第十四話 変なフラグが建った
よろしくお願いします( _д_)ムゥ
前回、あっさり大金を手にしてしまった。
ケイは無駄遣いをしないように自分を戒めたのであった。
さて、人のいるところに来たので造形じゃ作れない買い物をしないとね。
今回買うものは主に食糧。
魔物とか森に群生する植物でもイイんだけど、摂れないものがあるだろうから、今の内にゲットしておきたい。…米とか無いかなぁ。
他は武器とかかな。
今は自作した木刀だから、真剣のものが欲しいんだよね。気分の問題で。
いや、ほら、実際戦わなくても持ってるだけで気持ちに余裕が出るといいますか。
…俺そういえばノワールとの模擬戦以外で戦ったことないかも…。あれ?俺って魔物殺したこともないじゃん!衝撃の事実っっっ!
ま、まぁいいや、俺は頭脳ポジ〜♪
後は、色々見て回ってかな。いくら金貨三枚あったって無くなるのはあっという間だからさ。節約しないと。
あ、冒険者ギルド行かないと。
それに宿もとらなきゃ。
やること色々あるな…。
よし、分担しよう。
さっさと指示出さないとノワールがまた迷子になる。
コチョウもノワールファンクラブのお姉様方の嫉妬に晒され続けてげっそりしてるし。
ギンヤもノワールを引き止めるのに疲れてきたっぽいし。
俺の苛立ちと嫉妬は止まらないし。
ノワール暴走の二次被害が大きい。一種の災害だな。
「コチョウ、ギンヤ、お前らは食べ物買ってこい。
あ、料理じゃなくて食材な。大銀貨一枚でできるだけ日保ちしそうな物な。」
「分かりました!」「わかった。」
「俺は冒険者ギルドに行って登録してくる。その後宿を探す。集合場所はここに来る途中に噴水あったろ?そこにえーと、今は11時だから12時半集合な。」
「なぁ?」
「では、各自任務を遂行せよ!解散!」
「はい!」「行ってくる。」
「おい。」
「うし、俺も行くかー。」
「……泣くぞ。」
「え!?あの、ノワールが!?嘘だろ!?」
「てめぇ、ぶっ殺すぞ!!!」
あんまりにも言うこと聞かないんでね。一矢報いたかったんですよ。だからさ、その振り上げた拳を下ろしてくれません?ノワールさんや。
殴られた。イタイ。
ノワールからかうにもそれ相応の覚悟が必要だな…。
仕切り直し。
「大丈夫だって、ノワールにも頼むことあるからさ。ちゃんとやってくれよな?」
「任せろ!で、何すりゃいいんだ?」
「武器を買ってきてくれ。そうだな…とりあえず、短剣二本。あ、包丁も買ってきてくれ。予算は…金貨一枚渡しとく。」
「分かった!んじゃ、行ってくるわ!」
「…お釣りは後できっちり返してもらうからな。使ったりしないよな?」
「は、はぁ?お、俺がそんなせこい真似すっかよ…じゃ、じゃあな!また後で!」
使う気満々だったな、あれは。
油断も隙もありゃしない。
はぁ、心配だ…。初めてのおつかいを見守る親の気分だ…。あんなデカくてイケメンな子供いらないけど…。
俺も行くか。つっても目的地すぐそこだけどね。
商業ギルドの真向かいだから。
正直、俺たちの身分証ゲットしたから登録しなくてもいいっちゃいいんだけど…あ、ノワール登録してねぇ。いいや、後で考えよう。
冒険者になれば手に職を得られるんだよね。商業ギルドは登録したからと言って商人になった訳じゃないから。
金を稼ぐ手段は多い方がいい。
何が起こるか分からないからね。人との繋がりも欲しいし。長居するつもりは無いから本格的に人と関わるのは他の国行ってからだけど。
でだ、俺は今むさいおっさんがたむろする魔境に踏み入れたんだよ。
あーヤダ。
絡まれそう、酒臭い、男臭い、体育会系の部活の部室みたい、男臭い。大事なことだから二回言ったぜ。
…今視界の端に吐瀉物が映ったのは気のせいだよね。
ウェエエとかオエエエとか聞こえるの気のせいだよね。お願いだから気のせいであってくれ!
行こう。さっさと済ませて帰ろう。
ありがたいことに受付は女性だった。
行くんだ、ケイ!
今ならフラグ特級建築士の蛇は居ない!
話を聞いてもらえるぞ!
