第八話 戦ってみた
よろしくお願いします゜+(*ノェ゜)b+゜
今回ちょっと長いです。
俺の眼の前では怪獣大決戦が繰り広げられていた。
「シャーシャシャーシャーーーー!!!(クソチビ、クソガキが〜ぶっ殺す!!!)」
「ワンワワン、ウォーン!!!(やれるもんならやってみなさい!!!)」
「ワワン(狩る)」
────その戦いは大地を切り裂き、竜巻を起こし、天候を変えた…正に天変地異…
なーんてカッコよくアナウンスして現実逃避をしたがやっぱり何も変わらなかった。
実際天変地異に変わりは無いんだけどね。
アレで手加減してるとかどんだけ強いんだか。元々無い俺の立場がより無くなってしまった。3人におんぶに抱っこだ。
まぁ、さすがに人外に勝とうだなんて思ってないけどここまで置いてけぼりにされるとツライものがある。
魔物モードで喧嘩(?)をする3人を尻目にリンゴっぽい果物を齧る。
果物特有の甘みが口内に広がる。
はー美味い。
この果物はギンヤが取ってきてくれた。鼻が良く毒の見分けもつくので果物や薬草、食べれる魔物などなどを取ってきてくれる。
さらにコチョウがそれを調理し生ではなく火の通った肉に有り付ける。コチョウは火系統の能力が多く火の調節に長けていた。
この2人には感謝してもしきれない。
…本当、俺なんかの僕じゃ勿体ない。
何度か契約を破棄しようと提案したのだが、涙ながらに止められた。俺の為に働くのが楽しいのか、もっと命令して下さい!とか言ってくる始末である。
彼等の主として恥じないようにいい加減Lv.1を脱したい。
「おい、ケイ!もう我慢の限界だ!!!
こいつらを何とかしやがれ!!!」
「ご主人様に対し怒鳴るなんてありえません!」
「む、ミミズが、何様。」
怒りの矛先が俺に来てしまった。
こんなに仲悪いけど俺はそんなに心配してない。
別に本気で憎み合ってるわけじゃないし。
実際、ノワールは楽しそうだ。いつもは思念伝達で会話するのに双子が来てからは喋ってる。
双子は俺かノワールが話しかけないと思念伝達使えないからね。自分からは思念伝達で話しかけられないのだ。
張り合いのある相手が出来たからってのもあるかな。
さっきの喧嘩もいいストレス発散になってるようだし。
双子の方も口ではあれこれ言いつつノワールを無視することはない。
兄弟喧嘩見てるみたいで実に微笑ましい。
…まぁ、喧嘩の後にクレーターが出来上がるのはやめて欲しいけどね。環境破壊も甚だしい。
「そうは言ってもなぁ…。
じゃあ、コチョウとギンヤを追い出すのか?」
「な、別にそこまでは言ってねぇ!ケイにはスッゲェ丁寧なのに、俺への扱いがだな…」
「当たり前です!ご主人様は格が違いますからね!」
「主、カッコよし。」
お、おおう。
この二人の俺への持ち上げ方なんなのかね。
絶対能力補正かかってんだろ。
「俺の方が強いだろーが!ケイなんかLv.1のハエ並みなんだぞ!!!」
事実だけどそこまで言わなくてもいいんじゃないですかね、ノワールさんや。ハエって。
「そんなの微々たる問題です!私達もついこの間までLv.1でしたから!」
「え?どゆこと?」
「進化するとLv.1になるんです。」「Lv.1でも自力は昔とは段違い。だから、Lv.1とか関係ない。強いやつは強い。」
あ、そうなんだ。
進化直後って結構無防備だな。…魔人には関係ないか。魔人というか、この3人はだけど。
今は何レベなんだ?そういえば。
「Lv.13です。」「Lv.20。」「早くね?進化してからまだ数日だろ。特にギンヤ。」
「俺は狩りに行くし。…後」
言いかけて、チラリとノワールを見る。
「ミミズと喧嘩したから、だと思う。」
「あぁ、そうね、確か格上と闘うと経験値貰えるらしいです。…とても不本意ですけど。」
へー経験値って魔物倒さないと貰えないのかと思ってた。やっぱ、二人からしたらノワールは格上なんだな。後で聞いたら目標だと言っていた。
何はともあれ
「よかったじゃん、ノワール!二人のレベルアップに一役買ってるぞ!」
「……じゃあ、お前のレベルアップにも一役買ってやるよ。」
「ん?」
え?何を言ってるんだい?ノワールさん。
「いつまで経ってもLv.1じゃカッコつかねぇだろ。こいつらが持ち上げてくれるからって鍛錬を怠っていい理由にはならないよなぁ?」
「あの?ノワールさん?」
「最初は人間モードで戦って、慣れたら魔物モードでやるか。安心しろ、手加減してやるから。」
手加減は当たり前───…って待て待て待て。
え?本気なの?
