第十三話 大金に戦慄した
よろしくお願いします٩( *˙0˙*)۶
先日初の感想、評価を頂きました!
これからも長〜い目で見てくれると嬉しいです!
城塞都市スノリィ。
がサリア王国の領土内で王都に次いで繁栄している都市である。魔物の楽園と称されるシグノ大森林に接している為高い城壁に守られており、魔族との戦争を行う際の防衛都市だ。王国から派遣されている騎士団が常にここの守りを固めているので人の往来も激しい。だが、近年では勇者召喚を成功させた帝国の不穏な気配を敏感に察知し出て行く人の方が多い。
これが、情報収集して把握できたこの国、都市の現状だ。商業ギルドへ向かう道すがら町の人や商人に聞き取りをした。…話しかける度、ノワールが相手にマシンガントークを始めるのでなかなか苦戦したが。今はコチョウからお説教を受けている。俺が言ってもどこ吹く風なんだよな…。
手こずったものの知りたいことは知れたしいいか。
兎にも角にも、ガザリア帝国は魔族と敵対してるってことだな。勇者召喚なんてことしちゃってるぐらいだし本腰入れて魔王とやり合うんかね。こうなってくるとあんまり長居は出来ないな…。フラッと勇者御一行がやって来て、ステータス覗き見できるような能力使われて三人をバッサリ、とかになったら最悪だ。もれなく自分も勇者に敵認定だ。
ここはさっさと終わらせてとんずらだな。
商業ギルドで換金したら別行動するか…。でもノワールがなぁ…。…最悪他人のフリだな。
「あ、商業ギルドだ。ってことはこっちが冒険者ギルドだな。…看板の文字が日本語ってことは言語翻訳は文字にも適応するのか。俺が書いても向こうの言語になればいいけど…。」
「着いたのか!?おーでっけぇ建物!中入ろーぜ!」
「待て待て!お前が行くと…あちゃー…」
案の定と言うべきかスタスタ進んでいくノワール。
真っ直ぐ受付に向かっていく。受付は…女性だった。
ニコニコ顔で話しかけている。受付嬢は熱に浮かされたように受け答えをしていた。
「落ちましたね…。」「たらし。」
「あいつ道中でどんだけたらし込んでんだよ…。」
あのハイスペックイケ蛇の名は伊達では無かった。
俺が聞き込みをしようと女性に話しかける。→ノワールもそれに続く。→イケメンっぷりにヤられる。→ノワールの後ろに今まで落とした女性の方々が続く。
実は今もギルドの入り口から目をギラギラさせて覗き込んでいたりする。あれ、関係ない人達だよね?俺には関係ないから知らんぷりしてていいよね?
「アレ、一切気づいてないんだけど。あいつの視野どうなってんの?」
「一定時間しか興味が続かないんですよ。すぐに別のものに目移りするから…。」
ついてくる女性陣に比例して嫉妬にかられた男どもの視線も増えてんだけど、本人は我観せずだ。殺気篭りすぎて、視線だけで射殺せそうだ。実を言うと俺もイライラしていた。…もうアイツ置いてっていいかな?
