第六話 契約してみた
よろしくお願いします♪d(´▽`)b♪♪
俺は今、空を飛んでる。
そんな夢ある状況じゃないけどな!
ノワールにぶん投げられただけだよ。
蜘蛛の上を通過し犬に向かっていく。
…これ、巣に引っかかったら俺もエサだよね。
よし、今こそ能力特訓の成果を見せる時!
着地地点に的を絞って──────
『氷結』
凍らす!!!
足場の完成である。
氷の糸の上に足をかけ毒蜘蛛に向き直る。
蜘蛛の脚を凍らせる───と思ったら既に全身凍っていた。カチコチに凍った蜘蛛はノワールが蹴りを入れ跡形も無く砕け散った。
…助けてくれるんすね…俺、完全に1人でなんとかしろって言われたと思ったよ。
『何、ボケっとしてんだ。他の仲間が帰ってくるぞ。助けるんだったら早くしろ。』
よく見たらさっきのとは別の蜘蛛の残骸が散らばっていた。他の奴等が来たら面倒だから早く終わらせるために手貸してくれたのか。
既に何匹か来てるみたいだけど。
蜘蛛はノワールに任せて俺は犬に集中するか。
少し冷静になったら、治療の方法を思いついた。
思念伝達を起動し犬2匹に話しかける。
『なぁ、お前等助かりたいか?
助かりたいなら俺と契約しろ。』
『…タ、スケ、テ…マダ、シニタ、ク、ナイ』
『タス、ケ、テクダ、サ、イ』
『それって俺と契約するって事でいいな?』
『ワカ、タ』『ケイ、ヤ、ク、シマ、ス』
途切れ途切れだけど言質は取ったぞ。
追い詰められてる状況だから多少怪しくても即決だったな。これで能力の発動条件は満たしたはずだ。
『契約するぞ。繋鎖心縛〈契約章印〉。』
『コボルト二体に繋鎖心縛〈契約章印〉を実行します。この契約はマスターの意志で破棄可能です。
…契約の完了を確認。それに伴い天賦ノ才を付与します。…付与に失敗しました。コボルト二体の進化を行います。…付与に成功しました。』
1週間ぶりのアナウンスにホッと息を吐く。
どうやら無事に契約を結べたようだ。
俺の狙いは天賦ノ才付与による器の拡大、つまりは進化だ。
ノワールの進化からして、進化は肉体を作り変えてるのだと思う。
なら、傷の修復も実行するのでは?
進化さえすれば完全復活するという事だ。
コボルトって強いイメージ無いし魔人への進化は無いだろうが一段階進化すればいい。
さすがに心命連結を結ぶ訳にもいかないからお手頃な契約章印を結んだ。
相手の承認が無いとダメだったが、魔物は知能、考える力が低い。いい意味で素直、悪い意味でバカ。
人間相手だったらこんなに上手く事は運ばなかっただろう。
治ったら自由にしてやるつもりだから恨まれる心配は無い。
俺の心臓から青い鎖が、犬の心臓から赤い鎖が出現し、繋がった。
心命連結は光る鎖だったな。
青は主で赤は僕ってところか?
俺の心臓からは光る鎖一本と青から赤に色が変わっている鎖二本の合計三本の鎖が生えている。
そんな事を考えていたら犬達の身体が光りだした。
進化が始まったようだ。
本当に天賦ノ才は凄いな。今だにその正体は不明だ。
そして───…コボルト二体は銀髪の少年と金髪の少女になった。
あれ?これ、魔人に進化してね?
てっきり元の魔物ランクが高くないと進化しないのかと思っていたのだが…
『銀犬人族、金犬人族への進化を確認しました。』
…本当に天賦ノ才ってなんなんだ。
最後まで読んで頂きありがとうございます(o゜∀゜o)