《お姉ちゃん達は過保護!なのに自分の事は後回し!》
《お姉ちゃん達は過保護!なのに自分の事は後回し!》
〈第一幕〉
ガチャ キー パタン
秋穂「ただいま…」
パタパタパタ(廊下を走る)
冬華「お帰りなさい…!秋ちゃん、こんな時間まで何処にいたの?…今 何時かわかる?」
秋穂「はぁー…知らないよ…」
冬華「秋ちゃん…遅くなる時は連絡して?…もう、高校生にもなるんだよ?…せめて、それぐらいは守ってほし……」
秋穂「あのさー!…それ、何回も聞いた…だいたい、お姉ちゃんには関係ないでしょ?お母さんみたいな事、言わないでくれない?」
トントントン(階段を上がっていく)
冬華「あっ…秋ちゃん……」
トントントン…バタン!!(部屋のドアが閉まる)
トン…トン…トン…(階段から降りて来る)
春弥「ふぁ~…冬華姉ちゃん?」
冬華「あ、春くん…ごめんね?起こしちゃった?」
春弥「ううん……部屋、戻るね…おやすみ」
冬華「うん…おやすみなさい…!」
〈第二幕〉
(朝)
冬華「忘れ物はない?」
春弥「うん…!行ってきま……」
秋穂「行ってきます……」スタスタ
冬華「行ってらっしゃい!…(ガチャッ)秋ちゃん!遅くなるなら、連絡はちゃんとしてね!…あ…」バタンッ
春弥「行ってきま~す…!」
冬華「行ってらっしゃい!」
キー パタン
〈第三幕〉
春弥「……ちゃん…!姉ちゃん…なー!秋姉!…秋穂姉ちゃん!!!」
秋穂「ん?…なーに?」
春弥「どうしたんだよ?」
秋穂「どうした?…って、何が?」
春弥「何が…って…秋姉…ココ最近 冬華姉ちゃんと喧嘩ばっかりしてるじゃんか?」
秋穂「別に…してるつもりはないけど?…だいたいあれは…お姉ちゃんが勝手に…」
春弥「それは…!秋姉の事 心配してるからだろ?」
秋穂「………わかってるよ…でもさ!私だって!もうすぐ、高校生だよ?…ならさ~あ!好きにさせてほしいじゃん!」
春弥「それと、冬華姉ちゃんに心配かけるのは別だろ?」
秋穂「うっ…じ、じゃ~!全部 私が悪いっていうの!?」
春弥「うん」
秋穂「サラッと頷かないでよ…」
春弥「秋姉もわかってるから、反発してるんだろ?…高校生にもなるのに…いつまで、反抗期やってんだよ!」
秋穂「んなっ!?…何ぃぃ!こ~のぉ…春弥は生意気なのよっ!!」
グリグリグリ(春弥の頭をぐりぐりする)
春弥「うぅ~…やめろ…いって…痛いって!…あぁー!くそっ!離せ!」
秋穂「まだまだ、子供ね…それじゃーね!」
春弥「ははっ!子供 相手にムキになってんなよ!おばさん!」
秋穂「はぁ!?…サッサっと行きなさい!」
〈第四幕〉
春弥「ただいま~!」
冬華「あっ!春くん!お帰りなさい!!」
春弥「?…今日、塾で褒められたんだー」
冬華「本当に!?…凄い!…」
春弥「……?冬華姉ちゃん?どうかした?」
冬華「え…あー、ううん!何でもないよ!…春くん…お姉ちゃん、少し出掛けてくるから、お留守番よろしくね?」
春弥「え?…こんな時間に?買い物?…なら一緒に……」
冬華「大丈夫よ!それじゃ、行ってきます!」
パタンッ
春弥「あ…(慌てるような用事だったのかな?)……あれ?これ…冬華姉ちゃんの…」
〈第五幕〉
秋穂「はぁはぁはぁ…(ガチャ バタンッ)…た、ただいま!」
春弥「お帰り?なんで、そんなに慌ててんの?」
秋穂「!お姉ちゃんは!?」
春弥「え?…30分前に出掛けたけど…」
秋穂「え!?…」
春弥「え?」
………。
春弥「携帯でメールも電話もして友達の家からも…公衆電話からも…冬華姉ちゃんに電話したのに、全く電話に出なかった…」
秋穂「うん…だって、お姉ちゃんが返信しないなんて事、絶対にないから…」
春弥「…もしかしたら……これ…」
秋穂「お姉ちゃんの携帯?」
春弥「うん…使い方わかんない…」
秋穂「……田舎者ですか?…」
春弥「うるさいなー…早く、確認しろよ」
秋穂「ん?…あ、れ?電池切れ?」
春弥「……あ…そういえば、冬華姉ちゃん何も持たずに出てって……!!」
秋穂「!!!」バタバタバタバタッ
春弥「ちょっ!秋姉!ストップ!」
秋穂「いや…お姉ちゃんずっと、私の事 探し回ってるよ!」
春弥「じゃなくて!携帯!」
秋穂「あ、あー…!ありがとう!それじゃ!」
春弥「あぁ~……何なんだよ…二人して…昨日まで喧嘩してたくせにっ…」
タタタタタタッ バタンッ
春弥「!!!…な、なに…」
秋穂「お姉ちゃん…居た…」
春弥「あ、見つかったんだ…」
秋穂「ううん…門の横に座ってた…」
春弥「え…それって…」
〈第七幕〉
ガチャ パタン
秋穂「お、お姉ちゃん?」
冬華「ん…?あ…秋ちゃん!!!…良かった~、心配したんだよ!何処に…!あれ?着替えて…」
秋穂「お姉ちゃん…これ…」
冬華「あ、私の携帯?…え…不在着信…これ…」
秋穂「多分…全部私…」
冬華「あ、あぁ、うっ、うぅ…」
秋穂「お姉ちゃん…!な、泣かないでよ!」
冬華「ごめんね…ごめんね…うっうぅ~…秋ちゃんからの連絡来なかったのが自分のせいで良かった~…知らない人に連れ去られてたらって思って…!」
秋穂「う、うん…私もごめんお姉ちゃん!」
冬華「うん…!秋ちゃんにも心配かけてごめんね」
秋穂「ううん…!もう、お姉ちゃんに絶対 心配かけない…お姉ちゃんが心配してくれてた理由…わかったから…」
冬華「うん…」
………。
春弥「……あのぉ~、お二人さん…」
秋穂「なに?」
春弥「何って言われても…こんな時間に家の前で泣かないでもらえない?」
冬華「ふふっ…そうね…春くんもごめんなさい…」
春弥「俺は…別に…」
秋穂「とか、言って!あんたが一番 心配してたくせに~」
春弥「うっわ!きもっ!…近寄るな!」
秋穂「はぁぁ!?」
冬華「春くんも秋ちゃんも優しいから…自慢の弟と妹ね!」
春弥「……!」
秋穂「うん!…あ~れ~?何照れてるの?…ツンデレすか~?…えいえい」
春弥「やーめーろーっ!…あぁぁぁもう!二度と心配なんか!してやんねぇぇぇぇぇぇ!からなぁぁぁあ!!」
〈END〉