「主、あっち、空いてる。」
「あぁ本当だ。換金して出よう。」
「疲れました…。」
コチョウは女性陣からの嫉妬の視線を一身に浴びていた為疲労が大きかった。こんな少女にまでそんな視線を向けるあたり女って怖い。
受付の人は男性だった。
…他の受付は全員女性でノワールの方へ意識が向いてしまって仕事になっていなかった。
この人は最後の砦と言えた。
「こんにちは。本日はどういったご用件で?」
「すみません、商品を買い取ってもらえると聞いたのですが…」
「買取ですか。商業ギルドへの登録が必要となりますね。登録は無料ですが、年会費がお一人金貨一枚です。」
「そうですか…では、登録お願いします。あ、この子達もいいですか?」
「はい、可能です。では必要事項を記入してください。後、アレどうにかしてもらえません?業務に支障が出るんですよ。」
「…シラナイヒトデス。」
「いや、でも一緒に入ってきたじゃないですか。」
「あ、これに書き込めばイイんですね!」
「………はい。」
お兄さんからの視線がイタイ。早急に出ていかなければ…。
三人分の用紙をもらい記入する。ここに来るまでに話を聞いたのだが商業ギルドの登録はある程度の詐称は犯罪にならないらしい。平気で名前を偽る人もいるんだと。必要事項は名前、年齢だけで、後は必須ではないけど、レベルと職、これだけだ。
まぁ、こっちとしては有り難いんだけどね。
「あ、二人とも年いくつ?」
「…?分からないですね…」
だよね。どっちが上か下かすら分かってないんだから。魔物に誕生日祝う文化なんて無いだろうし。
見た目的に十歳っぽいし、そう記入しておこう。
…俺、名前このまんま書くべきかなぁ…名字無しにしておこう。
「記入終わりました〜。」
「はいはい…三十五歳なんですか。てっきりもっとお若いのかと…。」
「そうですかね?」
そんなに若く見える?アレか、日本人特有の童顔か?
登録します、と言って奥に引っ込んで、カードを三枚持ってすぐに帰ってきた。
「こちら、商業ギルドカードになります。身分証にもなりますので無くさないように。再発行の場合は大銀貨一枚掛かります。」
再発行高っ。大銀貨一枚って一万円じゃん。あ、年会費が金貨一枚だったな。うおー高い。こんだけ高額なら書類詐称してわざわざ登録しないもんな。
市場調査もしたので貨幣価値は大体把握した。
一番安い銅貨は十円、大銅貨は百円、銀貨は千円、大銀貨は一万円、金貨は十万円、一番高い星金貨は百万円。十進法だな。
星金貨は話に聞いただけで見たこと無いけど、百万円の価値がある硬貨とか凄いよね…。持ってらん無いわ。一生縁のない話だけどね。
「ご用件は買取でしたね。お品物は?」
「ああ、これとこれとこれですね。」
「これは、お皿にコップですね…材質は木ですか。いや、でもこんなに滑らかに加工されるなんて、彫刻のデザインも、これはプロの仕事ですね…。こちらはタオルですか。色が良いし、肌触りも素晴らしい…。」
中々の高評価。
木の食器一式に彫られた模様はギンヤ作だ。プロの仕事と言われて鼻高々にしている。標章に、彫師なんて付くくらいだしな。ギンヤの意外な才能には本当に驚かされる。この間砂浜で作ってたスカイツリーの出来も完成度高かったしな。俺は造形で作るけどギンヤは一からなのにな。
余計に作りすぎた染めたタオルも何枚か持ってきて良かったな。これは衛兵も良いものだって言ってたしな。
「…この木の瓶は…中に何か…?」
「中身は塩ですよ。」
「塩ですか…それは珍しい…え!?」
「ん?」
中身を少し出した受付さんが突然大声を上げた。なんか凄い汗出てません?
