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8.韻 眷属化

暫く日常(?)話が続きます

 作戦を2週間後に控え、私は自室のベットで横になっていた。

 ベットと言っても、かなりボロい。

 正しく即席と言ったものだ。

 そりゃそうだ、そんないいベットなど使う余裕は反乱軍にはない。

 自室自体もボロい、そもそも地下の牢獄だった場所に、鉄格子を取り外して、薄い木版を打ち付けただけの状態。

 床だって石畳だ。

 一応掃除はしたが、それでもその汚さは取れない。

 たがこれでもマシな部類だ。

 仕方ない、わがままは言えない。

 まあ、何気にこの汚さは良かったりする。

 こんな汚いところ、普通なら暮らさないからね。


 「……お風呂入りたい」


 唐突に思った。

 汚いとかどうとか考えていたせいかな。

 そういえばここ最近お風呂に入れてない。

 竜人の身体のおかげで、そんな臭いとかしないし、汗もかいてないけど、やっぱり日本人女子お風呂には入りたい。

 どうにかできないだろうか、ラップでもお風呂を作るのは無理だ。

 出てくるのは真水、冷たくて死にそうになる。

 魔法で作る水は、なぜか私のは全て冷え冷えの真水なんだよ。

 氷水より冷たい感じ。

 まあ本来は攻撃用だし、仕方ないのかな?

 そんなこんな考えていると、扉を叩く音。

 って、そんなに強く叩くと…


 「フーカー!!」


 あぁ、やっぱり。

 フィーネが私の部屋の(極薄)をぶち抜いて現れてしまった。

 相変わらず、私の前では元気だねぇ。

 胸に飛び乗ってきたフィーネを撫でる。

 ステカンストじゃなかったら、飛び乗られただけでも死にかけたと思う。

 竜人というのもあるかもしれないけど。

 そうして撫でてると、尻尾が強く振られ…あれ?


 「フィーネ、魔法解除した?」


 「うん…フカと二人っきりだから」


 「そりゃそうだけど…」


 擬態化魔法は任意で解除できるからね。

 かけた側も、かけられた側も。

 確かに二人っきりだけど、今扉に大穴空いて丸見えなんだけどな。

 まあフィーネが嬉しそうだから、邪魔しないようにラップを口ずさむ。


 「痛めてごめんね薄板くん

 すぐさま体直してあげる

 大穴あいた空虚な体

 詰めに詰め込み元気な扉」


 オプジェクト限定回復魔法。

 通称耐久回復……のはずだったけど、元気な扉は余計だったみたいで。


 「……あり?」


 扉が治るどころか、みるみる厚く、固く、鈍い金属光沢を放つ鋼鉄製の扉に。

 更にはHP表のようなものが見えてきた。

 HP表のようなものは、私にしか見えていないようで、フィーネも扉の異変に気づくけど、HP表を見ていない。

 そして、このHP表の有無を私は知ってる。

 スカイウォーオンラインでは、敵のHPは臨場感を出すために非表示されている。

 それはパーティでも同じで、HP表が見えるのは1つしかいない。


 「眷属化してないこれ?」


 そう、眷属のみそのプレイヤー本人限定だがHP表が現れるんだ。

 つまりこの鋼鉄製扉……のようなモンスターは、私の眷属になったということだ。

 回復魔法だったのに、眷属化する理由がさっぱりわからないが、多分ラップに付けた単語が悪かったかもしれない。

 そうして、私たち2人が呆然としてると、扉は端から手足を生やした。

 ドラ〇もんみたいな、デフォルメされた白い丸手丸足だ。

 それはドア枠から飛び出して、こっちに歩いてきた。

 すごい威圧感がするが、ある程度の距離まで来て、扉は……


 「ワターシ、【ミスター・ドーア】トモウシマス、眷属トシテイタダキ、アリガトウゴザイマス!」


 ものすごいカタコトで、そう言い出した。

 ……どうやって声出してるんだこれ。

 開いた口が塞がらないとはこの事か、しばしのあいだ、フィーネと私は、ただただ、綺麗な直角(比喩ではない)に頭を下げる扉…ミスター・ドーアを眺めていた。

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