ ッゲァァ」


言葉ではありません。

微かに口は動いていたのかもしれませんが、異世界での第一声は、うめき声でした。


数分?数十分?

体は動かず、呻きながら痛みと格闘し……

痛いながらもようやく慣れてきた。



考える余裕も出来て…

まず、体を襲う痛みについて考える…


(あれか…)


1つ思い当たった。

空腹だ。


半年以上も自分で飲食できてないなら、どうやって栄養を摂ってたのかわからないけど、固形物なんか入ってないハズだ。


いきなり食べ物はヤバいかな…

なんて考えてたら、寝そべってる足下の方から呻き声が聞こえてきた。


「ギ ギ ム…」


何が言いたいかは別として、すぐに判ったね。


(母ちゃんもちゃんとコッチに来たんだな。)



手足は動きそうに無い。

口は微かに動く。


お互いが存在してる事を確認する様に呻き続ける。







突然バタバタと足音がした。


「レイア!ロウ!」


女性の声だ。

こっちの世界のお母さんだろう。


(レイア?ロウ?俺の名前がロウなんだろうな。)


回復待ちなんだろうけど、目が開かないのが残念。

更に会話ができないのも残念なんだけど、ここから新しい家族との生活が始まると思えば、第一回の記念すべきイベントだ。


「オ オ カァァ」


「レイア!!!」


女性。お母さんと言おうか。

足下の方からする母ちゃんの呻き声。


(いや。こっちもレイアと言わないと。)


レイアの方に駆け寄る。


「レイア!レイア!」


「オガ オカ……」


レイアの呻き声に


「うん。うん。」

「ありがとう。よかったね。」


声から、泣いてる様に感じた。



別の足音が聞こえた。


「レイア!ロウ!」


今度は男の声だ。


男はそのまま泣き始める…


「あぁぁぁぁぁ………」


父親かな?と考えてると更に足音。


バタリと倒れる人の音。


色々と音だけが情報として入ってくるもので、見えないから余計に呻き声も出ちゃってさ。



最終的に第三者的な目線で報告させて貰うと、この部屋の中では…


呻き声を上げる寝たきりの姉弟。

その姉の手を握り、力尽き倒れてる母親。

ただ泣き続ける夫。

声をかける事も出来ずに立ち尽くす司祭とシスター。




記念すべきイベントは、訳の分からない光景を演出して幕を閉じる事となりました。




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