「あの…ちょっと奥の方に来て頂きたいのですが…」
「え?何か問題でも?」
「問題と言えば問題なんですが…と、とにかく来てください!」
「あ、ハイ。行こうか、二人とも。」
「どうします?アレは。」「「放置」」「ですね。」
奥に案内されると彼の上司の男性がいた。
なんなんだ、一体…変なものじゃなかったと思うんだけど…。
「初めまして、ケイ様。私、スノリィ支部商業ギルドマスターをしております、ゲイル、と申します。」
「ご丁寧にどうも…。って、え、マスター?」
「はい。それで今回足を運んでいただいたのはこちらの塩です。」
「はぁ…?何か混じっていましたか?引き取っていただかなくても構いませんが…。」
「むしろ、その逆です。何も混じっていません。純粋な塩です。そう、本当に混じりっけのない塩なんですよ!!」
「そうですか…。」
グイグイ来るなこの人…。
「信じられません!私も長年この仕事をしていますがこんなに純度の高い塩、初めて見ました!というかこれ塩なんですか!?微量ですが魔力を帯びていますし…。ああ、感動です!幸せだ!一体どんな製法なんですか!?産地は!?」
「え、えええ?」
「あぁ、すみません、野暮でしたね、商人が大口の取引先明かす訳ありませんもんね。」
あ、勝手に納得した。
自作しました。とは言わないほうが良いな。なんか騒ぎが広がりそう。目を付けられそう。
「あの、それで、買い取って貰えるんですね?」
「ええ、ええ、もちろん!こちらの塩は金貨三枚、木の食器類一式は全部で大銀貨四枚、タオル三枚で金貨一枚、いかがでしょう!」
ん?なんか今金貨なんて聞こえたような気がするんですけど…?
「あの、え…!?」
「…足りませんよね…では、塩を金貨五枚でどうでしょう!」
ね、値段がつり上がった!!!
ちょっと待て、金貨五枚って五十万っ…!?
「すみません…これ以上はっ…」
「いや、いいです、十分です!」
「そうですか…?では、金貨六枚と大銀貨四枚です。」
「は、はい…ありがとうございます…。」
「お礼をするのはこちらの方ですよ!素晴らしい品に出会わせて頂いたんです。ありがとうございます。」
「あはははは〜。」
三人分の年会費、金貨三枚を払い、ギルドマスターに見送られてフラフラしながらギルドを後にした。
差額分は丸儲けだから金貨三枚と大銀貨四枚が今回の売り上げ。
…タダが、0が、三十四万円。バックが重い。
いや、まぁ香辛料とか高いんだろ〜なとか思ってたんだけど、そのさ、誰がひと瓶で金貨五枚になると思うよ。庶民にこれはダメだ。コツコツ働いてた日本が懐かしい。こんな、一気に稼げるなんて…。
「やりましたね!ご主人様!」
「俺の、褒められた。」
「そうだね…あ、せっかくだしお小遣いな。はい。」
ポンと銀貨を三枚ずつ手に置く。二人は受け取れないと言っていたが普段から頑張ってくれてるのだ。貰ってくれないと困る。
「…!おい!俺には!」
なんか来た。
ノワールがダッシュでこちらに向かってきた。お前、お小遣いって年かよ…。俺のことタコ殴りにするぐらいで何もしてねーだろ。
「特訓してやってんだろ!」
「…はぁ、分かったよ。無駄遣いすんなよ。ほれ。」
「俺、こいつらより年上…」
「なんか言ったか?いらないって?」
「いや!スゲエいる!」
全く図々しい奴だ。
あーでも、この調子でいけば遊んで暮らせるよなぁ。
夢があるがバックの中に大金がそのまんま入ってるというのは怖い。
調子乗ったら一瞬で消え去る気がする…気をつけよう。
˚˙༓࿇༓˙˚˙༓࿇༓˙˚˙༓࿇༓˙˚˚˙༓࿇༓˙˚˙༓࿇༓˙˚˙༓࿇༓˙˚
おまけ7
「頼むから、マジで、大人しくしててくれ。」
「…分かったよ…」
「言ったな?言ったな?余計なことすんなよ?」
「しつけーんだよ!しねーったらしねー!」
「なら、いいけど…」
「と、大丈夫か?」←転びかけた女性を支える
「は、はい!」
「「「あーーーーー」」」
「余計なことじゃねーだろ?人助けだ!」
「そうなんだけど、そうじゃないんだよ。…あー!滅びろ、蛇がぁ!!!」
「もう、百回ぐらい死んで下さい!!!」
「禿げろ。」
「ひどくね!?人助けしたのに!」
「「「こっちへの害がデカイんだよ(です)!」」」
最後まで読んで頂きありがとうございます
(ノ`・∀・)ノ