スタスタスタスタ早歩きで突っ切る。
誰も止めるな、誰も近寄るな、後今昼だからな、お前らどんだけ飲んでんだよ!
受付まで後5メートルを切ったという時、俺に今世紀最大の試練が訪れた─────…
通路の真ん中に突如現れたおっさん。
何故か、俺の進行方向に、吐いた。
頭が真っ白になった。
何かが飛び散っている。茶色の何かが。
…誰だって吐瀉物がかかったらヤダよね。
俺、過剰防衛じゃ無いよね?
問答無用で凍らした。おっさんごと。…テヘペロ。
三十五のおっさんがやっても可愛くないって?奇遇だな、俺もそう思う。
…俺、悪くないよね?
吐いてきたおっさんが悪いんだよね?
…これ、死んだりしてないかな。テンパって氷の壁を作るつもりが、氷結使ってた…。
溶かすのってどうやるんだっけ…解氷しろ!って思えばいい?
念じたら、徐々に氷が水になっていった。
おお、新たな発見!って、俺が犯人だってバレたら面倒だ。
おっさんを飛び越えて受付嬢さんに話しかける。
申し込み中は絡んでこないはずだ。多分。
是非ともそのままおねんねして欲しい。
「ギルドに登録したいんですけど。」
「あ、ハイ。…あの、今の。」
「なんです?」
「…いえ、なんでもありません。冒険者ギルドは冒険者同士のいざこざに介入することはありませんから。では、登録に移りましょうか。」
「お願いします!」
やべーあれだけみんなに問題起こすなって上から目線で言ってたのに俺が起こしたら洒落にならん。
おっさんはびしょ濡れのままダウンしてる。
よし、気づいてないな。
酔い覚ましに水を掛けられたと思ってくれ。
受付のお姉さんは必要書類を出してきた。
「では、こちらに必要事項を記入してください。登録料金は銀貨五枚です。」
「はい。」
銀貨五枚か〜商業ギルドの年会費より遥かに安いな。
名前とレベル、主な武器、か。
俺、今のレベルいくつだったかな〜。
あれからノワールの特訓受けてたから上がってるとは思うんだけど…。
ステータスを見たらLv.23だった。
高い方なんかな?いやー魔物一体も殺してないのにすごいな、ノワールブートキャンプ。
…もしかしたら時々寝相の悪いギンヤに潰されたりしてるからというのもあるかもしれない…。何度死にかけたか…。
「はい、おや、Lv.23とは…新人にしては高いですね。」
「そうなんですか。」
「ええ。では、こちらの魔道具に触れてください。」
そう言って、受付嬢さんは占いの館で出てくるような水晶玉を持ってきた。
「あの、これは?」
「嘘発見器みたいな物だと思って下さい。
今書いた事項に嘘がないかの確認です。ステータスを覗くことは出来ないのでご安心を。」
「なるほど。」
ということは種族バレしないってことだよね。
なら、皆んなも登録できるね。
名前ってケイだけだけど嘘になるかな…。
ペタリと触れる。
と、透明な水晶玉が黄色に発光した。
ほー綺麗だね〜。んで、これどうなるの?
もう良いのかなと、受付嬢さんを見る。
何故か受付嬢さんは青ざめていた。
え、何よ。なんかした?
「あの…?」
「あ、はい!大丈夫です!こちらギルドカードになります!ケイさんはFランクスタートです!無くさないように!では、私は緊急の用事が出来たので、失礼させて頂きます!よい冒険者ライフを!!!」
「え、あ、はい。」
…
………
………………
あの、おねーさーん、説明とか無いんですかー。
え、マジでこのまんま放置?
緊急の用事って絶対俺関係だよね?
待って、おねーさん、変なフラグ建てたまま行かないでーーーーー!!!!
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おまけ8
「ギンヤ、この果物は美味しい?」
「ふわあ〜ん。」
「具体的な説明をして。」
「ふわふわあ〜ふわあ〜ん。」
「擬音で説明して欲しいんじゃないの!」
「むぅ、双子、一心同体。伝わる。頑張れ、コチョウ。」
「私が頑張るの!?そこはあんたが口数増やす努力をしなさいよ!」
「あいでんてぃてぃーo(`・ω´・+o)」
「また、あんたはご主人様から変な単語教わったわね!?意味が分からないんだから困るのよ!」
最後まで読んで頂きありがとうございます
☆チャースヽ(・ε´・。)(。・`з・)ノ゛チャース☆