「あの、ノワール、お前今のレベルって…」
「あん?お前俺のステータス見れんだろ。
確かLv.52だったと思うぜ?」
「ごじゅっ!?」
いやいやいや、尚のこと無理に決まってんだろ。
助けを求めて双子を見る。情けないと言うことなかれ、死ぬよりマシだ。
だがしかし、双子は俺達から距離を取った。
まるで邪魔をしないように。
「ご主人様!頑張って下さい!ご主人様の勇姿しかと目に焼き付けます!」
ごめん、コチョウ。多分勇姿じゃなくてボロ雑巾しか見せられないと思う。
「頑張れ、主。主ならイケる。」
ああうん、ありがとう。でもね、ギンヤ、君に出来ないことを俺がやれるわけ無いだろ?
「覚悟決めろ、ケイ。」
無駄にいい笑顔で俺の肩に手を置くノワール。
いつもしかめっ面だから、笑顔がとても輝いて見える。世の女性が失神するほどに。
…チクショウ、このイケメンめ。俺をイジメて楽しいか。
「あーーー、もう!!!
やってやるよ!やれば良いんだろ!!!」
「おう!!!ボソッ(ケイの情けない姿見せて俺の格好良さをあいつらに見せてやる…)」
おい、ノワールよ、それが目的か。聞こえてんぞ。
どちらかというと弱いものイジメしてるみたいになると思うけどな。
「行くぞ!」
「かかってこ「先手必勝!!!氷結!!!」うわ!!!」
MPが少ないので、ノワールの目だけを凍らせた。
節約、大事。
ノワールだったら一瞬でこの辺り一帯凍らせられるだろうね。ま、そこは比べても仕方ない。
目潰しのせいで動きの止まったノワールから距離を取り木の後ろに隠れ───
「氷幻想。」
ボソリと呟く。何の能力使ったかバレ無いように、なんだけど、元はノワールの能力だからすぐバレんだよね。
指定した範囲の温度を下げる能力。
「…?氷幻想か?俺に使ってどうすんだよ…人間相手なら効果抜群だけどよ…てか、これケイ自爆じゃね?」
ノワールが目の氷を剥がし終えたようだ。
フッフッフッ、残念だったな、ノワールよ…お前は既に俺の術中だ!!!…言ってみたかっただけです。
ノワールは寒さに耐性があるからどうってこと無い。俺には耐性は無いので発動と同時に範囲外に逃げた。でも、これだけ下がるとあるものが発生する。
しかも、急速に。
「あ?霧か?!」
ノワールさん、正解!
シグノ大森林は定期的に霧が起こるほど湿度が高い。
この能力との相性は抜群なのだ。
ノワールはこの能力を完全に使えないものと思ってたみたいでこの森で使うことは無かった。
だから霧が発生するのも知らない。
とゆーか発生する原理を知らないだろうから当然と言えば当然だ。
かなりの濃さでノワールから俺は見えてないだろう。
実を言うと俺からノワールは見えてない。
だがここで活躍するのが繋鎖心縛だ。
俺からはノワールと俺を繋ぐ光る鎖が見える。
この鎖の向かう先にノワールがいる。
…いやー、ほんと、ノワールか双子相手にしか使えない反則技だわー。
「氷神刃斬」
幾つもの氷の刃が向かって行く。
ステータス確認したらMP残り5。
ギリッギリだ。
…倒せると思ってないが、ちょっとぐらいダメージを与えられただろうか。
と、思ったら俺を巨大な影が覆った。
あるぇ?
『やるじゃねぇか、ケイ…
これだけ出来るならこの状態でも戦えるよな?』
魔物モードのノワールがいた。
無理に決まってんだろーが!!!
最後まで読んで頂きありがとうございます(´ω`)