第二話 蛇に喰われかけた
よろしくお願いしますヽ(*゜∀゜*)ノ
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ
大蛇を視認した俺は身を翻して全速力で駆け出した。
一瞬だったもののあの大蛇が放つ禍々しいオーラは失神ものだ。
大きさもおかしい。
全長何メートルかは分からなかったが太さは俺が両手を回してやっと届くかどうかだと思う。
俺の頭なんか丸呑みできるだろう。
アレを見て気絶しなかった俺を誰か褒めてくれ。………今の所蛇だけしかいないけどね!!!
とにかく走る走る走る。
木の根っこを飛び越え身長ほどまである茂みを掻き分け走り続ける。
ズボンと革靴が泥まみれで走り過ぎて心臓も脳みそも肺も腕も足も身体の全てが悲鳴を上げているが気にならない。
死が差し迫った時の人間の防衛本能というのは凄まじい。生きてさえいればそれ以外のことは些事なのだ。
………………どれぐらい走っただろうか。
酸欠なのか口からはヒューヒューと掠れた音が漏れ頭が肺が焼けるように熱い。
足はガクガクで力が入らず這って進む。
…───それら全ての努力を嘲笑うように死が降り立った。
漆黒の鱗と同じ色の翼を生やした大蛇がすぐ目の前に着陸した。
……飛べんのかよ…蛇の癖に…
俺にもう抵抗する力が無いのを理解しているのかゆっくりと距離を詰めてきた。
まるで品定めをする様にねめつけている。
クソッ こんなところで死ぬのかよ。
まだ何もしてないってのに…
つーか、異世界からの客人とか言うくらいならこんな危険地帯にほっぽり出すなや。
大蛇がその大きな口を開けているのが見える。
このまま、このまま何も出来ずに死ぬのか?
蛇に喰われて?
舐められたまま?
馬鹿にされたまま?
…───冗談じゃねぇ、せめて、せめて何か───…
こうなったらヤケクソだーーーーー!!!!!
「繋鎖心縛!!!!!」
ひりついた喉に痛みが走るのにも構わず叫んだ。
頼む、神様仏様…誰でも、何でも、何でもいいから起こってくれ!!!!
そんな祈りが通じたのか俺の脳内に声が響いた。
『黒氷蛇と繋鎖心縛〈心命連結〉を実行しますか?若しくは───』
「……───!する!する!イエスだ!!!」
咄嗟にそう返事すると俺の胸──ちょうど心臓辺り──から光を放つ鎖が飛び出し大蛇の首(?)に刺さった。
お、おおおお!!?
これが火事場の馬鹿力というやつか!?
で、これどうなるんだ?
大蛇は大きく開けていた口を閉じてジロジロとこちらを見ている。
苦しんだりとか死んだりする様子は無い。
殺傷能力は無いスキルなのか。…あれ?その場合またピンチなのでは?警戒を解いたら食べられちゃうんじゃね?
『おい。』 「え?」
再び脳内に声が響いた。
だが先程の声とは全く違う。
あの声は機械的で無機質な声だったがこれは肉声だ。
『だから、そこの人間、お前だ、お前。
情けなく這いつくばってる奴。』
…───もしやこの声…
「あの、もしかして、今のあなた、ですか?」
『あぁ。』
なんですとーーーー!?
最後まで読んで頂きありがとうございます♪ヽ(▽ ̄ )ノ