思わぬとばっちり
初めて見た。
病気かな?でもそういう抜け方には見えない。
まるで切るのに失敗してしまったような…
まだらにある所と無いところがある。
ファッション…じゃないよね。
気になるけど…。流石に聞くのはアウトだよね…
るかちゃん、地雷多そうだし。
気にしないことにしよう。うん。
「…なにひとりで頷いてるの?」
うわっ見られてた死にたい。
「いや…ちょっと考え事をね…。」
「…………。変な子。」
うーん。るかちゃんの方が変…
なんて言葉を言えるはずもなく、胸にしまい込む。
この言葉はこの先何回となく言うことになる。
やっぱりか……。
るかちゃんは目立つみたいで。
クラス中からまたこそこそという話し声がする。
休み時間になった今、抑える必要がなくなったそれは収まるどころかどんどん広がっていく。
良くあるやつ?
皆のストレスの捌け口、というか。
でも、これが、
私じゃなくてよかった………
なんて思ってしまう自分がいる。
最低だ…とは思うけど、止めることができないこの思考。
どうにかしたいな…。
るかちゃん本人は、教室にいない。
何処にいるのか分からないし、知る由もない。
廊下かな?と思ったけど、もう席につかなきゃいけない時間だ。
わざわざ立って探す程じゃないな、と思った。
この1時間が終われば、帰ることが出来る。
ああー帰りたい。
帰って、動画観て寝るんだ。
チャイムの音。
授業が始まった。何か決め事をするようだが、まあ関係はないだろう。
まさかまだるかちゃんは帰ってきてな…
って居たわ。
いや寝てるし………。
放っておこう。
はあ………、今日1日で凄く疲れた。
「…………さん、任せてもいいですか?」
はっ!えっ私寝てた?!
取り敢えず返事、返事をしないと!!
「はははは、はいええと、多分……」
「ありがとうございます!じゃあこの件は水無月さんにお任せするとして…」
う~ん。一体何を任せられたんだろう。
「じゅん~学級委員任せてもいいのか聞いてたんだよ~」
るかちゃん?!起きてたの?!ていうか!!
黒板を見ると、『学級委員 女子 水無月千代子』
とでかでかと書いてあった。
あっ…人生終わった。
自慢じゃないが、小学時代はそういうのをしていた事もあった。
中学からはもうやめようと思っていたのに…
あんまりいい思い出が無いしね…。
なんだかんだで決め事も終わり、家に帰る時間が来た。
ああっ…やっと…帰れる…
るかちゃんにばいばい言わないと…
「るかちゃん、また明日ね。」
そう言うと彼女は悲しそうな顔をして、
「うん。じゅん、またね。」
と言うのだった。
その後、彼女がどうなったのか暫く分からなかった。
何故かって?
るかちゃんはもう教室に姿を見せなかったからだ。