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それでも君に  作者: 空海 雄
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突然

連載小説として書いていこうと思います。

よろしくお願いします。

絢香「宿題見せて!」


きたきた、いつものやつだ。


理沙「また〜?しょうがないなぁ」

絢香「また、パン奢るから!」


幼なじみの彩香は、毎週、水曜日の昼休みにきまって英語の宿題を見せるよう私に頼んでくる。これから先もずっとそうだ。

お母さんは、明日風邪を引く。病気とは無縁で久しぶりに体調を崩すから少し驚きだ。もっと悲報がある。明日、私がずっと好きだった歌手が急に引退発表するそうだ。とても悲しい。


そう。


私は、生まれてからずっと、他人の未来が見えてしまうのだ。

他人と言っても、全員の未来が見えるわけではない。名前と顔が一致する人のみ見えてしまうのだ。


あ、ちなみに、その人に対する興味、好意の度合いで見える未来の限度があるので全部見えちゃうわけではないです。はい。



絢香「今日、放課後ひま?カラオケ行こうよ!」

理沙「ごめん、バイト入ってるわ〜〜」

絢香「え、バイト始めたの!?」

理沙「あれ、言ってなかったけ??」


特に部活もしていなかったので、バイトを始めることにしたのである。近所に居酒屋さんがあったので、そこにした。理由は近いから。それだけ。


店長「みゆちゃん!!おはよう!!!」


店長はやたらと元気な30代後半のおじさんだった。今日は一日中雨なのに、なんでこんなにも元気なんだ。まぁ、悪い人じゃないから全然気にしてないんだけど。あ、ちなみにこの人、今日、家に帰ったら奥さんに怒られる。理由は朝、洗濯物を取り入れなかったから。


理沙「おはようございま〜すぅ」

店長「今日、新しい子が入ったからよろしくね!」

理沙「あ、は〜〜い」


店の奥に入っていくと見たことのある男性が、少し緊張気味に立っていた。


「あ、おはようございまっ、、って立石じゃん!」

理沙「あ、新人って大崎くんだったんだ」


新人(私もほぼ新人と変わらない)は同じクラスの大崎くんのことだった。

あまり喋ったことはないが、高校も同じで中学校の3年間全て同じクラスだった奇跡の男の子である。


健太「まさか、立石がここで働いてるとは思ってなかったよ(笑)」

理沙「私も来ると思ってなかった」


これで喋ったの何回目だろう。それくらい喋ったことがなかった。


バイトはホールとキッチンで分かれていて、大崎くんはキッチンで私はホールだったので、その日はその会話くらいしかしていない。


それからは怒涛の勢いで大崎くんはシフトに入っていた。年末でバイトが忙しいというのもあり、ほぼ毎日入っていた。もちろん、その理由も分かる。彼女の誕生日、1月20日にプレゼントを買ってあげるためだ。まさか、同じ中学校で学年トップと言われた絶世の美女、相川奈々と付き合っているとは知らなかった。案の定、クリスマスはバイトに来なかった。


私は週2〜3回ペースのシフトを死守し崩さなかった。別に他にすることもなかったが。クリスマスは何も考えず、普通にバイトに入っていた。バイト中に「そういえば今日クリスマスだぁ」と気付くくらい何も考えていなかった。


バイト中、ふいに、店長が家に帰った時に子供のプレゼントを買い忘れていて、子供に泣かれる未来が見えてしまった。


理沙「店長〜子供のプレゼントとか買ってあげたんですか〜?」


店長「あ!!!」


私は、あまりの店長の驚き様に笑ってしまった。いや〜天然だなぁ。


そのバイト後、イルミネーションで飾られた街を1人ぼーっとしながら自転車で家に向かっていると、大崎くんらしき人を見かけた。しかし、彼は1人だった。


後に分かったことだが、その時、大崎くんの彼女はクリスマス当日に熱を出し会うことができなかったらしい。クリスマスに会えないってけっこう辛そうだと他人事ながら感じた。


でも、その時、大崎くんは少し泣いていたように見えた。あまり、顔を見れなかったけれど、確かに泣いていた。私はそれを横目に自転車をこぐスピードを速めた。


クリスマスにバイトに入ってから私は年明けまで入らなかった。理由は別にないけど、ただただ休みたかったんだと思う。


大崎くんに会ったのは、年明け最初のバイトの日である。大崎くんはいつもより暗かった。理由は聞けなかったが、分かった。彼女と別れたらしい。なぜ別れたのかは分からなかったが。


私はその日1日、なんて声をかければいいか分からなかった。だから、挨拶ぐらいしかしなかった。


学校が始まると、大崎くんはけろっとしていて、元通りになっている様子だった。


絢香「理沙〜宿題見せて〜〜」


新学期早々にまた始まった。絢香は英語の課題を今まで自分1人でしたことがあるのか疑問だ。


健太「あ、俺も!」

絢香「え?」

理沙「大崎くんも?」

健太「俺も完全に忘れてたわ〜〜」

理沙「い、いいよ」


内心焦った。まさか大崎くんが学校で話しかけてくるとは思ってもいなかった。


絢香「大崎くんと仲良かったっけ?」

理沙「バイトが一緒になったんだよ〜」

絢香「あーそれで!」


それから水曜日は絢香と大崎くんの課題見せて見せて攻撃が始まった。これから先もずっと。


健太「立石ってさぁ〜、彼氏とかいんの?」


ある日のバイト中、ふいに大崎くんが聞いてきた。


理沙「え?」


あまりに唐突すぎて、答えることを忘れてしまった。


健太「いやーいんのかなぁって思って(笑)立石とそういう話したことなかったし(笑)」


理沙「い、いないよ(笑)」


健太「えーそうなんだ!モテそうなのに」


理沙「どこが(笑)」


健太「だって可愛いじゃん」


私は急に体が熱くなった。生まれてから可愛いと言われたことはほぼない。できればその場から逃げ出したくなるくらい恥ずかしかった。


次話は制作中です。出来上がり次第投稿したいと思います。

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